拡大中央委員会にご出席のみなさん、日頃のご奮闘大変ご苦労さまです。この機会にあらためて敬意を表する次第です。
また、何かとご多忙のなかをおいでくださった来賓のみなさまがた、誠にありがとうございます。厚くお礼申し上げる次第です。
ごあいさつの冒頭、まず私は、いまの国会状況にかかわってひとこと申し上げたいと思います。
ご承知のとおり、国会はいま、憲政史上に例をみない事態があいついでおります。そして、大変緊迫しております。その原因となったのが、自自公連立与党による衆議院比例定数削減の強行にあることは明らかであります。
この比例定数削減問題については、もはや多くのことを申し上げる必要はありません。ひとことでいえば、二重の意味での暴挙だと思います。一つは、国民の参政権に対する許しがたい侵害でありますし、もう一つは、議会制民主主義に対する真っ向からの挑戦であります。
このような異常事態のもとで、いま国会においては、野党三党が結束し、足並みをそろえて、自自公体制による暴挙をきびしく糾弾し、解散・総選挙を求めてたたかっています。国公労連は、こうした野党の奮闘を支持するとともに、これに呼応して、われわれ自身も大いに奮闘しなければならないと考えます。まず最初に、このことを強調しておきたいと思います。
さて、2000年春闘はすでに火ぶたを切っております。
この2000年春闘の中心課題の一つが、「ルールなき資本主義」との対決にあることは申すまでもありません。そして、「ルールなき資本主義」との対決とは、人間らしく働き生活する条件を確保するたたかいそのものだと思います。
この点にかかわって重要だと思うのは、先般発表された財界側の春闘対策−日経連の「労問研報告」であります。
この報告の最大の特徴が、今後は首切りも賃下げも辞さない、という立場の表明にあることはご承知のとおりであります。その意味では、かつてなく非人間的で冷酷きわまりない中身になっているといわざるをえません。この点が基本であります。
同時に、注目すべき一面もあると思います。それは、「人間の顔をした市場経済」をめざす、ということがしばしば述べられている点であります。
これが欺瞞であることはいうまでもありません。しかし私は、それが欺瞞であるにしても、財界の側が「人間の顔」とか「人間尊重」などという言葉を使わざるをえなくなっている背景を見落としてはならないと思います。
端的にいって、それは矛盾のあらわれだと思います。経営者自身のなかからも、「いま、わが国には従業員の首を切ることがもてはやされるというおかしな風潮がある」などという声が出てくるほどに、非人間的な仕打ちがかさねられた結果、管理職層を含めた労働者の反発・離反が拡大し、それが企業経営と労働者支配の基盤を掘りくずしているわけであります。
このことは、あの日産村山工場で、現地闘争本部のビラを、当初は会社や連合労組のしめつけで、ごくわずかの労働者しか受けとらなかったのが、ピーク時には、約800人の労働者−これは約2,500人の3分の1にあたります−が受けとるまでに変化している事実によっても説明できると思います。
このような変化が、経営側にとって脅威であることはまちがいありません。「人間の顔」とか「人間尊重」という言葉が出てくる背景はここにあるのだと思います。そして、それは展望につながる条件でもあると思います。われわれは、この点に確信をもって、2000年春闘をたたかいたいと思います。
次に行革闘争であります。
国公労連は、昨年秋の定期大会および年末の全国活動者会議において、新しい段階を迎えた行革闘争の強化について意思統一をかさねてきたところであります。
しからば、新しい段階の行革闘争とは何か、くどいようですがおさらいしておきたいと思います。
つまり、過去3年間は、いわば反動的で反国民的な国家改造の枠組作りをめぐるたたかいが中心でありました。これからは、その中身をめぐるたたかいの段階に入るということであります。
ということになりますと、この段階でのたたかいの柱には次の三つがすわってまいります。一つは、省庁再編や独立行政法人化を通じて具体化されてくる国民犠牲の諸施策を許さないたたかいであります。二つは、新しい省庁体制への移行や独立行政法人化にあたって、仲間の雇用や身分・労働条件を確保するたたかいであります。このことと一体で、三つには、25%の定員削減を許さないたたかいであります。
以上三つの柱を内容とするたたかいというのは、つまるところ、国民本位の民主的行財政・司法の確立をめざすという、国公労連の一貫したたたかいの新たな出発点を意味しているわけであります。その意味では、何か目新しい方針の提起をしているわけではありません。
ただ、全国活動者会議では、決意も新たに努力すべき課題として、「国民の中へ、国民とともに」というキャッチフレーズを打ち出したところです。これは、過去3年にわたる行革闘争から導き出された最大の教訓でもあるわけです。
したがって、今後の行動提起は、このキャッチフレーズを土台にすえて、これを具体的に実践する立場からおこないますので、的確に対応していただきたいと思います。
行革闘争との関連で、組織問題についてひとこと申し上げておきます。
独立行政法人が労働組合法、労働基準法、新国労法等の適用をうけることはご承知のとおりであります。したがって、労働組合としての新たな対応が必要となります。
その際の対応方針については、いま「組織財政検討委員会」において検討していただいており、その最終答申をうけて、定期大会でご決定いただく予定であります。
ただ、いまの段階で申し上げておきたいことは、われわれとしては、現在の国公労連の枠組みは基本的に維持していきたい、という点であります。ということは、当然のことながら、産別国公労連や当該単組が、その運動の領域を新たに拡大しなければならない、ということを意味します。その認識が当然必要となるわけであります。
そして、増員された中労委の委員についても、当然われわれの代表が選出されるよう全力をつくす決意であります。
最後になりましたが、大阪の知事選挙と京都の市長選挙について、ひとこと申し上げます。
投票日まであと3日ですから、みなさんがたがおやりになれることは限られていますが、それでも知恵を絞っていただいて、この選挙の勝利のためにご奮闘くださるように、まずお願いする次第であります。
これら二つの選挙の重要性はすでに明らかですから、多くを申し上げる必要はありません。その要点は、何よりも当該地域にくらす住民の利害にかかわるたたかいであることはいうまでもありません。加えて、この選挙の結果が全国的な政治情勢を左右する関係にある、という点が重要であります。
全国的な政治情勢との関連でいいますと、一つは、冒頭で申し上げた国会状況に対する国民的審判を意味するのだと思います。もう一つは、近くおこなわれるであろう総選挙の行方にも大きな影響をあたえることは必至だという点であります。
この点を1月5日付「朝日」の世論調査結果との関連で、かさねて強調したいと思います。
この調査結果では、「いまの政治に不満」な人が75%いて、「政治が変わってほしい」と願っている人が82%にものぼっていることが大きな特徴でありました。ところが、その一方で、「自分の一票に政治を動かす力がある」と考える人が41%なのに対して、「ない」と思っている人が54%もいるという状況があります。
私は、この点が重要だと思います。自分の一票に確信をもてる人びとを「多数派」にするには何が必要なのか、その答えが大阪・京都での勝利だと思うのです。
伝えられるところでは、いずれも、文字どおり大接戦になっているそうであります。しかし、勝利する可能性は十分存在しているといわれております。この可能性を生かしきって勝利するならば、政治の変化を望みながらも自分の一票に確信をもてないでいる全国の「多数派」の人びとに勇気をあたえることができると確信いたします。そのような意味で、最後まで全国的なご支援、ご奮闘をよろしくお願い申し上げます。
本拡大中央委員会の任務は、歴史の節目にあたる2000年春闘にふさわしい方針を確立することにあります。そのために、みなさんがたのご尽力をお願いしてごあいさつと致します。
国公労連中央執行委員長 藤田 忠弘
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