国公FAX速報 2002年11月13日《No.1331》


特殊法人改革で国会審議始まる
 11/11衆院特殊法人等改革特別委員会

 特殊法人改革関連法案の実質審議が11月11日の衆院特殊法人等改革特別委員会で始まりました。与野党が小泉首相の改革に臨む姿勢をただしましが、以下審議の概要を紹介します。(午前中行われた民主党の生方幸夫議員と筒井信隆委員の質疑は、不良債権処理や農水省秘書の口利き問題等のみのため割愛)

<伊吹文明議員(自民)の質問>
伊吹:46本の法律は、できるだけ公から民へ、国から地方へという流れの中での小泉改革の一環ではあるが、国家本来の大きな役割を果たす位置づけだと思う。どういう時代認識で、構造改革を進めているか。
小泉首相:役所では本来の効率性、民間の意欲というものが活かされるか、役所の公共性と民間の効率性を加味した法人が必要、民間だけではできないということから特殊法人が出てきたが、目的をもう一度見直そうということだ。廃止できるものは廃止、廃止も民営化もだめならより独立性の高い独立法人化ということだ。基本認識は同じと思う。
伊吹:特殊法人改革に際しては、何を残し何を変えるかが大切だ。総理の改革には、利益とか効率にウエートがかかり過ぎている。
小泉首相:よく学びよく遊ぶという言葉がある。子どもだけでなく大人も大事だ。勉強より遊びがいかに人間性の涵養に役立っているか。遊びの精神、無駄の効用を考えることが大切だ。

<山名靖英議員(公明)の質問>
山名:国民のお金が大量に使われている。不透明部分もある。効率も悪い、民業を圧迫している。天下り先になっている。現在のキャリア制度のシステムをを温存していては、独法も第二の特殊法人になりかねない。
小泉首相:一度できた組織は増殖、肥大化し、天下り機関化している。そういうものを改革する。公務員制度もそうだ。恐れず、ひるまず各論に入っていく。
山名:トップ人事には公募式の採用を取り入れたらどうか。
片山総務大臣:民間も入れて幅広く選ぶが、公募は名前はいいが、効率が悪い。誰がくるかわからないし数も多い。趣旨を体して今後選考する。
山名:事業評価だが、これはをしっかりやらないといけない。評価委員会の人選に当たっては、公正、中立、厳正にやる必要がある。
片山大臣:今回の独立行政法人制度のポイントの一つは、評価委員会の事後評価だ。最初は中期目標を与えて自由にやってもらう。事後はしっかり評価し、責任も問うということであり、いい人を選んで、しっかり事後評価をしてもらう。
山名:道路公団等悩ましい法人が残されているが、取組への姿勢をききたい。
小泉首相:平成17年度末までにあるべき改革をする。民営化できるものは民営化、廃止できるものは廃止する。今回で終わりでなく、トップには民間の適材を採用するとかしていく。事務次官も次官をやめれば自動的に特殊法人のトップになるという時代じゃないということをはっきりいっている。その趣旨にそって改革を進める。

<東祥三議員(自由)の質問>
東:各法人は名前を変え、役員数や給与も若干手直しするとしか映らない。
小泉首相:自由党が提案した趣旨は理解できる。しかし、3年以内に全部特殊法人を民営化か廃止しろということだ。そんなことができるのか。ゲノムなどの理化学研究所は民間でできるのか。廃止してどこでやるのか。国際交流基金などどこでやるのか。果たして具体的提案といえるか。政府としての役割も放棄できない。
東:私たちの案は、3年の間にできるだけ廃止の方向に持っていくというもの。残すべきものの検討は当然必要だ。必要があれば独法を作って国の管轄を明確にすればいい。

