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9月11日、米国でおきた同時多発の無差別テロでは、確認された死者218人、今なお5422人以上(いずれも9月17日時点、ニューヨーク市長発表)が壊れたビルのがれきの下で行方不明となっている。家族・関係者の悲しみは言語に絶し、野蛮なテロ行為に対する怒りと抗議の声が世界中でわき起こっている。私たちは、アメリカだけにとどまらず、国際社会全体の法と秩序に対する攻撃にほかならないテロ行為は、いかなる「大義」を掲げるものであっても、地球上から根絶しなければならないことを強く主張する。 世界中を震撼させた同時多発テロに対する各国政府等の対処が、連日マスコミを通じて報道されている。それによれば、アメリカ政府は、事態を「新たな戦争」と規定し、その報復措置として、大規模な戦争準備をすすめ、軍事行動にとりかかろうとしている。 小泉首相は、そのような米国政府の姿勢に、いち早い支持の態度表明をおこなったばかりか、「湾岸戦争での失敗」や「目に見える国際的協力」の呪縛にとらわれ、アメリカの軍事行動支援のために自衛隊の派遣等をおこなうことなど「7項目」の支援策を9月19日公表した。そして、その支援策具体化のため、自衛隊法の「改正」はもとより、1999年に強行成立させた「周辺事態法」(戦争法)関連法制の拡大解釈、あるいは改悪がねらわれている。また、「テロの危険性」を理由に、自衛隊が国内での「治安活動」を国会決議もなしにおこなうことも想定されている。憲法原則をも踏みこえる「有事体制」に「この国のかたち」を転換しようとする危険きわまりないねらいが見え隠れしている。 「暴力には暴力で」の報復は、問題の解決にはならない。 米国の人気女性歌手マドンナさんは、「暴力は新たな暴力を生み出すだけです。私も子供もみんな幸せに生きたいのです」と、同時テロ攻撃に対する報復行動を自粛するようブッシュ大統領に求めている。このことにも代表されるように、米国政府の性急な軍事報復の動きに対し、世界中で多くの識者が懸念を表明し、野蛮きわまりないテロ事件を一刻も早く地球上からなくすため、「法の裁き」に今回のテロ事件の容疑者・支援者を服させる努力に立ちあがっている。軍事報復、それに対する再報復・再テロ、さらには核戦争へと、終わりなきたたかいの崖っぷちに世界がさらされていることへの恐怖を共有しているからである。 戦後50有余年、日本国民が直接戦争に参加させられることなく、歩んできたことは、「戦争反対・核兵器廃絶」を求める草の根からの運動、「市民レベルのたたかい」があったからである。日本国憲法のかかげる恒久平和という全人類的な理念の具体化をもとめる国民世論と行動が、米国の軍事戦略のもとでの役割発揮を策動する日本政府を規制してきた。 平和な21世紀を作り上げるために歩んでいるいま、私たちは、その教訓にも学んだ立場をあらためて確認する。テロ事件を利用した軍事報復、軍事行動の世界的規模での拡大、それへの日本の自衛隊参加の道に反対し、国際法のルールに基づく、テロ行為者への厳しい断罪を求め、国際世論の力でテロ根絶をめざす道を支持し、取り組みに結集する。 2001年9月20日 日本国家公務員労働組合連合会 |