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国公労連は、本日3月7日午後、「国民の安全関わる要員の確保についての申し入れ」(別添)を提出しました。国民の命や安全直接守る医療や航空管制の職場の実態は、マスコミ報道でご存じのとおり、大変な状況です。国会では、2001年度の予算が審議されていますが、今こそ定員削減ではなく体制の拡充が求められていることを改めて申し入れました。 申し入れには、黒田書記次長責任者に、飯塚独法対策部長外1名と全医労、全運輸の代表が参加、行政管理局からは、定員総括担当の横田副管理官外1名が出席しました。 ○ 冒頭黒田書記次長から、「2001年度予算案では、『行革の姿をみせる』との定員査定の方針にもとづき、過去最高の純減となっている。これ自体認められるものではないが、その中でも、せめて、国民のいのちにかかわる分野での予算・要員の拡充が求められている。とりわけ、医療事後やニアミス事故が社会的問題にまで発展している今日の状況をふまえれば、看護婦や管制官の増員が重視されるべきだ。これらの要員については、定員削減計画の対象外とするなど、特段の手立てをとるよう強く申し入れる」と強調しました。 続いて、全医労と全運輸の代表から以下の主張がなされました。 (全医労) 医療事故が大きな問題となっている。国立病院・療養所では、人工呼吸器がらみの事故が多い。国立病院は日常的に人工呼吸器が必要とする患者が多い実状がある。医療事故はあってはならないものである。事故の背景に深刻な人手不足の職場実態がある。 公的医療機関の看護婦の配置状況は、資料でも明らかなように国立病院・療養所が一番悪い。医療事故はあってはならない、看護婦の手厚い配置をすべきだ。 国立松江病院で、人工呼吸器がらみの医療事故があった。事故後作成された防止のためのマニュアルで、ダブルチェックを行うこととされた。間違いを防ぐために複数人によるチェックが求められる。しかし人手が足りないので、一人が時間差でチェックをせざるを得ないのが実状だ。マニュアルも当然必要だが、何よりもそれを行うための人手が必要だ。 全医労として調査したが、人工呼吸器が、10台、20台動いている病棟はいっぱいあり、人工呼吸器を常時使う患者が18人いても、2人夜勤体制だった。 先日、患者や医療事故で家族を亡くした方も入った医療事故のシンポジウムを行った内容をとりまとめた。松江病院の事故調査委員会の提案なども入っているので、是非読んでほしい。 先ほども述べたように、公的病院では国立の看護体制が一番悪いが、民間病院は、「国立がそれで良いなら、うちも二人夜勤体制でいこう」という、悪い手本になってしまっている。 民間や公立病院の夜勤体制は、3人以上が大半であるが、国立病院・療養所では、3人夜勤体制が導入できている病棟は、2割程度である。二人で、病棟50人を看るようなところもある。月に9日以上の夜勤をする看護婦も3割以上いる。 (全運輸) 管制の業務に関わっては、先般の事故について管制官のミスと報道されているが、その背景にあるシステムや要員配置について適切であったか検討している。省内でも色々な議論がされている。例えば、訓練体制でも、全国の4つの管制部に809名の管制官がいるが、訓練定員の枠は40名だけだし、教官は9名しか認められていない。全国の空港管制には923名の管制官がいるが、教官は27名、一空港に1名程度しか割り当てられていない。十分な人員を割り当てるべきだ。 通信衛星を使った次世代の管制システムに移行していこうとしているが、常に定員削減の波をかぶっており、現場ではここまでやるのかという危機感が漂っている。 現在、職場では勤務表を工夫して、現人員で何とか体制の余裕を出そうと工夫し、4月から実施する予定である。しかし、この勤務表のルールもどういった問題点があるのか、十分検証されていないので、評価・検証するには十分な時間が必要だ。 (全医労) 管制の訓練の話が出されたが、国立病院・療養所でも、4月には看護学校を卒業したばかりの人が就職してくるが、看護学校では注射など患者さんの体に直接影響があるような実習はしていないため、職場で教育しなければならないが、人員が少ないため教育期間も少なく、4月中に夜勤に入る。みんな冷や冷やしながら働いている。せめて、半年は訓練期間が必要で、そのためのの人員をお願いしたい。 定員削減で、医師も薬剤師も少ないので、看護婦が何でもやらされている。医師も大変で、日勤を行い、そのまま当直夜勤をして、また次の日の日勤に入り、連続36時間勤務するようなこともある。医師や薬剤師や技師も含めて、もっと人員を増やすべきだ。 これに対して、横田副管理官は以下のように回答しました。 ● 皆さんの貴重なお話を聞かせていただいた。言われたとおり、ちょうど今予算が審議されているが、定員もネット減で、非常に厳しいものとなっている。財政状況もあり、努力すべきということでの結果でもある。 一方、増員を見てもらうと、昨年より増えている。定員管理は、人を再配分するということであって、行政需要の増大や新規の行政需要に対応したものである。増員数だけを見てもらうと、底を割ったというか、増加に転じた。 必要なところには、増員をしていかないといけない。全体を見て、効率化が必要なところは厳しく見ていくし、今回のところのように、人命に関わるところは増員が大きいのが望ましいが、どこからかごっそり減らして持ってくることができるところもそんなにないので苦労している。 お話は、確かにそのとおりで来年度以降も実績を見て作業に生かしていきたい。 この回答に対して、全医労代表及び国公労連から再度以下の主張を行いました。 (全医労) 国立病院が、日赤病院や他の公的機関と比べて看護婦の配置が悪いのは先ほど述べたとおりだが、独立行政法人移行に向けて、更に経営の合理化を図るために人員の削減が行われ、大変な状況になってきている。 ○ 国立病院・療養所は、色々問題がある。賃金職員問題などは、見かけ上定員を少なく見せていだけだ。総務省としても、定員の必要性を議員なり世論に働きかけていくべきし、ネックとなる総定員法の上限を引き上げるべきだ。先ほどの回答のように、こちらを増やせばあちらが減るではたまらない。 (全医労) 男女共同参画社会の実現が叫ばれているが、看護婦が育休あけで、就学前までの夜勤免除の制度の利用を申し出たら、退職願を書かされて、翌日から賃金職員に去れ、夜勤のない職場に配属されるということが起こっている。賃金職員にならなくても夜勤免除が実行できる人員をお願いしたい。 人事院が言っている看護婦の夜勤判定は、賃金職員も含めた平均値でやっと達成しているのが現状だ。独立行政法人移行前に、賃金職員も定員化すべきだ。 ○ 最後に黒田書記次長から「定員削減を『定員再配分の手段』と繰り返し主張するが、昨今の行政改革のもとで、定員が減らされているのは事実ではないか。医療事故やニアミスは、すべて要員不足を原因としているものではないが、病院や管制の職場では、人不足によって大変な不安をかかえながら仕事をしている。そのことを重く受けとめてもらいたい。来年度予算で、増員数が増えたというが、そのことは、裏返せば削減数が多かったということの反映にほかならない。いつも『行政改革は国民の声』と主張するが、国民は、決して看護婦や管制官の削減を求めていない。むしろ、国民の安全に関係する行政の拡充こそ求めている。そのことにも目をむけ、総務省としての検討を要請する」と締めくくり申し入れを終わりました。 |