<国公労新聞第973号1997年12月1日付より>
【連載】海外調査団「行革」見聞録J 最終回・全通産編
職員を3割削減したイギリス特許庁エージェンシ
全通産特許庁分会から海外調査団に3名(片野正、村上照美、一宮誠)が参加し、イギリス特許庁の調査を行いました。
英国特許庁は、1989年からエージェンシー化の道を進みましたが、特許庁は専門性が高いため例外的に政策立案部門と執行部門を分離していません。特許庁内で政策立案を行うことは顧客からも歓迎されています。
職員数の変化は、@業務の民間委託の推進、A機械化効率のアップ、B欧州特許庁との出願競合で件数減少、C庁舎移転で離職する職員が出た、D早期退職制度導入、等の理由により90年4月に1060人いた職員が97年4月には708人と削減になりました。
弁理士会より、英国特許庁の職員の話として、「エージェンシー化で、特許庁自身で予算をどう使うか決定できるようになり、自治が強化され、意志決定がおこないやすくなって、料金値下げのサービス(今まで利益はすべて政府に入っていた)や、顧客を大切にするようになった」等のコメントがありました。
歴史的背景の相違
しかし、イギリスと日本を比較した場合は、業務の効率化や行政サービスなどで、ずいぶん歴史的背景がちがいます。さらに、日本には、審判制度があるなど大きな相違点があります。全通産特許庁分会では、こうした点を分析して、行革会議、ユーザー、当局に対して、申し入れ行動を行っています。
現在、行革会議での特許庁の位置づけは、独立行政法人化すべきという意見と外局にすべきという意見に分かれています。11月17日からの集中審議の結果は、「ペンディング」であり、なお、独立行政法人化の危険性は消えていません。特許庁分会は、今後も充分な監視と警戒を強め、国民本位の民主的な行政改革をめざし、とりくみを強めていきます。
(全通産特許庁分会・片野正記)
トップページへ
前のページへ