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本日人事院は、国公労連との交渉で、調整手当「見直し」にかかわる「最終的な判断」とする回答をおこなってきた。その内容は、1)4月24日に指定解除及び支給区分の切り下げ対象地域名として提案していた23地域の内、6月30日に除外するとしていた札幌市など5地域に加え、長崎市など5地域を「見直し」対象から除外する、2)指定解除等をおこなう14地域(官署のない川西市、伊勢原市を除けば12地域)についての経過措置は、7年間とする、3)つくば市など5地域を正規の支給地域とするとともに、大宮市、浦和市、千葉市を6%支給地域とし、官署指定で措置していた多摩市など3市について正規の10%支給地域とする、4)以上の「見直し」は2001年4月から実施する、などとなっている。 その回答は、人事院が最終的な引き下げ対象地域とした12地域で働く約1万人の国家公務員に賃金の引き下げを強制し、甘受を求めたことにほかならない。国公労働者の生活と労働の実態、要求に照らして、到底認めることはできない。人事院の改悪強行の姿勢に強く抗議する。 国公労連は、昨年4月に、人事院が調整手当「見直し」作業を具体化させて以来、一貫してその中止を求めてきた。それは、年収ベースも含めた賃下げの危険性がある中で、一部の職員にさらに追い打ちをかける「配分の適正化」施策は、極めて不当だと考えるからであった。また、人事院が「見直し」手法とする賃金、物価、生計費の3指標を絶対視した「89年方式」には、データー処理や誤差の扱いなどの矛盾が多く、かつ基準も曖昧であり、人勧準拠の労働者も含め、関係者の納得は得られないことも強く主張した。さらには、その「89年方式」では、隣り合わせの市町村の間で、手当支給割合の著しい格差が生じ、人事管理上の要請が大きい地域を支給対象から解除するといった混乱が避けらないこと、なども重要な問題点として指摘し続けた。 そのような立場からおこなった人事院交渉は、のべ30回をこえ、「この時期の見直し改悪反対」を統一要求に、公務労組連絡会にも結集して取り組んだ中央行動は16回に達している。また、公務労組連絡会が作成した2度のビラ等を活用した地域からの宣伝行動なども重視し、いくつかの地方議会での意見書採択を勝ち取るなど、国民的な世論で人事院を包囲する取り組みも一定の前進をした。さらに、各省当局の使用者責任を職場から徹底して追及し、相当数の当局者が最終盤まで人事院要請を繰り返す状況を作ってきた。 そのような国公労連・公務労組連絡会のたたかいが、人事院を一定程度追い込んできたことは明らかである。それは、1)2000年5月末「決着」とする人事院のスケジュールを7月初旬まで繰り延べさせてきたこと、2)いわゆる「2段階落ちなし」の特例や、現行の正規支給地域についての「一段下基準の適用」、92年「見直し」経過期間中の地域について「見直し」対象からも除外、など人事院が見直し基準を次々と「緩和」せざるを得ない状況を作り出してきたこと、3)4月24日の切り下げ対象23地域(国公労働者・約5万人)の提示後も、2度にわたって対象地域を除外させ、結果として14地域(実際に職員が勤務する地域としては12地域、国公労働者1万人弱)にまで押し返したこと、に示されている。そして、そのような経過は、国公労連の要求や主張の正当性も明らかにしたといえる。 しかし人事院は、2000年勧告以前の「決着」に固執し、連合・公務員連絡会が99年勧告直後から「2000年人勧期が最重要時期」として「合意による成案」づくりを求めてきたことを最大限活用して、本日の「最終判断」を強行してきた。国公労働者の最大組織である国公労連を軽視し、一方の労働組合に偏った露骨な対応を人事院がおこなってきたことは、今回の「見直し」改悪にかかわる特徴の一つである。そのような経過からしても、本日の回答は容認できるものではない。 調整手当改悪反対のたたかいが、かつてなく大きく広がり、公務大産別の共闘も前進したことも特徴点である。そのことが、たたかいを分断させず、人事院の攻撃を一定程度押し返す原動力となった。国公労連は、産別統一闘争に結集して、足かけ2年のたたかいをねばり強く展開してきた全国の仲間に、心から敬意を表明する。あわせて、そのような運動の到達点を確信に、引き続く夏季闘争での奮闘を呼びかける。 勧告を巡っては、2年連続の一時金切り下げや、ベア・ダウンの危険さえある状況にある。「いかなるかたちでの賃金引き下げも許さない」、との一点での団結とたたかいを確認しあい、今回の調整手当改悪の道理のなさを徹底して明らかにする取り組みとも一体で、政府・人事院追及を強化しよう。あらたな定員削減計画の策定や、25%削減を具体化する減量化計画に反対するたたかいなどとも結んで、2000年夏季闘争の前進をめざして職場・地域からたたかいに立ち上がろう。 2000年7月6日 |