<国公労新聞・第969号97年10月21日付より>

【連載】海外調査団「行革」見聞録H

日本の6倍以上の職員数−−充実した労働行政基盤もつドイツ

全労働編その2



 ドイツでは6月3日、宿泊先のケルンからアウトバーンで2時間あまりのフランクフルトへ行き、ヘッセン州雇用庁とフランクフルト職安を訪問しました。
 実は、その前日の午前、空いた時間を使ってケルン市にある職安に行ってみたのですが、その庁舎の大きさに圧倒されました。
 15、16階建ての庁舎が2棟くっついたような建物と、10階くらいの建物、そして3階建ての別棟と、日本の職安からは想像もできない大きさです。このケルン職安の職員数は約1000人とのことです。
 フランクフルト職安ですが、ここは本所と4つの支所を合わせた職員数は約1000人。管轄内の人口は125万人とのことです。
 帰国後、全労働の仲間にこのことを話すと、一様にとても信じられないとの反応が返ってきました。
 ドイツの連邦雇用庁の職員数は9万5000人ということですから、約1万5000人の日本の職業安定行政職員数とは比較のしようがない行政基盤を誇っているのです。

医師や心理判定員を各職安に配置

 職員数の多さだけでなく、スタッフの充実ぶりも日本と大きくちがいます。  雇用対策にかかわる各種手当の支給や援助が必要かどうかを判断するスタッフとして、医師や心理判定員が各職安に配置されています。行政のカバーする範囲も日本の職業安定行政より広くなっています。
 職安の職員は10uあまりの個室で仕事をしており、レイアウトも好みで変えられるようです。相談時間は原則として午前中ということで、私たちが訪れた午後3時頃は、午前中の相談記録の整理や業務上の研修にいそしんでおり、何ともうらやましいというしかない光景でした。
 いま、日本でも民間職業紹介事業の自由化が問題となっていますが、ドイツも94年から民間職業紹介を原則自由としています。これには労働組合からの強い反対があったそうですが、自由化されたとはいえ、その活動に対してはさまざなま社会的な規制が課されており、きわめて規制の緩い日本とこの点でも大きなちがいを感じました。(全労働・斎藤力記)

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