政府は本日、一般会計規模で84兆9,871億円の2000年度予算案を閣議決定した。予算案は、前年度比3.8%増の「積極予算」を編成するために、歳入の4割弱(38.4%)を借金(国債発行)に依存するという「サラ金予算」となっている。この結果、2000年度末の国の借金は、364兆円に累増し、国・地方あわせた債務残高も647兆円と、国内総生産(GDP)の1.3倍に達するという先進国中最悪の「借金国」となる。しかも、このように借金を増やしながら、公共事業費は前年並みの9兆円余りを「確保」し、5000億円の別枠予算を措置するなどのゼネコン奉仕の大盤振る舞いを続けている。また、銀行支援の総額を10兆円拡大し、70兆円としている。
98年7月に発足した小渕内閣は、景気対策を口実に、歴代内閣で最大の84兆円もの国債を発行しているが、その効果は限定的なものにとどまっている。特に、国内消費の6割をしめ、日本経済の中核である個人消費は縮小の一途をたどっており、総務庁の家計調査では、99年10月時点で対前年同月比で2.3%減となっている。その原因は明白であり、大企業の身勝手なリストラ「合理化」が労働者の家計を収縮させ、大銀行の貸し渋りが中小企業の経営を圧迫し、消費税や社会保障などの負担増が更に国民生活に打撃を与えているからにほかならない。
その点から、2000年度予算を検証すれば、先にふれた公共事業費などの大盤振る舞いの一方で、医療費の負担増や国立大学授業料の引き上げ、雇用保険料率の引き上げなど、労働者・国民の家計を圧迫する負担増が盛り込まれている。児童手当についても、支給対象年齢が小学校就学前まで引き上げられたが、同時に年少扶養控除を引き下げており、小学校から16歳までの子どもを持つ家庭では実質増税となる。さらには、消費税率5%は維持されたままである。また、中小企業対策も、ほぼ前年同額であり、商工ローンからの借入に苦しむ中小零細企業への対策とはなっていない。
このように、2000年度予算案は、公共事業などへの「ばらまき」の浪費の一方で、真に必要な景気対策である個人消費拡大の施策には目を向けない「逆立ち予算」となっている。
このような国民生活軽視の予算編成と、行政改革の「指標」としての公務員削減の圧力が高まるもとでの定員査定は、12月までの9ヶ月間で純減4,387、省庁再編にともなう減員で465とトータル4,852となり、昨年を約1500も上回って1985年度に次ぐ削減数となっている。とりわけ、行政職の削減幅が大きく、業務量の増大を顧みない「一律の増減抑制」がおこなわれている。また、新省庁再編でも、「減量効果」が強調された結果、各省横並びの削減が強制されている。「25%削減」目標の達成をめざした「数あわせ」の動きが、引き続き強まっていることをあらためて示した結果となっている。
なお、行革基本法が定める「10年間・10%」と「25%削減」の母数となる公務員数が、今回の査定を通じて「確定」し、2000年末時点の約54万8,000人となった。
以上のように、2000年度予算案は、国民生活と公務員労働者の労働条件をないがしろにし、バブル経済のツケである不良債権に苦しむゼネコンと金融機関の救済を第1目的にした浪費で、財政破壊を押し進める最悪の内容となっている。膨大な「借金」は、近い将来の消費税引き上げの大増税や、社会保障費など国民生活関連予算の削減、公務員削減の強化、さらには「政策インフレ」といった国民と公務員労働者へのツケ回しで「処理」しようとしているのが現内閣である。自らの失敗を国民に転嫁する暴挙を許さないためにも、2000年度予算案の「逆立ち」を徹底して批判し、無責任な財政運営を許さない国民世論をたかめていくことが求められている。
国公労連は、行政現場に働く労働者の組合として、行革闘争や国民春闘諸課題でのたたかいとも結合して、自自公政権の悪政を具体的に追及する取り組みをさらに強化する決意である。
1999年12月24日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 福 田 昭 生
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