公職選挙法改悪案の強行採決に抗議する
 参議院比例選挙に非拘束名簿式を導入する公職選挙法の改悪法案は19日、野党が抗議し退席するなかで、参議院本会議で採決が強行されました。わたしたちは、議会制民主主義を無視する自民・公明・保守三党のたびかさなる暴挙に怒りを新たにし、採決強行に抗議するものです。
 非拘束名簿式は、政党または候補者名で投票し、得票総数で各政党の議席数を算出し、候補者の得票の多い順に当選を決めるしくみであり、票の「横流し」で議席の多数をとろうとする、まさに、党利党略から生まれた制度にほかなりません。また、かつて、「銭酷区」「残酷区」なとど呼ばれた参議院全国区における金権選挙が、ふたたび再現されることも明らかです。
 こうした問題の多い選挙制度であるだけに、広く国民議論のもとで、国会での時間をかけた慎重な審議こそ求められていました。しかし、与党三党は、国民の世論の広がりをおそれ、参議院での特別委員会を野党欠席のまま強行開催し、わずかばかりの「審議」ののち、採決まで与党単独で強行しました。まさに、民主主義を二重にも三重にもふみにじる暴挙と言わざるをえません。
 そもそも、参議院の選挙制度改革協議会が2月にまとめた報告では、次の参議院選挙は、現行制度で実施するとしていたなかで、こうした全党・全会派の合意をやぶって、一方的に非拘束名簿式への制度改変を持ち出してきたことは、与野党間の最低限のルールさえ踏みやぶる重大な行為であり、断じて認められるものではありません。
 いま、国民の間では、非拘束名簿式に対する疑問と懸念の声がひろがり、与党三党の党利党略の国会運営への批判の声が高まっています。マスコミ各社も、「異常国会」などと報道し、いっせいに与党の姿勢を批判しています。与野党の対立が深まるなかで、参議院議長が辞任するという事態にまでいたっています。
 この混乱をまねいた責任は、すぐれて自公保三党の民主主義無視、国民世論無視の国会運営にあったことは、誰の目にも明らかです。与党は、ただちに国会を正常化させ、国民参加の下で十分な法案審議ができるように努力すべきです。そして、選挙制度を論じるならば、政治腐敗をただすために、「KSD疑惑」や中川官房長官の右翼関係者との関係などについて、国会の場での徹底解明こそ求められています。
 わたしたちは、参議院選の非拘束名簿式の導入にあくまで反対し、今後とも、廃案をめざして全力で奮闘する決意をあらためて明らかにするものです。

2000年10月20日
日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員会
(この抗議文は与党三党宛に送付したものです)

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