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本日開催された参議院本会議で、アメリカの報復戦争に自衛隊を参加させる「テロ対策特別措置法」、「防衛秘密」を漏えいすれば民間人も懲役刑に問われることになる「自衛隊法改正法」などが、自公保などの賛成で成立した。恒久平和の実現に努力することを国際社会に宣言し、戦後50年間、いかなる戦争にも参加してこなかった日本の重大な進路にかかわる法律が、極めて短期間の審議で成立したことに、私たちは大きな危惧を感じるとともに、高まる国民の反対の声を押し切って法の成立を強行したことに、強く抗議の意思を表明する。 9月11日に発生した「同時多発テロ」をはじめ、その後も頻発しているテロ行為は、断じて許されるものではない。重大な犯罪行為として、国際的な法とルールに則って、行為者に厳格な処罰が下されるべきは当然のことである。しかし、「目には目を」の報復では、事態が改善せず、むしろ憎しみを増幅する結果になることは、アフガニスタンへの米英の軍事行動がはじまった以降の状況からも明らかになってきている。そのようなこともあって、平和憲法を持つ日本が何をすべきかの冷静な論議が国民的にもはじまっている。にもかかわらず、こうした時点での法の成立強行という拙速さにも重ねて抗議する。 今回の法案審議では、小泉首相の「対米公約」にそって、自衛隊を米国の軍事行動に参加させることに焦点がおかれ、「自衛隊は常識的に考えて戦力」、「憲法は国際常識に合わない」などとする政府答弁があいついだ。自衛隊を戦争に参加させることが「常識」であり、憲法改正することが「常識」であるとするような論理は、憲法遵守の義務を負う国公労働者として、到底認めることはできない。法治国家において、国の最高法規を首相自らが無視するのでは、政府・行政に対する国民的信頼は成りたたない。 審議では、「戦時体制」、「戦時経済」など、古色蒼然とした言葉も飛び交った。そのような単純な言葉の陰で、憲法の基本原理が軽視され、国民の基本的人権の制限も当たり前とする風潮につながる危険性さえ生じている。私たちは、20世紀の前半、「戦時体制」のもとで、国家の利益を口実に、国民が戦争に動員され幾千万もの人々の命が理不尽に奪われた歴史を、そして、公務員が「天皇の官吏」としてその体制を支えてきた歴史を、断じて忘れることはできない。 「テロ対策特別措置法」が成立し、実施計画が11月初旬にも策定され、自衛隊の報復戦争への参戦が具体化されようとも、私たちは、「テロも戦争もノー」、「報復戦争は直ちに中止を」、「平和憲法を守れ」の声をあげ続け、行動し続ける。21世紀を、戦争も貧困も差別もない時代として、次の世代に手渡すために。 2001年10月29日 日本国家公務員労働組合連合会 |