<春名眞章議員(共産)の質問>
春名:国民が特殊法人改革にどういうことを期待しているか。@無駄な部門を思い切って削減する。A特殊法人が所管官庁の高級官僚の最大の天下り先になっているのを改め、政官業の癒着、利権構造をしっかり断つ。B国民生活に必要な事業は内容を改革し、むしろ公的部門として一層充実、改善することが大事だ。今回の46本の法案は、肝心のこうした中味の改革が見えてこない。第一に無駄と浪費の事業の例だが、1兆円以上の不良債権がある石油公団では本当に廃止したのか。
小泉首相:各論だがこれも税金の無駄遣いがあるのではないかと廃止を決定した。
春名:組織自身は廃止を決めたが、一番批判が大きいのは、成功払いの制度だ。こうした無駄と浪費の事業が温存されている。これは疑問だ。
平沼経済産業大臣:先の通常国会で石油公団と金属鉱業事業団を廃止し、新たに石油天然ガスそして金属鉱業機構を作った。石油の確保は国家にとっても大切だ。支援対象事業を絞って厳選して支援比率も5割以下にしている。無駄を省き効率を担保しつつ厳としてやっていかねばと思う。
春名:政策投資銀行だが、苫小牧東部開発など採算の見込みのない事業に巨額の資金が投入された。こういうものこそ見直し、廃止縮小が問われているのではないか。
小泉首相:だからこそ見直しをするといっている。現時点で必要なことと中長期的に見直すべきものがある。いかに税金の無駄遣いをなくすかが特殊法人改革だ。一挙になくせないから見直すのだ。
春名:政府の案には、廃止、合理化はない。廃止するのか。
塩川財務大臣:苫東、むつ小川原等は政策投資銀行で整理合理化の一環として行った。
春名:無駄な投資がなくなる仕掛けはない。水資源公団も衣替えするが、岐阜の徳山ダムなどは引き継ぐとなっている。無駄を削るのは当然だが、無駄遣いと思われる部分が残っている。天下り禁止をどうするかだが、今回の改革でメスが入るのか。
小泉首相:天下りをいかにやめていくかとうのも今回の趣旨に入っている。北海道東北開発公庫など各役所関係の法人というのは、全部、その特殊法人に対して役所からの人が出向なり天下りしている。この問題をどうやって直すかというのも今回の改革の主眼だ。
春名:その天下りの問題を今回の改革でどうしようとしているのか。
石原行革大臣:公務員の再就職には国民の厳しい批判があり、特殊法人等整理合理化計画及び公務員制度改革でも退職金の大幅削減や給与の削減、内閣が、役員の人事及び処遇のあり方について透明的で客観的なルールを公表し、各省監視体制を強化する。法人の子会社等への再就職を含め情報を徹底的に公開するなどの措置をとっている。
春名:特殊法人が最大の天下り先になり、その子会社にまたその役員が行き、仕事を回して利益を得る。昨年の独法化の実態をみると役員数は76ポスト増えている。横滑り幹部と天下りが90%を占めている。具体的に禁止しないといけない。道路4公団はなくなっていくのか。
小泉首相:今第三者機関で検討している。私は、民営化された会社は民営化された会社にまかせればいい。どうすれば天下りの余地はなくなるか。
春名:民営化と天下りは別問題だ。道路公団の下にもファミリー企業があり、受注業務を独占しており、OBの受入数で子会社への受注が比例している。この76社は民間だ。民営化で天下りがなくなるわけではない。公務員や特殊法人役員に対し、契約関係などあった者の規制などを行うのが改革ではないのか。
小泉首相:道路公団を民営化しない限りこの構図がずっと続くから民営化しろといっている。民間が黒字で本体が赤字という構図をなくしたい。特殊法人、財政投融資、郵政民営化は全部つながっている。
春名:天下りについては、公務員制度改革大綱で緩めようとしている。人事院総裁も「閣僚が全部できるか疑問だ」といっている。日本育英会が廃止されようとしている。必要な奨学金制度は無利子、給付制、枠の拡大だ。何故、廃止か。
遠山文部科学大臣:昨年の閣議で、一旦廃止はするが平成16年を目途に新しい組織でスタートする。その際、業務は受け継ぐ。予算要求では、801億円で69000人分増になる。
春名:増えたといっても有利子化の奨学金であり、ローン化という意見もある。新しい独法にも、民間の債務保証会社を介在させたりしている。保証料を払ったり、回収も民間に委託している。返還免除も廃止だ。これでは改悪だ。

