<国公労新聞第973号1997年12月1日付より>

 行革会議の集中審議おわる  
−−12月3日に「最終報告」、来年の通常国会に法案提出ねらう


 11月17日からおこなわれた行政改革会議の集中審議は、中央省庁を1府12省に再編することや焦点となったいた郵政3事業を新たな「公社」とすることなどを確認して21日に終了しました。
 この集中審議期間中に結論が一致しなかった防衛庁の「省」への昇格問題や、金融と財政の分離問題について、11月28日以降に与党間協議をおこない、12月3日に「最終報告」として成文化することが予定されています。
 なお、橋本首相は、この「最終報告」をふまえ、1月からの通常国会に関連法案を提出し2001年から「新体制」に移行させることを記者会見で明らかにしています。
 集中審議の結果概要の主なものは次のようなものです。
 

内閣の権限強化「官から民」ねらう

 1つには、閣議における「合意形成のプロセス」として「多数決制」が、「首相の発議権」とともに確認されています。
 2つには、「中間報告」の内容を次のように変更しています。@「産業省」の所管とされていた情報・通信を総務省の内局に、A「国土保全省」とされていた建設省・河川局(現行)を「国土交通省」に、B「農林水産省」は現状のままに、C「国家公安委員会」とされていた海上保安、麻薬取り締まりをそれぞれ「国土交通省」、「雇用福祉省」に、D沖縄担当大臣を置き、沖縄総合事務所は内閣府に、などがその内容です。
 3つには、独立行政法人について、職員の身分を2類型(国家公務員型と非国家公務員型)とし、130余の「検討対象事業」の内、@試験研究機関(政策研究機関を除く)、A博物館、美術館、B国立病院・療養所、C貿易保険、自動車検査、国土地理院、国有財産管理、などを「特に検討」対象としています。
 4つには、新たな「省」の局は「10を越えない」(総数90に近づける)こと、課についても「1割削減」が確認されています。
 5つには、@営繕、国有財産管理、A情報、統計処理、B航空管制の保守点検、などの民間委託推進を確認しています。
 6つには、公共事業の「国・地方分担の見直し」としてブロック機関への「大幅権限移譲」を求めています。
 

与党による行政の私物化

 これらの内容は、国の役割を治安、外交、防衛、大規模開発などに純化し、中央省庁と内閣に権限を集中することや、事務実施部門を「官から民」、「国から地方」に移し変えるとする行革会議の「基本方針」を何ら変えるものではありません。
 焦点となっていた郵政3事業についても、運営形態は事実上は「民間企業化」であり、独立行政法人についても民営化の「次善策」でしかありません。
 また、ブロック機関への「大幅権限移譲」に見られるように、「道州制」も念頭においた「改革」が検討されています。その一方で、行政改革会議の集中審議が、与党確認を前提に進められたように、政治の行政への介入=政党による行政の私物化がいっそう顕著になっています。
 「政・官・財」のゆ着を温存する結果となる「橋本行革」ではなく、国民生活重視の行財政改革をもとめるとりくみこそ、国民と公務員労働者の願いにこたえるものであることが、よりはっきりしてきています。

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