【◇(国は)限られた行政資源を外交や防衛などの全国的公共財の提供に限定◇国家機能は社会の補完機能に制限◇大胆な地方分権、官業の民営化を進めるべき=注=以下カッコ内は行革会議の「中間整理」の内容】
行革会議では、国の役割をきわめて限定的にとらえています。
このようなとらえ方は、「警察、外交、防衛などは、民間部門によっては供給が困難な『純粋の公共財』」とし、教育などは「政策的な理由から財政が関与」しているとする「財政構造改革白書」や、「@民間でできるものは民間に、A国民が必要とする行政を最小の費用で、B行政活動の必要性についての『説明責任』の履行」を官民役割分担の「三原則」とした行革委員会の報告にも共通しています。
これらは、効率重視の視点こそ行財政改革の基礎とする「考え方」をあらためて確認したものであり、「橋本行革」の本質を示しています。
国の役割を限定的にとらえることから、企画立案部門に純化した中央省庁についても「労働行政とその他の国民生活にかかわる行政」、「運輸行政と道路行政、交通警察などと他の交通行政」などの再編を検討しています。
そして、基礎国家機能(国防や治安、外交など)を中心に「一〇省庁」程度に再編する意見が示されています。
また、大くくりに再編した省庁を「政治の指導性」を発揮して運営するため「政治的任用職」などの制度検討を進めようとしています。行政を党利党略の具にし、「政・官・財」のゆ着構造を深刻にしかねない国民不在の検討が進められています。
検討の一つの中心が、首相権限の強化におかれていることは、「中間整理」からも明らかになっています。
議員内閣制のもとで、しかも現在のような「総自民党化」の状況が明らかな状態で、最大政党の党首である首相に政治と行政の「リーダーシップ」の発揮を迫る仕組みを制度化しようとしています。
これは、社会保障の大改悪など国民に痛みを強いる悪政を進めるための、非民主的な行政運営をめざすものといえます。
分離した実施機能については、廃止または民営化を前提に、政策的に国が実施する業務については、エージェンシー化することを検討しています。
エージェンシーの仕組みは必ずしも明らかではありませんが、国が資金を出資する「独立行政法人」も職業紹介、登記・供託、統計、研究機関などを対象に検討されているとの報道もなされています。
実施部門でも直接サービスを提供する業務は、民営化する一歩手前の形態への検討がおこなわれています。国の役割を限定的にとらえた結果が、このような検討につながっているのです。
中央省庁再編を前提に、公務員制度(とくに人事管理)や地方自治体のあり方などについても、踏みこんだ検討がおこなわれています。中央省庁再編が、国全体のさまざまな仕組みの見直しを不可避のものにすることを示しています。
97年
5月7日〜6月25日
●省庁別ヒアリング
6月 財政再建法案の骨格まとめ
地方分権推進委員会が第2次勧告
7月 規制緩和白書を発表
●ヒアリングをふまえて省庁再編の
主要項目を議論
8月 ●省庁再編の全体像を集中審議し、骨格案とりまとめ
9月 行革委員会が規制緩和による行政スリム化の検討とりまとめ
11月 ●省庁再編の最終案を決定
12月 行革委が98年度以降の規制緩和の進め方に結論
98年前半
●通常国会に省庁再編関連法案を提出
※注=●印は、行革会議の予定