<日森文尋議員(社民)の質問>
日森:住宅や個人向けの融資、奨学金、各種研究事業、国民の生活や健康に関する事業などは、公が責任を持つようにしないといけない思うが。
小泉首相:一律に廃止・民営化しろというのではなく、民営化すべきもの、廃止すべきもの、残すものと一律ではない。国としてやらなければいけないのは役所、政治で、特殊法人として残すものは残す。
日森:当該法人の労働組合、職員団体と事前協議や合意を含めて推進する必要がある。
小泉首相:みんな現状維持を望むので、身分などに心配があり、各論になると反対が強い。組合の待遇維持の要望もわかるが、それを全部受け入れていたら何もできない。
日森:組合は反対しているのではなく、合併などでは、地位が不安定になる。そういう不安を解消するのは現状維持ではない。
石原大臣:原則的には非公務員型と非公務員型が一緒になって非公務員になる。
日森:協議する場を保障し、そごのないようにしてほしい。

・・・・・・・・・・以下午後の審議・・・・・・・・・・・・
<熊代昭彦議員(自民党)の質問>
熊代:本格的改革を迎え、初心に戻って独立行政法人化のメリットをお伺いしたい。
石原大臣:ポイントは、閉鎖性・非効率性・独善性の排除等、特殊法人の弊害を克服することにある。独立行政法人では3〜5年の中期目標に対して評価委員会による評価を受け、実態の検証が行われる。特殊法人は役員の退職金や給与が高いとの批判があるが、独立行政法人ではすべて公になる。「天下り」に対する批判は、早期退職慣行を改めるところから手をつける。官僚が代々ポストにつくことを廃止し民間人を据える。収益があげられるか、株式会社化もあるが、民間に任せられない点もあり、特殊法人の弊害を除去した独立行政法人としているので、利益を内部で留保することもできるし、予算を使い切るのではなく使いまわすこともできるようになる。中期目標が達成してるかどうか国民の目に明らかになるので、達成できないトップは首にできる。業務の見直しで仕事を行う必要がなくなれば法人自体の廃止も議論の俎上に載せることができる。

<筒井信隆議員(民主党)質問>
筒井:(農水大臣への追及)

<桝屋敬悟議員(公明党)の質問>
桝屋:整理合理化計画に基づき、事業の徹底的見直しを行い、その上でより自立性・効率性・透明性の高い独立行政法人に移行するものと理解するが、すべてについて行われてきたか。役員数が相当削減され、各省からの抵抗もあったと思うが、まだ残っていることもあるのか。
石原大臣:役員数は既存の独立行政法人で増えてしまったが、かなり抑制するという立場で取り組んだ。51法人から38法人へ整理するなかで、法定数は338、常勤役員を281から204へ法定数で4割カットした。しかしここからが問題で、新しいポストが各役所の当てはめになってはいけない。経営感覚を入れるため優秀な経営者を入れないとだめだ。
桝屋:「天下り」の問題にはこれまでも相当手が入ってきたと思うが、現実には今も続けられている。
石原大臣:一番関心の高いところで、公務員の再就職の自由をなくせば「天下り」はなくせる。早期退職勧奨を改め60歳まで勤めたときの弊害も考え、総合的に考えないとだめだ。また、「わたり」で何千万も退職金をもらうのを、60歳で初めて1回もらうような制度の検討をしている。
桝屋:キャリア制度そのものに手を入れる意欲があまり感じられない。どう、いつまでに見直すのか。
石原大臣:来年の通常国会で国家公務員法改正を行う見通しだ。ある程度エリートは必要とも考えるが、国家公務員をT種U種など3種類に分ける必要があるのか。開かれた競争を作るのも公務員制度改革の重要な点だ。
桝屋:T種のみなさんのパフォーマンスを生かすことは重要。評価システムで、各省に評価委員会を置くということだが、指揮命令系統はどうなるのか。
片山大臣:各省の評価委員会での個別の議論を総務省の評価委員会でまとめていく。

