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東京都は9月3日、陸海空3自衛隊が中心となった大規模な防災訓練・「ビッグレスキュ−東京2000」を実施しようとしている。この訓練では、首相が本部長となり、内閣安全保障・危機管理室、警察庁、消防庁、海上保安庁、防衛庁、国土庁、運輸省、建設省等の行政組織が全面的な支援体制を組み、自衛隊員7100人、装甲車を含む車両1090台、航空機82機、艦船5隻を動員して、羽田空港や都営大江戸線などを利用して都内10カ所で「陸海空の統合運用と自衛隊を含めた総合的な広域支援訓練」を行う計画となっている。 これほど自衛隊を大動員した訓練は初めてであり、「防災訓練」を口実として、アジア諸国民を仮想敵国とした「陸海空」3自衛隊の統合大演習ともいえる危険性をはらんでいる。それは、石原知事が、陸上自衛隊練馬駐屯基地創隊記念式典で、「三国人」が大災害時に「騒じょう事件」を起こすとして自衛隊の治安出動を要望し、さらに「防災訓練」について、「北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧」(雑誌インタビュ−)、「三軍の出動が抑止力になる」(都議会での答弁)などと語っていることにも示されている。 自然災害の際に住民救助のために自衛隊が出動することはあるとしても、自衛隊は本来、防災を任務とする組織ではなく、「わが国を防衛することを主たる任務」(自衛隊法三条)とした憲法違反の軍隊、治安出動部隊である。こうした自衛隊を「防災機関」と位置づけ、中心的な役割を担わせることは、自衛隊の存在を正当化・固定化しようとするものである。 そもそも「防災」対策として強く求められているものは、大震災や火山噴火・津波・風水害などを予知するための気象観測・防災体制の充実や研究活動である。また、人命や財産の救済に必要な施設・機材の確保・充実、災害時の被害を最小限度にとどめる対策、災害に強い街づくり、被災者への公的支援など、住民の生命と安全・財産を守る防災計画の策定と市民参加の防災訓練である。自治体の防災体制は、災害救助の専門組織である消防組織や自治体、ボランティアなどがそれぞれの責任と役割を果たすことが一義的に重要であることは、今日までの災害対策の教訓である。 わたしたちは、憲法にもとづき国民のいのちと暮らしを守ることを責務とする国公労働者として、防災訓練から大きく逸脱し、治安訓練の色彩が強い今回の「統合演習」には反対である。9月3日の「統合大演習」を中止し、都民の生命と安全を最優先した、自治体や都民が主体的にかかわる真の防災訓練の実施を強く求めるものである。 以上、決議する。 2000年8月30日
日本国家公務員労働組合連合会 第46回定期大会 |