2000年勧告にもとづく給与法「改正」に、あくまでも反対する
--勧告「完全実施」の閣議決定にあたっての談話
 本日、政府は、2000年人事院勧告の「完全実施」を決定した。
 厳しさを増す国公労働者の生活や労働の実態、勧告の社会的影響力などをふまえれば、2年連続の年収マイナスとなる一時金の0.2月切り下げや、僅かとは言え較差がありながら俸給表改定を見送るといった内容の勧告は、到底受け入れられるものではない。国公労連は、その立場から、給与法「改正」反対を明確にし、8月15日の勧告以降、職場からの「連判状」や上申行動など大衆行動を背景に、各級レベルの交渉を強めてきた。しかし、政府は、「どういう状況でも人勧尊重の基本姿勢を強くもつ」とし、国公労連の要求にはまともにこたえなかった。
 そのような政府の姿勢は、「民間準拠」にもとづく勧告がおこなわれさえすれば事足りる、とするものである。賃金引き下げという労働条件の不利益変更まで勧告に委ね、政府は使用者としての責任を果たそうとしていない。国公労働者の切実な要求や、使用者・政府の対応に照らして、本日の閣議決定を認めることはできない。国公労連は、給与法「改正」にはあくまでも反対する。引き続き政府追及を強め、国会段階まで粘りづよく取り組みを展開する。

 連続の賃下げ勧告という異例な事態で、労働組合が政府の使用者責任を問うのは当然のことである。国公労連は、賃下げ勧告まで労働基本権制約の「代償措置」と言えるのかを問いただし、勧告実施による生活悪化などの点での検討と判断を政府に求めた。また、相次ぐ過労死に象徴される過密労働の実態など、国公労働者の労働実態全体に眼をむけた使用者としての対応も求めてきた。さらには、750万労働者に直接影響する勧告の「性格」もふまえ、「賃下げのサイクル」を断ち切る立場での政府としての判断もせまった。
 本日の閣議決定は、それらに全くこたえていない。そればかりか、「国家公務員の一層の純減」などの「合理化」強化に言及し、要求に背を向けている。賃下げも人減らしもとする「合理化」を国公労働者に強制し、リストラを先導する政府の姿勢は、極めて不当である。

 自治体の財政危機や、政府の介入もあって、地方公共団体での賃金引き下げ攻撃がさらに強まっている。国公労連は、公務労組連絡会に結集し、政府・自治体の「総人件費」抑制攻撃とのたたかいを強化する。
 同時に、9月21日から開催される第150回臨時国会に向け、広範な共同闘争の前進をめざす。この国会には、参議院選挙制度改悪、医療保険制度改悪、少年法「見直し」改悪、などの悪法成立が目論まれている。財政破綻をさらに押し進める「大型補正予算」も準備されようとしている。国公労連は、国民生活を顧みない悪政に反対し、全労連規模のたたかいに結集する。
 「賃金引き下げは受け入れられない」、「国民本位の行財政への転換を」というまともな要求を高く掲げ、2000年秋闘の諸行動の成功に全力をあげる決意である。

  2000年9月19日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長  小 田 川 義 和

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