<山井和則議員(民主党)の質問>
山井:独法の天下り官僚の役員給与や退職金の異常な高さは明らか。独法化の目的は何か。
石原大臣:公的部門が担っていく行政の実務の仕事はある。しかしこれまで特殊法人としての形態が、自己増殖をし、非効率に陥り、透明性の低さ、これらの是正のため、今般46本の法案を提出させていただき、特殊法人に代わり独立行政法人という新しいスタイルで行政のアウトソーシングの仕事をしていって頂こう。もう一つは民間を圧迫してる部分があるのではない、官が主体的に行う仕事がなくなったもの、こういった部分の是正。それから運営している資金について、簡保でお借りして運営していたが、放漫経営で利子を付けてお返しできない恐れが出てきた。そういったことから特殊法人改革がスタートした。事務事業を徹底的に見直しを行った上で組織形態の議論をやりたい。
山井:理事長の年収を調べた。一番高い産総研は2,650万円、貿易保険は2,400万円など、2,000万円以上は11件、1,900万円以上は14件もある。2〜4年努めた退職金は物質・材料研究機構では2,133万円、2,000万円以上が2件、1,900万円以上が7件、また人数も全体で900人以上増えている。まさに焼け太り。
石原大臣:ずいぶん高い。それだけの仕事をしてくれればいいが。道路公団の初代の理事長は民間人であったが、その後全部官僚の指定席。今回、法定数で4割、常勤数で25%減らさせていただいた。
山井:独法に4年間いたら退職金はいくらか。
石原大臣:概ね1,300万円程度。
山井:独法に行ったら2.6倍にアップする。効率化に反しているのではないか。
石原大臣:法人で加算額に幅がある。渡りでいくつかから退職金をもらうことはけしからんと指摘されているが、それを是正するために仕組まさせてもらった。考えは相違ないと思っている。
山井:幅があるというが、全てに加算額がある。それがルールになっている。
石原大臣:早期勧奨退職で出てもらい、また辞めるときにもらうという二重にもらうことは是正して対応していきたい。
山井:具体的にどうするのか。
石原大臣:特殊法人から独法化する法人については、4月から退職金を3割カットさせていただいてる。今後独法化されるところも同様です。
山井:阪神公団で入札妨害事件があった。官民癒着が明らかになった。見解を聞きたい。
扇国土交通大臣:誠に遺憾な話。あってはならないこと。国民の信頼が失われる。4公団の理事長を呼び、あってはならないこと、他にはないか、どうしたらなくなるか考えろと言ってある。
石原大臣:ファミリー企業との随意契約と思われても仕方ない。ゆゆしきこと。
山井:天下りと談合は表裏一体だ。OBが再就職すれば、そこの会社での受注は約束されている。国家公務員では、受注関係の会社への天下りは規制されている。公団は規制されているのか。
扇大臣:ございません。
山井:阪神公団では、過去78人受注先に天下りしている。規制がないのはおかしい。
扇大臣:今4公団統合の委員会で議論している。道路公団で維持管理を行っている会社が163社あり天下りで46社に行っている。公団の仕事を一手に引き受け、国民からどうしてなんだという声が出るのは当然。体質改善しようと論議の最中だ。
石原大臣:道路公団民営化推進委員会でも重要なポイント。1,200社からアンケートを取り検討している最中。
山井:公団から天下るとき、2年間のクーリングオフ期間を取るべきだ。
扇大臣:そのことより、民間の人が公団の人を採ったら仕事が増えたと思われることの方がおかしいと思う。入契法の原則を市町村まで徹底させたい。
山井:それではいつまでもなくならない。制限が必要だ。公務員制度改革で、人事院が天下りの規制をしてきたのを、各省の大臣の権限にしようとする。天下り助長だ。
石原大臣:既に人事院の事前チェックでも増えている。内閣が承認基準を定め、その基準に基づき所管大臣が内閣と調整し承認する。各大臣がリスクを背負うことで二重にも三重にも厳しくしていく。
中島人事院総裁:誤解がある。各大臣が申請して人事院が審査している。各大臣がキチンと申請すれば増えることはない。天下りは民間、特殊法人認可法人に対する天下りがあり、国民の注目を浴びてる。多方面にわたる議論が必要だ。
山井:今の答弁食い違っている。整理してくれ。

