一般職国家公務員の育児休業等及び勤務時間法の一部改正法の成立にあたって(談話)

 国会は、11月30日、「国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案」を可決成立した。
 法案は、2002年4月1日を施行日に、育児休業の対象となる子の年齢を1歳未満から3歳未満に引き上げる、部分休業の対象となる子の年齢を3歳未満に引き上げる、代替要員の確保措置として臨時的任用の他に新たに任期付採用をおこなうことができる、介護休暇の期間を連続する3月から6月に延長する、さらに、共済組合法については、育児休業給付金を1歳未満児まで、共済掛け金の本人負担についても同様とする改正をおこなった。
 育児休業制度は1992年の発足から取得する職員の数は増加し、人事院調査で平成12年度5467人となっている。取得者の過半数が9ヶ月以上となっており、保育制度の不十分さを反映して期間延長や所得保障の充実、代替要員確保など改善要求は切実なものとなっていた。臨時的任用が5割弱、非常勤の採用が2割強と約7割で代替要員の確保がされている。所得保障の改善とともに、定員削減が急速に進む職場では、代替要員確保が急務となっている。とりわけ、資格職種の確保が困難という状況にある。この間、育児休業手当金・介護休業手当金は25%から40%へ引き上げられ、期末手当の基準日条項の廃止などの改善がされてきた。
 今回の改正法案は、我々の要求と運動を反映し、期間の延長及び代替要員確保で改善がされた。しかし、延長された期間の所得保障はまったくなく、更に共済組合本人負担の軽減措置もないなど、経済的な救済がないなかでの期間の延長となったことは問題である。育児休業の対象職員は賃金の低い若年者が圧倒的に多い中で、選択肢が拡大したとはいえ、無給では選択を制約にすることになる。介護休暇についても同様、介護は経済的な負担が大きく、いずれも国による所得保障の確保が求められる。
 代替要員の確保では、任期付き任用職員による措置が新たに加わっている。このことは一定の前進と評価するが、一方、休業期間の変更を困難にする可能性や任期付き任用職員の拡大を危惧する。長期雇用の臨時職員を対象にしていない点でも職場に混乱を持ち込んでおり、改善が求められる。部分休業は、制度的に実効性が薄く、取得者も少ない。時短措置として、小学校入学前まで延長すべきと考える。
 この休業、休暇の取得者の多くが女性という現実は、このような制度の不十分さとともに、昇任・昇格等の遅れなど間接的なペナルティーがおこなわれていることも影響している。男女がともに職業生活と家庭生活を両立させていくために、社会的な意識を変えることも必要である。そのためにも子育てや介護の社会化が求められている。そして何よりも家庭生活をかえりみることを困難にする長時間・過密労働を改善し、男女ともに人間らしく働くルールを確立することである。真の男女平等を実現する足かがりとして両制度の職場での定着と制度の更なる改善要求のとりくみを引き続き強化するものである。

2001年11月30日

       日本国家公務員労働組合連合会
書  記  長   小田川 義 和
女性協事務局長   阿 部 春 枝

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