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2001年1月26日、東京高等裁判所民事第一部(江見弘武裁判長)は、全税関賃金差別裁判の東京事案について、一審に続いて原告組合の請求を認める勝訴の判決を言い渡しました。判決は、「一審原告組合員と非組合員とを集団として対比する限り、格差がある」「関税局及び東京税関当局は一審原告組合員を嫌悪し、差別する意思を有していた」と認め、「当局が全税関労働組合に対して、職制を通じて組合分裂の動きを助長し、支援するなど、団結権侵害の違法行為を行った」と断罪し、慰謝料など250万円の支払いを命じました。これは、1999年2月の横浜事案東京高裁の勝利判決につづく画期的な判決と言えます。しかし、原告個人の損害補償の部分については、リボン・プレート闘争などの組合活動を非違行為とし、税関長の裁量権の濫用に当たらない、と不当な判断も出しました。 大蔵省(現財務省)・税関当局は、1961年12月に神戸支部三人の組合役員の首切り弾圧を行い、全税関つぶしと組合員に対する人事差別、第2組合の結成・育成を行ってきました。このような中でも、人事差別の是正について、交渉の場で解決を求めましたが、当局は一片の誠意をも示さないなか、1974年6月、東京・横浜・大阪・神戸の4支部と430名の組合員が原告となり、4億5千万円の損害賠償を求めて裁判闘争に立ち上がりました。 裁判長は判決言い渡しに先立ち、本裁判が26年の長きにわたって争われたことについて、司法当局の責任をも認め、「双方の話し合いによる解決をもとめる」異例のコメントを表明しました。 全税関の追及の中で、関税局長は「同じ職揚に働くものが争っていることは不幸なこと」「健全・良好な労使関係の醸成に努力する」と表明するものの、自主解決には背をむけ続けています。 本来、労使の紛争は、労使交渉で解決すべきものです。 私たちは、財務省・税関当局が全税関労組と誠意を持って話し合いのテーブルにつき、 「税関賃金差別裁判」と、それにつながる職場の諸問題を自主解決するため、以下のことを要請します。 1 判決を重く受け止め上告することなく、話合いのテーブルにつくこと。 2 裁判闘争を労使による交渉で早期に自主解決し、労使正常化を図ること。 以上、決議する。 2001年2月2日
日本国家公務員労働組合連合会 |