<大谷信盛議員(民主党)の質問>
大谷:人員・予算などの効率化を目指していくことになるが、その場合のメリットは。
航空局長:独法化に伴い、事前チェックから事後チェックにすることにより、弾力化、効率化、透明性の高い運用を確保していくことにより、空港周辺整備機構でもその効果が期待されている。事業の改革によって予算が縮小される。また、役員・職員の削減など、思い切った合理化が図られる。
大谷:空港周辺整備は、地域で大切な役割を担っている。独法化の必要性は。
航空局長:空港周辺整備は、町づくり地域整備と合わせて行う必要がある。国がやるより独立した組織がやることにより、面的整備ができる。直轄なら蓄積してきた知識が活用できない。また、定員が大幅に増えてしまう

<都築譲議員(自由党)の質問>
都築:哲学について聞きたい。もう一つは、構造改革を本当にやって、民間の景気を増やしていかないとダメな時期に来ている。行政改革をどのように進めるか聞きたい。
石原大臣:小泉改革の基本は、官から民へ、国から地方へということ。46本の法案は、これを推進するもの。小泉改革は聖域なき構造改革の重要な政策の一つ。46本の法案は、特殊法人等整理合理化計画に基づき出され、各法人について、事業の見直し、独法化民営化廃止等々、法人の見直し、効率化、透明性の確保など、独法化は特殊法人の弊害をなくすために行うものだ。
都築:国民が主役の社会をどう作り上げていくのか。そのための改革として政治改革があり行革があり、その一つとして特殊法人改革があり公務員制度改革がある。実際に官主導の政治がならないのではと思う。
石原大臣:主旨は賛同する。官僚が優秀で発展に寄与してきたことも事実としてある。特殊法人は、有効に機能してきたが、時代の変革に対応できなくなり、減らそうと何度も俎上に登った。新しいグランドデザインが根底にあり、大きな流れを感じる。
都築:運営費交付金も役所の担当が握っている。独立性を発揮させるといったが、各省庁に縛られていて、今までと全く同じだ。
石原大臣:本質論としては、民間に任せられるものは民間に任せればいい。国が実施する何らかの必要があるものは独法として行うということで、行政の代行機関として整理されている。国の関与を最小にせよというのはわかる。特殊法人の弊害を除去し、先行独法批判について、かなり思い切った対策をやっていく。国会国民がチェックできるようにしていきたい。
都築:天下り官僚の退職金、労働法的には給与の後払いとなっているが、ほとんど働いていないのにたくさんもらっている。そういったことの改革をやるべきだ。
石原大臣:自公保連立与党で、この辺はかなり議論した。それでこの案を決め法案として出した。
都築:公務員制度を変えないと特殊法人の退職金の問題がなくならない。

