<国公労新聞・第956号97年6月1日付より>

橋本行革と関連し重大な影響及ぼす公務員制度調査会の発足にあたって

(国公労連・西田祥文書記長の談話)


 一、本日(五月一九日)、総務庁組織令にもとづく公務員制度調査会が発足した。同調査会は、昨年一二月に閣議決定された行政改革プログラムで「行政をめぐる諸環境の変化に対応し、国民の信頼確保、行政の総合性の確保、公務の活性化等を目指した人事管理システムを構築するため、…(中略)…、長期的・総合的視点に立って、人事管理システムの在り方全般について調査審議をおこなう」とされていたもので、この程、「学識経験のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する」とされていた委員も固まり、第一回が開催されたものである。

 二、国公労連は、この間、この調査会について、@天下りや特権人事の規制など民主的公務員制度の確立や一般公務員の労働基本権の回復を審議課題とすること、A審議内容や資料を公開すること、B非現業国家公務員の最大単産である国公労連の意見の反映を保障すること、C委員の人選について公平かつ公正におこなうこと、を要求してきた。

 三、今回発足した委員会の検討課題について、人事局長は、「能力、実績を重視した人事管理への転換とか、あるいは業務の専門高度化に対応した職員の能力開発のあり方だとか、あるいは簡素で効率的な行政組織に対応する職員の勤務の形態であるとか、あるいは昇進管理の問題というようなもの」等が幅広く対象となってくると国会答弁している。
 また、最近の報道では、エイジェンシー制度について行革会議の省庁再編論議に合わせて年内にも意見をとりまとめる方針と伝えられている。
 その検討内容が、国家公務員の人事管理制度の根幹に関わり、公務員労働者の賃金や雇用など基本的な労働条件に重大な影響を与えるものであることはいうまでもない。また、その検討方向も橋本行革とも関連して極めて危険な内容となることが予想される。

 四、委員については、昨年一二月に給与の引き下げ検討を含む「能力・業績重視の昇進管理・処遇」推進の研究会報告をまとめた辻村江太郎慶応大学名誉教授を会長に据え、会長代理に石原信雄元官房副長官を、さらには労働側委員として、国公総連もふくめ連合傘下から三名のメンバーをいれている。いうまでもなく国公労連は、非現業国家公務員の最大単産であり、国家公務員の労働条件に直接関連する事項を検討する調査会の委員からその代表を排除することは、公平かつ公正とは到底いいがたいものである。

 五、以上のことから、今回の調査会の発足は、我々の要求を無視した極めて不当なものであり、とても容認できるものではない。国公労連は、引き続き審議内容等の全面公開と我々の意見反映の保障を求めるものである。
 そして、調査会の検討が国公労連や国民の期待するものと乖離する場合には、その不当性を全国の職場から追及し、組合員の労働条件と利益を守り、また国民が願う民主的公務員制度の確立をめざして奮闘する決意である。


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