公務職場の男女平等参画を求める決議
政府は1999年、男女共同参画社会基本法を制定し、それにもとづく男女共同参画計画を昨年12月に閣議決定した。政府の計画は、国連の女子差別撤廃条約の理念や、母性保護を前提とした男女平等は明記されていないことなど不十分さは残しつつも、真の男女平等の第一歩として職場や社会で活用していくことが求められている。
こうした流れのなかで、人事院は今年5月、「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を策定し、今年の人事院勧告では、育児休業・介護休暇の期間延長などについて意見の申出と勧告を行った。また、各省の人事担当課長会議で「国の行政機関での職員の旧姓使用について」申し合わせを行うなど、公務の職場でも男女平等社会をめざす枠組みが前進してきている。
これまでの労働組合と女性組織のねばり強い運動で、差別是正は着実に前進し、女性の職務や職域の拡大、管理職に就く女性も着実に増加し、能力を発揮して働き続ける女性が増え、国家公務における女性の地位向上が実現している。しかし、「指針」は、現在残されている男女格差の改善、男性も女性も家族的責任を果たしながら働くことのできる職場と、募集・採用から退職までの全ステージで男女平等を実現するという私たちの要求をふまえれば、決して十分なものとは言えない。男女平等を実現するためには、母性を守り、女性が平等に処遇される職場と、子どもたちの人権、女性の働く権利が保障される社会基盤の確立が欠かせない要件となっている。
一方で、女性に対する深夜・時間外労働の制限が廃止され3年が経過するなかで、多くの職場で、女性にも長時間・過密労働や単身赴任・長時間通勤が広がり、母性破壊・健康破壊がめだつようになっている。また、保育所の民営化や業務委託などがすすめられ、育児休業あけの保育所入所が困難になっているなかで、公的保育・学童保育の充実が急がれている。
私たちには、国家公務の職場で男女平等を実現するため、人事院指針をいかしたとりくみが求められている。そのために、年内にも策定される各府省の「女性職員の採用・登用拡大計画」に、積極的な要求を対峙した運動を強化する。現にある男女格差をただちに解消するための実効ある改善措置を強く要求する。
男性も女性も人間らしく働き、くらすために、超過勤務を規制し、不払い・サービス残業の根絶、業務にみあった職員の配置、さらには、家族的責任を無視した転勤の見直しなど、人間らしく働くルールの確立が緊急に求められている。
真の男女平等が花開く21世紀の社会をめざして、全国の職場で奮闘するものである。
以上決議する。
2001年8月30日日本国家公務員労働組合連合会第47回定期大会