国民のくらし重視の特殊法人改革を
−政府与党の「特殊法人改革」合意にあたっての談話−
 政府・与党は、11月26日、特殊法人改革にかかわって、「先行7法人の改革の方向性」について合意し、本日(27日)の特殊法人等改革推進本部で「基本方針」として決定された。政府は、残り156の特殊法人等の「整理合理化計画」の検討をすすめ、12月中旬に、公務員制度改革などとともに、閣議決定することをねらっている。

 合意内容は、日本道路公団など4公団について民営化するとしつつ、焦点となっていた高速道路「未完成区間2400キロ」の建設を容認し、借金の償還期間を50年とすることや、一般予算を投入する国直轄方式での建設を打ちだしている。また、3兆8千億円にのぼる本四連絡橋公団の負債を国鉄同様に国民負担とする内容となっている。住宅金融公庫の廃止にかかわって、個人住宅への融資の保障もないままに民間金融機関まかせとし、都市基盤整備公団廃止では、公共住宅の建設にかかわる国の責任をなげすてる一方で、都市再生名目での開発法人の新設をおこなうなど、国民生活の実態を顧みないものとなっている。さらに、石油公団の廃止、民営化では、融資事業を「類似法人に統合」して移しかえるる「看板の付け替え」と同時に、税金による「国産石油メジャー会社」育成の思惑を露骨に示している。総じて、大企業の食い物にするための特殊法人改革と言わざるをえない。

 もともと、特殊法人改革は、国民の資産である郵便貯金や年金積立金を財源とする野放図な公共投資を抑制し、官僚の天下り先として利権化している状況の是正がめざされたはずであった。しかし、合意内容は、公務員制度改革など他の改革と同様に、本来の改革目的は全く手つかずのまま、利権の温存の改革となっている。また、住宅金融公庫の廃止などとかかわって、残すこととされる業務は独立行政法人設立して行わせることことが検討され、その関連で、独立行政法人への国からの補助金支出を可能とする独法通則法の「改正」まで準備されようとしていることも問題である。本末転倒ともいえる論議であり、独立行政法人制度をさらにゆがめる危険性さえもっている。

 構造改革をいうのであれば、国民生活関連の特殊法人と大企業奉仕の特殊法人の種別とをおこなったうえで、「公共投資50兆円」を抑制する観点から、本来、企業や業界の責任で行うべき事業は廃止し、残債務についてもこの間利益を享受した業界に負担させるべきである。一方で、国民生活にかかせない事業については、国の実施責任を明確にしつつ、国民のニーズに応えた事業展開をおこなうための制度改革を進めるべきである。
 政府は、12月にむけ、奨学金の改悪や中小企業融資の縮小・廃止など、激痛に耐えている国民に追い打ちをかける特殊法人改革や、公務員制度改革とかかわる「出向役員制度」なども検討している。国公労連は、政権維持を優先した妥協の産物として合意され、利権温存、国民生活切り捨ての特殊法人改革に反対し、まともな改革を求める立場で、国民共同の発展をめざして奮闘する決意である。

2001年11月27日

日本国家公務員労働組合連合会
書記長 小田川義和

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