<国公労新聞・第968号97年10月11日付より>

【連載】海外調査団「行革」見聞録G

イギリスの業務量の3倍こなす日本の職安行政

全労働編その1



 国公労連の「行革」海外調査団に、全労働からは、石川暁生(愛知支部)、斎藤力(本部)の2人が参加しました。
 イギリスでは、5月29日に雇用サービス庁のロンドン事務所と、ロンドン南東部にあるエルタムという町にあるジョブセンター(日本の公共職業安定所にあたる出先機関)を訪れました。
 雇用サービス庁は、1990年にエージェンシー化されました。当初は雇用省の管轄下にありましたが、95年7月には雇用省と教育省との統合によって発足した教育雇用省の管轄に移りました(雇用省と教育省との統合には、保守党内の権力争いが大きく作用したようです)。
 雇用サービス庁の職員数は約3万1千人で、エージェンシーとしては4番目の大きさです。本部(職員数約1700人)はシェフィールドにありますが、教育雇用省や大蔵省などとの連絡・調整のためにロンドン事務所(職員数70人)を置いているとのことです。
 雇用サービス庁の出先機関としては、地方事務所(全国に9カ所)、地域事務所(120カ所)、ジョブセンター(1030カ所)があります>

日本の3〜4倍の職員数

 ジョブセンターは、職業紹介、職業相談、失業給付の認定など日本の職安とほぼ同様の業務をしていますが、失業給付の支給や適用・徴収はほかのエージェンシーが担当しており、その業務範囲は日本より狭くなっています。
 こうした事情や労働力人口比(イギリスは日本の半分以下)などを考えると、イギリスの雇用関係行政は日本の職業安定行政に比べて、実質で少なくとも3〜4倍の職員がいるのではないか、というのが実感です。
 イギリスのジョブセンターは、日本の職安とレイアウトが似ていて、オープンスペースです。エルタム・ジョブセンターを訪問したのは午後でしたが、来所者はそれほど多くなく、職員もゆったりと仕事をしている、という印象でした。
 ここでは所長以下5人の幹部の方が対応してくれ、所長の年間の業務目標(求人数や就職件数など)も見せてもらいました。所長は、「これは私にとって大変重い目標だ」と述べ、事実、表には未達成を示す赤の数字がいくつも見られました。
 帰国後、同じような立地条件にある日本の職安の数字をみると、日本の方が2〜3倍も多い業務量をこなしていることがわかりました。

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