憲法を職場と行政にいかす取り組みを今こそ強めよう(談話)
―53年目の憲法記念日にあたって―
 明日、5月3日は、1947年に憲法が施行されてから53年周年を迎えます。おりしも、国会に憲法調査会が設置され、「改憲論議」が強まっています。また、自己責任と市場原理を強調する行政改革、規制緩和などの「構造改革」が強行され、雇用と社会保障、教育など国民の生活基盤を支える諸制度が次々に改悪され、行政が後退しています。国民がこの国の主人公であることを高らかに謳い、恒久平和、基本的人権の実現をめざしす国づくりを宣言した憲法が、今、大きな危機にさらされています。

 96年秋の総選挙以降、自民党政権の延命をねらう政党の野合が繰り返され、国会内の数の力を背景にした悪政が強行されてきました。中央省庁等再編をはじめとする行政改革は、それらの悪政の突破口であったことは明白です。首相権限の強化が、戦争ができる国への「改革」と一体であることは、戦争法や国旗・国歌法の成立強行で明らかになりました。国土交通省や厚生労働省などの再編が、公共事業のばら巻きで利権を温存する一方で、社会保障や雇用、中小企業保護さらには教育への国の予算削減と制度改悪と一体のものであることが、労働法制の相次ぐ改悪や年金、医療制度の改革、介護保険の導入、国立医療や大学の独立行政法人化の動き、さらにはゆがんだ財政からも明らかになっています。

 戦争への反省からスタートした戦後の民主的改革の支柱が憲法であったことは明らかです。そして、アメリカの占領政策の変更と日米安保体制のもとで、第9条をはじめとして、憲法のの形骸化が推し進められたのも事実です。外国の軍隊が半世紀にもわたって駐留している事実は、主権さえ踏みにじられていることを示していますが、加えて、核兵器の持ち込みにかかわる日米の密約が明らかになったことで、駐留米軍の存在が平和への脅威であることも示されました。
 
 それらのような、憲法の原則とは相容れない事態や悪政を恒久化する目的で、「改憲」論議が行われていることは明らかです。改憲論者として名高い自民党の中曽根元首相は、衆議院の憲法調査会で、「新世紀の国民憲法」の制定を提唱し、憲法第9条などの安全保障にかかわる論議は2年程度で切り上げ、早期に憲法改正作業に着手することを主張しています。憲法を調査することを目的に設置された委員会を足がかりに、一気に「改憲」に突っ走ろうと言うのです。

 50年を経過した憲法は「古くさい」、そんな一方的な主張で「改憲」にひた走ることは許せません。憲法第9条はもとより、生存権や労働者の権利、教育を受ける権利などの基本的人権でも、憲法の先駆性は明らかであり、その実現を不断に追求することこそが、国民の付託に応えることだと確信します。憲法のすばらしさをかたり、憲法順守の立場にたった取り組みを強める国公労働者の決意を、内外にアピールしましょう。
 53年目の憲法記念日にあたり、全国の仲間に訴えます。

   2000年5月3日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長  福 田 昭 生

トップページへ  前のページへ