<春名眞章議員(共産党)の質問>
春名:国民生活センターの独立行政法人化で国民サービスは厚くなるのか。
竹中経済担当大臣:消費者からの苦情相談は国民にとって身近な業務であり、今回の改革では地方との重複相談をさけるため、それから市町村への支援のため、段階的に縮小していく。経由相談へ特化し実効あるものにした。
春名:センターへの直接相談件数の傾向はどうか。
国民生活局長:相談件数は平成13年で9,299件で、このうち4分の3が直接相談、残り4分の1が経由相談となっている。
春名:その前も年間約6〜7,000件、2000年は8,000件、2001年は9,300件、また各地の消費生活センターへは92年191,200件、2001年624,762件と、毎年非常に増えている。相談件数が激増しているなか経由相談に特化するのか?
竹中大臣:消費生活多様化のなか、傾向として増えてきた。ネットワークや地域密着のシステムで対応していく。長期的には優れた方法と思う。重要だからこそ経由相談を通じて対応する。
春名:インターネット被害など相談も専門性・複雑性が増し、企業モラルの低下などで消費者被害増大のなか、経由相談に特化していくというのは納得がいかない。
国民生活局長:地方公共団体での相談所は、平成14年4月で463ヶ所、平成9年に比べ54ヶ所増加している。市町村にない場合は都道府県に置かれている。
春名:地方では人も金もへらし、サービスがだんだん薄くなっている。01年8月の「特殊法人見直しの考え方」のなかで内閣府は縮小はまずいと判断している。国がセンターなどを厚くしていくことが大事だ。
竹中大臣:センターへの高い期待はうれしいが、できるだけ地域に密着した問題は地域で対応してもらう。また、相談の質を高めることも重要。今回トータルで有効なシステムによって利便を高めるものを作りたい。
春名:医薬品医療機器総合機構について。薬品・医療機器等の審査は国民の命を守るところ。国が自ら主体として実施すべき分野と思うが。
坂口厚生労働大臣:承認の最終判断や薬事法に基づく回収命令などは厚生労働省に残す。検査等を独立行政法人へ移し十分行える。大事な部分は省でやる。
春名:3つの機構が一緒になり独立行政法人を設置する。このうち79年のスモン事件による薬事法改正から発足した機関も含まれている。薬害エイズ事件のときに厚生労働省自身がアクセルとブレーキを誤り導いたはずだ。
坂口大臣:業務内容の情報公開は行う。
春名:薬害エイズ事件での重大な教訓は議事録が隠されてきたこと。独立行政法人自身が積極的に情報開示しなければならない。大丈夫か。
坂口大臣:そこはご心配なく。
春名:何の根拠もなく、かえって心配がつのる。審査の厳格性を高めるため審査官を5割増するとのことだが。
坂口大臣:5割は確実。もっと増えるかもしれない。
春名:独立行政法人では非公務員、製薬会社などからの手数料収入が糧で、経営も企業次第となるのではないか。
坂口大臣:依頼を受けたところから収入を得るのは当然だ。
春名:依頼を受けたところから収入を得るからこそ心配だ。

<菅野哲雄議員(社民党)の質問>
菅野:従来の特殊法人の問題点をどう捉えてきたのか。小泉首相は「官から民へ」とくり返したが具体的答弁として返ってくるものがない。
石原大臣:私も特殊法人が戦後の発展にかかわってきたことは理解するが、時代の変遷とともに自立性の欠如や業務運営の非効率な部分が多い。さらに「自己増殖」が目に余るようになってきた。これら特殊法人の弊害を除去したい。
菅野:政官業のゆ着や自民党族議員の問題等にどうメスを入れるのか、今回の特殊法人改革に盛り込まれているのか。ファミリー企業、天下りにどうメスを入れてきたのか。
石原大臣:道路公団をトピックスとして例にしたが、組織形態論として「親方日の丸」で自動的に金が入ってくるなど、根本にメスを入れなければならない。道路公団関連企業・受注業者への「天下り」、「わたり」による多額な退職金・役員給与などにメスを入れる取り組みを始めている。情報公開の徹底により正面から議論ができるようになった。
菅野:与党内では徹底して議論したというが、国会の議論は昨日からだ。与党ではやったかもしれないが、この特別委員会で十分時間を割いて議論する必要がある。独立行政法人になってどう変わっていくのか、この基本理念を国民に示していない。
石原大臣:特殊法人に問題が多いため独立行政法人という新しい仕組みを導入することとした。独立行政法人のポイントは、中期目標・計画による目標管理が行われるところにある。あまりにも業績が悪い場合役員には退いてもらう、としてこの制度を仕組んだ。
菅野:特殊法人職員の労働条件の問題だが、本当に大きな不安を持っている。
石原大臣:特殊法人職員の雇用のみならず、国政の中で国民の適切な雇用確保は重要である。特殊法人職員の雇用問題では労組・職員と協議をしていると聞いている。
菅野:各論ではそんなにスマートにはいかない。独立行政法人にして「天下り」をなくせるかの議論もあったが、私はなくせるとは思えない。

以  上

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