衆院憲法調査会が「中間報告書」を提出
平和原則の改悪をターゲットとする策動は許さない 憲法会議が談話を発表
◇衆議院の憲法調査会は、「中間報告書」を論点整理として、11月1日に衆院議長に提出しました。国公労連も参加する憲法会議は、事務局長談話を発表しました。その全文を紹介します。
〈談話〉衆院憲法調査会「中間報告書」の提出にあたって
2002年11月1日 憲法改悪阻止各界連絡会議事務局長・川村俊夫
一、衆議院憲法調査会は本日、2年半余にわたる調査についての「中間報告書」を衆院議長に提出しました。「憲法と現実との乖離」が共通して指摘されてきたにもかかわらず、その実態と原因についてのまともな調査もせずにまとめられたこの「報告書」は、「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行う」(憲法調査会規程第1条)とした調査会の「目的」とはほど遠いものです。私たちは、「議長に提出することができる」(同第2条)としかされていないこの「報告書」を、衆院本会議で報告することによって権威づけようとしていることに強く反対します。
一、650頁におよぶ「中間報告書」の中心的部分である「委員及び参考人等の発言に関する論点整理」も、調査の内容を正確に反映したものとはいえません。同調査会がこれまでおこなってきた調査は、「憲法制定の経緯」、「21世紀の日本のあるべき姿」、さらに(1)基本的人権の保障、(2)政治の基本機構のあり方、(3)世界の中における日本のあり方、(4)地方自治の4つの分科会の名称に示されたテーマによるものですが、「報告書」は「憲法制定の経緯」以外はこれらのテーマを無視し、日本国憲法の前文から逐条的に、しかも条文ごとに細目を設け、委員や参考人の発言の関連する部分だけを切り取って羅列しています。項目の立て方も、切り取り方も恣意的なものであり、委員・参考人発言の全体の趣旨を必ずしも正確に伝えているとはいえません。また、改憲を主張する同じ参考人の発言がたびたび登場するなど、公正さを欠くものとなっています。
一、この間5回にわたって開かれた地方公聴会では、いずれも憲法の平和的・民主的原則を現実に生かすことを求める陳述が多数をしめたように、「中間報告書」に盛られた改憲の主張は決して国民の意思を反映したものではありません。同調査会の中山太郎会長は、この「報告書」を改憲案の基礎となる「最終報告書」へのステップとする意図をあけすけに語っています。しかし、改憲案の作成を任務としたかつての内閣憲法調査会とは異なり、今回の調査会は「議案提案権をもたないことを確認」(「申合せ」)して設置されたものであり、そうした逸脱は断じて許されません。
私たちは、今後の衆院憲法調査会の運営がその目的・権限を逸脱することのないよういっそう厳しく監視することが必要です。同時に私たちは、憲法改悪のあらゆる企てに反対し、世界でも先駆的・先進的価値をもつ日本国憲法の平和的・民主的原則を21世紀の日本と世界に輝かせていくためにさらに奮闘する決意を新たにするものです。
以 上
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