自衛隊の報復戦争参加法案の採決強行に強く抗議する(談話)
−「テロ特別措置法案」などの衆議院特別委員会
での強行採決にあたって−
 (1)本日、開かれた「テロ防止特別委員会」で、アメリカ軍などが「テロ根絶」を口実に開始した軍事報復に自衛隊が参加する「テロ対策特別措置法案」や、自衛隊による米軍と自衛隊基地の警備のための出動、「防衛秘密」漏洩罰則強化のための自衛隊法「改正」法案などが自公保3党の賛成多数で可決された。そして18日にも本会議で採決して参議院に送付し、審議もそこそこに、法案の早期成立をはかろうとしている。
 特別委員会での審議がはじまったのは、10月11日であり、この国の安全保障の根幹にかかわる重要法案としての、審議や国民的論議はつくされたいない。軍事的貢献をせまるアメリカの言いなりで、冷静な論議も経ないままに法案成立を急ぐことは断じて許されるものではない。国公労連は、政府・与党3党の暴挙に強く抗議し、自衛隊が報復戦争に参加することに断固反対する。
 (2)9月11日に発生したアメリカでの同時多発テロをはじめとするテロ行為は、平和と安全を願う世界の人々に対する重大な挑戦であり人類的な犯罪である。いかなる口実をつけようとも許されるものではなく、テロ集団の根絶のため、国連を中心に、告発と制裁を強めることは当然である。しかし、テロ行為への怒りを利用して、罪のない民間人を巻き込む報復戦争に、一部の国がひた走ることも許されない。国連を中心に、国連憲章に則り、人類的犯罪に裁きをつけることが道理ある対応であり、報復はその障害になりかねない。
 (3)しかし、「テロ特別措置法案」は、アメリカの報復戦争に自衛隊が一日も早く「参戦」することを最優先し、テロ根絶のための国際的な立場での努力は後回しにされている。法案に盛りこまれた「武器弾薬の輸送」は武力行使と一体であることは国際的な常識であり、自衛隊の派遣が想定されている地域は、米軍が戦闘地域としているところである。武力行使の為に戦闘地域に自衛隊がおもむくことは、報復戦争への参戦であり、憲法に違反する行為である。小泉首相自らが「つじつまが合わない」と答弁するように、この間の論議では、法案が憲法に反している事実が明らかになるばかりであり、それを覆い隠すために採決が急がれているとしか言いようがない。
 (4)また、「自衛隊の活動領域が広げられつつある中で、防衛情報が国民の目から遠ざけられかねない」(10月14日付朝日新聞)と指摘されるように、「テロ特別措置法」と一体で提出されている自衛隊法「改正」法案には、防衛秘密の保護を口実に、防衛庁長官が指定した「秘密」を漏洩した場合、自衛隊員のみならず各省職員や民間人の処罰をおこなう条文が含まれている。これは、かつて廃案となった「国家機密法」の一部を取り込んだものであり、有事法制の先取りにほかならない。このような重要な問題についての論議は、ほとんどおこなわれていない。
 (5)法案について、国民生活への影響や、憲法との関係を徹底して論議することは国会に課せられた最重要の使命であり、議会制民主主義の根幹である。重要な問題点については答弁を避け、「数の力」で成立を急ぐ政府・与党の姿勢は、独善といえる行為である。
 国公労連は、そのような民主主義を破壊する国会審議のあり方も含め、「テロ特別措置法案」の強行採決に、重ねて抗議する。「テロも戦争もノー」の声をあげている広範な人々との連携と共同を強め、平和と民主主義をまもり、自衛隊の報復戦争への参戦断念をせまる運動に力を尽くす決意である。

  2001年10月16日

日本国家公務員労働組合連合会  
書記長  小 田 川 義 和


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