「大綱」撤回と民主的公務員制度確立を
求める決議

1.政府は、昨年12月25日、私たちの強い反対を押し切って「公務員制度改革大綱」の閣議決定を強行した。そして、行革推進事務局は、4月25日に「行政職に関する新人事制度の2次原案」を提示するなど、2003年中に国公法「改正案」の国会提出、2005年度までに関係法律・政令など下位法令の整備、2006年度に新制度への移行、という「改革スケジュール」にあくまで固執して作業を進めている。
 また、総務省は、「大綱」にもとづく退職金手当制度の見直しや地公法「改正」の準備作業を進めており、最高裁をはじめ関係省庁では、行政職以外の職種に関する「改正」内容の検討も平行して進められている。
2.「大綱」は、公務員労働者の労働基本権を制約したまま、能力等級制度と評価制度を柱とする“信賞必罰”の「新人事制度」の検討を最優先し、各府省の人事管理権限の強化と人事院の「代償措置」を含む機能・権限縮小を図ろうとするものであった。
 とりわけ問題なのは、「政財官ゆ着」の温床である「天下り」の自由化や特権的キャリア制度の合法化、「官民交流」拡大による公務労働の形骸化、「国家戦略スタッフ」創設による政権党への従属など、国民の批判を無視して憲法理念にもとづく公務員制度を根本から覆そうとするものであった。
3.こうした政府・行革推進事務局の「公務員制度改革」に対し、国公労連は、労働基本権の回復、「天下り」禁止など公務員制度の民主的改革、能力・業績主義強化の制度改悪反対という「三つの要求」を実現するため、750万労働者との共同拡大、政府・各省当局の使用者責任追及、職場の闘争態勢確立という「三つの運動」を全国的に展開してきた。
 また、日本労働弁護団が「公務員制度の改革についての要望」を出し、さすがの新しい日本をつくる国民会議(21世紀臨調)も「公務員制度改革に関する緊急提言」で批判したほか、人事院も2002年勧告の「公務員制度改革に関する報告」で一定の対案を出すなど、「大綱」や「新人事制度2次原案」の問題点と矛盾が噴出してきている。
4.しかも、6月3日から開催されたILO第90回総会では、98号条約に係る条約勧告適用専門家委員会の場で日本政府の対応に再び国際的批判が集中した。そして、日本案件に関わる議長集約では、公務員自らの賃金決定参加への著しい制限に対する懸念、「国家の運営に関与しない」公務員への労働基本権の適用、現在進行中の公務員制度改革での関係労働組合との十分な協議、などが強く表明された。
 これは「労働基本権制約は現状維持」とする「大綱」がILO98号条約の「完全な履行」からほど遠いとする認識を前提にしたものであり、改めて政府に「大綱」撤回・修正を迫るとともに、全労連や連合の提訴に対する11月のILO結社の自由委員会にむけた対応強化が求められている。
5.そのため、国公労連は、今秋闘から来春闘にかけて、(1)民主的公務員制度確立を求める国会請願署名100万筆の目標達成、(2)労働基本権回復をめざす国内外の取り組み強化、(3)内部告発権保障や公務職場での「働くルール」確立など、民主的改革実現をめざす取り組みの強化、(4)一方的な評価制度試行や国公法改正案とりまとめを許さない政府・使用者の追及強化、の4点を重視し、「1万人講師団」の確立を背景に職場・地域からの全国的なたたかいを徹底的に強化するものである。
 以上、決議する。

 2002年8月30日

国公労連第48回定期大会

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