国公FAX速報 2002年6月14日《No.1265》
許さない! 医療改悪・有事法制・公務員賃金切り下げ
−2002夏季闘争第1次中央行動を展開−

 6月13日、国公労連は、02夏季闘争第1次中央行動を展開しました。梅雨入りしたばかりで、ときおり強い雨が降るあいにくの天候でしたが、最終盤を迎え緊迫する国会情勢をふまえた国会前座り込み行動を皮切りに、竹中大臣の「公務員賃金切り下げ発言」にかかわっての経済財政諮問会議への抗議・要求行動、有事法制・医療改悪反対街頭宣伝に取り組み、最後に、「医療大改悪反対!有事法制許すな!6・13中央集会」に結集し、国公の仲間400人が奮闘しました。

★悪法阻止へ国会前座り込みから中央行動をスタート

 雨の中にもかかわらず、国会前座り込み行動には、全労連や国民大運動の仲間600人が参加、国公からは180人が結集し、この日の中央行動は始まりました。
 昼の国会前集会で、国公労連・遠山副委員長は、「悪法をめぐって国会情勢が緊迫するなか、国公労連は当初の夏季闘争第1次中央行動を前倒しして、本日の国会行動や夜の中央集会に大きく結集すべく行動を展開している。小泉構造改革による国民各階層への“痛み”は耐え難いものとなっている。先日、竹中大臣が公務員賃金を切り下げると発言した。公務員賃金切り下げをさらなる突破口に、民間労働者の賃下げや増税をねらうことは許さない。日本経済の不況深刻化、賃下げの悪魔のサイクルを断ち切るたたかいを進める」と力強く述べました。
 国会情勢について、共産党・佐々木憲昭衆議院議員は、「情報公開請求者のリスト作成問題についての防衛庁報告書をめぐって、いま国会はすべての委員会がストップしている。与党3党が圧力をかけて防衛庁報告書を改ざんし全文を隠ぺいし、その上、反省もせず与党は開き直っている。こんな国会と国民をないがしろにしたルール破りを許すわけにはいかない。国民世論は悪法への反対が急速に大多数となってきている。有事法案・医療改悪法案をはじめ、すべての悪法を廃案に追い込もう」と報告しました。

★ルール破りの竹中「賃下げ発言」糾弾!〈経済財政諮問会議抗議行動〉

 座り込みにつづいて、合同庁舎4号館(旧総務庁)前に移動し、経済財政諮問会議抗議・要求行動に取り組みました。主催者あいさつで、国公労連・山瀬副委員長は、「この場所で、行動に取り組むのは1年半ぶりだ。2000年11月17日に20世紀最後の秋季年末闘争第3次中央行動に取り組み、当時、この庁舎に入っていた総務庁に対して要求行動を行った。歴史を思い起こすと、1991年3月、給与遅配問題が発生し、初めてこの正門前に座り込んだ。以来10年間、閣議決定期を中心にこの場所でたたかいを積み上げてきた。そして現在、総務庁が総務省になって、この庁舎から移動したが、竹中大臣が公務員賃金切り下げ発言を行い、この庁舎で経済財政諮問会議を取り仕切っている。政府は財政赤字を口実に賃金カットを言うが、この赤字をつくったのはいったい誰なのか。大義ある追及を行い、奮闘しよう」と述べました。
 そして、全労連幹事の林さん(建交労出身)から、「民間では、02春闘で妥結できずに、春闘と夏季一時金のたたかいがダンゴとなるなど、たいへん厳しい状況だ。労働者のふところをあたためることなしに景気回復はない。公務・民間の賃下げ、景気悪化となる悪魔のサイクルをともに断ち切ろう」との激励・連帯あいさつをいただきました。
 つづいて、国公労連・小田川書記長は、要旨次のように情勢・闘争報告を行いました。

