(声明)2002年春闘統一要求に対する政府・人事院回答をうけて
−「雇用、くらし、いのち」を守るたたかいをさらに強めよう−

 本日、政府・人事院は、国公労連の「2002年春闘統一要求書」に対する回答をおこなった。その内容は、「子どもの看護休暇」について、要求に照らして不満はのこるものの、「年5日の範囲内での特別休暇」として4月から実施するという前進的な回答も含まれている。しかし、「17000円(4.5%)の賃上げ」や「賃金3目標」などの賃金要求については、「労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度を維持尊重」(政府)、「官民較差に基づき適正な給与水準を確保」(人事院)とする従来回答に固執しつづけるものであった。

 3月13日を中心におこなわれた電機、自動車など大企業の賃金回答は軒並み「ベアゼロ」であり、電機にいたっては「賃金体系維持」の回答直後に、賃下げや定昇の「凍結」を逆提案している。このような春闘全体の状況からすれば、「人勧制度尊重」、「民間準拠」との政府・人事院の回答は、マイナス勧告とその「完全実施」の危険性に言及したものと受けとめざるをえない。
 2年連続の俸給表改定「見送り」、3年連続の一時金切り下げなどの結果、国公労働者と家族は、生活水準の切り下げを余儀なくされている。過酷な定員削減のもと、長時間過密労働が蔓延し、「過労死」の危険性が高まるほど労働実態は悪化している。国公労連は、そのような生活・労働実態をふまえた切実な要求に背を向ける政府・人事院の「回答」を受けいれられるものではない。

 2002年春闘をめぐっては、財界が「ベアゼロ・「賃下げ」と、身勝手なリストラ「合理化」・雇用破壊攻撃をかつてなく強め、小泉「構造改革」がこれを後押しし、医療制度改悪などさらなる「激痛」を強いようとする状況のもと、企業内から外に打ってでる共同の拡大で、要求前進の展望をきりひらく取り組みが求められていた。
 しかし、安価な労働力を求めて生産拠点を海外に移転させる企業経営が加速し、不良債権処理の名による中小企業つぶしの嵐が吹きあれる中で、正規労働者の雇用確保を最優先する連合・大企業労組の取り組みに影響を及ぼすほどの共同を作り出すまでにはいたらなかった。むしろ、過去最高の1兆円の利益を計上することが確実なトヨタ自動車の労組が、日経連の「指導」もうけた会社側の「圧力」を打破できなかったことに象徴されるように、労働組合の闘争力低下を印象づける結果となった。同時期、ストライキを背景に、2年間4%の経営側提案を拒否し、6.5%引き上げをあくまで主張しているドイツ・IGメタルとの違いは明らかである。

 しかし同時に、手づまりとも言える労働運動の状況に、変化がおきはじめていることも見逃せない。全労連・国民春闘共闘が、小泉「構造改革」と対峙する医療制度改悪反対のたたかいでは、1万5千人を結集した「2.14国民大集会」などの成功も契機に、開業医、商工業者、農民団体などとの広範な共同が広がり、国民的な運動が前進している。そして、そのような状況も背景に、4月12日には全労連・国民春闘共闘が諸団体とも共同した「国民総行動」への決起を呼びかけており、連合も同様の課題で4月10日・11日に「ゼネラルアクション」への結集を呼びかけている。
 切実な要求の一致点での国民的な運動が前進しようとしており、その「流れ」を確かにしていく努力を尽くすことが求められている。政府・財界が、なりふり構わぬ攻撃を強めているからこそ、情勢を変える意気込みで、「4・12国民総行動」の成功をめざすことが大切である。政府・人事院の不当な回答をはねのけ、行政減量化、公務員制度改悪などの「構造改革」の流れを変えるためにも、この「国民総行動」の成功に全力をあげよう。

 相次ぐ自民党代議士の「離党」にも示されるように、あらためて「政官財ゆ着」の構造が、この国の隅々にまで張りめぐらされ、税金が「食い物」にされている事実が明らかになっている。そして、そのような事実が露呈する中で、政府が昨年末に決定した「公務員制度改革大綱」の非民主的側面が浮き彫りになっている。「キャリアによるキャリアのための制度改革」に協力姿勢を示す政府・総務省の回答は、その点でも厳しく糾さなければならない。民主的公務員制度の確立を求め続けてきた国公労連の主張と運動の正当性をあらためて確認し、「大綱」の撤回・修正をせまる職場・地域からの取り組みをさらに強めよう。

 本中央闘争委員会は、2月下旬の「地域総行動」や3月13日の中央行動、14日の地域宣伝行動など、職場・地域から春闘構築をめざして奮闘されてきた仲間たちに、心から敬意を表する。そして、情勢の変化もふまえて、「4・12国民総行動」での休暇宣伝行動やブロック連鎖キャラバン行動の成功にむけ、全組織と組合員があらゆる努力を尽くすことを呼びかける。
 「たたかいなくして要求の前進なし」、その当たり前のことがあらためて明確になった今、憲法違反の「有事法制」に反対し、「雇用、くらし、いのち」を守るため、決意もあらたに春闘後段の取り組みに全力をあげよう。

2002年3月19日

日本国家公務員労働組合連合会
第6回中央闘争委員会

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