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1965年人事院「夜勤判定」(複数・月8日以内)の実施を求めて30226人が参加した全医労の91年11.13時間内職場大会から10年が経過した。厚生省(当時)は92年3月19日、全医労本部役員・支部役員ら3090人(戒告173人・訓告399人・厳重注意2518人)の処分を発令。戒告処分を受けた173人は同年4月、不利益処分不服審査を人事院に請求。人事院は、5カ所で公開口頭審理を行い、94年5月25日、労働条件の改善を怠ってきた厚生省と自らの責任を棚上げし、1事案を除き、すべて棄却した。 94年8月23日、全医労は、処分の取り消しと「棄却判定」の取り消しを求めて、西下副委員長(当時)ら12人を原告として、厚生省と人事院を相手取り、東京地裁に提訴した。裁判では、看護婦等の劣悪な労働実態が赤裸々となり、患者さんに良い医療を提供する土台である医療労働者の人権回復を訴えた。また、団体交渉拒否、賃金職員攻撃、看護婦の長時間夜勤・二交替制の強行導入の実態が明らかにされた。しかし、99年4月15日、東京地裁は「原告らの請求をいずれも棄却する」不当判決を言い渡した。二審の東京高裁も、2000年11月29日、全医労の控訴を棄却したため、全医労は上告し、現在、最高裁判所第三小法廷(金谷利広裁判長)に係属している。 91年当時、人事院「夜勤判定」が国立病院・療養所において、26年にわたって実現されていなかったばかりか、実現のための具体的方策もまったく明らかになっていなかった。65年人事院判定から36年たった今も、国立病院・療養所では約3分の1の看護婦が月9日以上の夜勤をおこなっており、今日の医療の「高度化」の下で、2人夜勤体制では、行き届いた看護ができず、3人以上の夜勤体制実現が早急に求められている。昨今の医療事故の背景には、経営効率優先の看護「合理化」とともに、慢性的な人手不足がある。国立病院・療養所の看護婦配置人員はきわめて少なく、患者さんの安全確保のためには、抜本的な看護婦等の増員が必要である。 一、二審において裁判所が、公務員の労働基本権制限の代償として、迅速公平に実行されなければならないはずの人事院判定が26年経過した時点で実現していなかったことを認めたにもかかわらず、「延引しているだけである」という理由で、原告の主張を退けたことは到底理解できない。最高裁判所は、苛酷な勤務条件のもとで、日々医療現場を守りつづけている看護婦の願いを受け止め、口頭弁論を開くべきである。われわれは、全医労の仲間とともに、最高裁判所の公正な判決を求めてたたかうものである。 2001年12月15日 国公労連第112回拡大中央委員会 |