 02夏期闘争の最初の中央行動を、経済財政諮問会議がおかれるこの場に配置することに、いまの情勢の特徴が端的に示されている。
 政府は、来年度予算、概算要求にむけた方針=「骨太の方針第2弾」を6月26日からのカナダ・サミット前にとりまとめようとしている。その内容は、財政難や予算の重点化を口実に、年金負担増・給付削減、失業給付や生活保護の削減などを行うとともに、税源確保の観点から所得控除の廃止や、赤字企業にも税負担をせまる外形標準課税の導入などであるといわれている。その一方で、研究費などの税免除というあらたな大企業優遇税制は先行する構えでいる。
 小泉構造改革は、「自民党をぶっ壊す」のではなく、「国民生活を破壊する」ものであり、「構造改革なくして成長なし」は、「国民生活の破壊なくして企業の国際競争力強化なし」というべきものだ。
 そのような歳出見直し、国民生活への痛みの押しつけのための突破口に、公務員賃金・人件費の削減を位置づけていることに激しい怒りを感じる。労働基本権を制約し労働条件決定への参加を制約しながら、財政事情や政策を口実に、ルール破りを政府がおこなうことは、民主主義の否定であり、基本的人権侵害にほかならない。
 いま、ジュネーブではILO総会が開催されているが、その前段で開催された結社の自由委員会では、1999年に岡山県が人事委員会勧告を無視して賃下げを行ったことに対する岡山県高教組の申し立てに対する勧告が決議された模様である。その内容は、教員労働者の団体交渉権保障を基本に、仮に代償措置=人事委員会を維持するのであれば、その勧告の完全実施の制度化を求めている。労働基本権制約というリスクを労働者に強いるのであれば、その結果の尊重、実施の責務を負うとするものであり、かりに政府が国政全般とのかかわりで勧告内容に介入する場合には、労働基本権制約の緩和というリスクを負うべきであるという結論になることは明らかだ。
 政府の責任で労働者・国民の基本的人権実現にむけてルールを守るということが、経済財政諮問会議など政府の論議でかけている最も重大な問題だ。身勝手な企業の論理、経済活動の自由さえ保障すればいいとの姿勢に、いま、国民の批判が集中している。
 報道されるところでは、人事院が進めている地域の賃金水準反映の検討を促進するよう求める姿勢だとも言われている。公務員賃金の水準だけではなく、賃金配分にまで口出しすることは、現行の交渉権保障さえないがしろにするものである。
 政治主導は、一人の権力者、一部の行政機関に政策決定権限を集中させるものだが、それだけに、その権限を行使する側の民主主義意識、人権意識が問われる。その点で、最も信頼できない現政権に、政治主導を語る資格はない。
 このような政治のあり方の転換、人権実現、生活擁護のたたかいとも結んで、不当な政府の勧告への介入、賃下げ攻撃をはね返すため、夏期闘争に全力をあげよう。

 そして、単組からは、「人勧尊重という基本的なルールをまったく無視した竹中発言に、職場では大きな怒りが渦巻いている。750万人に影響する公務員賃金を切り下げ、さらなる不況の深刻化をまねくことも、私たちのこれ以上の生活悪化も、断じて許さない」(全法務・田中書記次長)、「霞が関で働く仲間は、“不夜城”の中で、深夜におよぶ残業がくり返され、そのほとんどがサービス残業で賃金が支払われていない。劣悪な職場環境の中で、仲間は奮闘している。人勧を無視した竹中発言を糾弾する」(全運輸・幅中央執行委員)、「憲法じゅうりんの有事法制をごり押しする小泉内閣の無法ぶりと、竹中発言は軌を一とするもの。“公務員いじめ”の手段をもって、国民との対立をあおり、賃下げの悪循環をすすめる小泉内閣に抗議する」(全厚生・國枝中央執行委員)と、怒りの決意が表明されました。
 抗議行動の最後には、「4年連続の賃下げは許さないぞ!」「竹中大臣の『賃下げ発言』糾弾!」「公務労働者の働くルールを守れ!」と、合同庁舎の職員も驚く怒りのシュプレヒコールが1年半ぶりに旧総務庁前にこだましました。

 その後、参加者は、虎ノ門交差点付近に移動し、有事法制・医療改悪反対の宣伝行動を約1時間取り組みました。雨の中で署名は行えませんでしたが、180人の仲間が元気にビラを配布しました。そして、宣伝カーから、各単組の代表が訴えると、タクシーの運転手の方が手をふり応えてくれるなど反応も上々でした。
 中央行動の最後の取り組みとして結集した「医療大改悪反対!有事法制許すな!6・13中央集会」には、全体で3000人、国公から400人が参加し、医療改悪・有事法制などすべての悪法の廃案を求め、集会と国会請願デモを行い、この日の行動を終えました。

 ★本日、与党が単独で医療改悪法案の委員会採決を強行
 暴挙許さず廃案へ運動強化を〈怒りの緊急議面抗議集会〉


 6月14日、午前9時より自公保与党は、野党4党欠席のまま衆院厚生労働委員会を開き、午前10時13分、医療改悪法案を強行採決しました。
 野党4党は午後より衆院議員会館内において政府与党に対する抗議集会を開くとともに、悪法廃案に向けさらに結束してたたかうことを確認しました。全労連・中央社保協などは連帯して、10時30分より衆院議面にて緊急抗議集会と、与党厚生労働委員に対する抗議要請行動を行い、さらに昼休みの議面集会を開催。民医連の代表は「窓口負担が増え、患者さんはさらに病院へ通えなくなり病状を悪化させる。悪化させればさせるほど治療に要する医療費が高くなる。また、患者さんが減ることで病院の経営も悪化する。試算では収入が13〜20%も減ると見られており、地域医療の破壊につながる」と今法案の危険性と廃案の必要性を訴えました。
 集会では、(1)委員会与党単独採決は民主主義をふみにじる暴挙であり強く抗議する、(2)今後も国民への宣伝・署名行動を強め必ず廃案に葬り去る、ことを確認しました。
以上

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