<国公労新聞・第954号97年5月1・11日合併号より>

シリーズ「行革」を考える@

橋本「行革」がねらう省庁再編とは


 省庁再編などの行政組織の「見直し」が、「橋本行革」の中心課題として急浮上してきています。検討を進めている行政改革会議は、今秋11月まで省庁再編案を決定し、来年の通常国会に「再編法案」を上程して、2001年1月1日までに「新しい省庁体制」に移行を開始するスケジュールで作業を進めています。
 国公労新聞第953号(97年4月21日付)で掲載したように、各省の個別業務のあり方にふみこんだ「各省ヒアリング項目」が明らかになっており、検討の内容は極めて具体的です。
 ところで、行政改革会議は、現在の国の行政組織をどのように「見直し」しようとしているのでしょうか。
 行政改革会議の委員の一人である豊田章一郎氏(経団連会長)は、4月16日に開催された会議で、「企画・立案・調整機能の充実・強化」と「行政組織の簡素化・効率化」を図るために、@中央省庁から実施機能を分離し、A実施機能については、国の行政機能にとどめるものは必要最小限にする意見を述べています。
 そして、企画・立案・調整部門である中央省庁の内部部局も「大くくりに再編」する意見も述べています。行政改革会議での議論が、おおむねこの意見にそったものであることは、各種マスコミ(たとえば、「登記、保険は外局」とする4月27日付読売新聞)の報道からも明らかです。
 このような行政組織「見直し」のねらいは何でしょうか。
 国公労連は、@国の役割を国防、治安、外交など「国の存立にかかわる機能」に純化する、A首相のリーダーシップが発揮できるよう権限を集中する、B国が直接おこなっている業務は民営化、地方移管、外庁化(独立機関化)することの3点にあると考えています。
 これらの「ねらい」で行政組織再編が進めば、行政の第一線で働く多くの国家公務員の雇用と労働条件に重大な影響を及ぼすことは明らかです。
 また、社会保障制度や労働法制などの改悪が急ピッチで進められようとしていることと、行政組織「見直し」とは無関係ではなく、国民生活にも重大な影響を与えるものです。国の役割が直接問われる行政組織「見直し」が、「行政改革」の掛け声だけで国民合意もなしに進められることを許してはなりません。

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