国公FAX速報 2002年11月25日《No.1345》


衆院特殊法人等改革特別委員会で法案採決強行
11月18日の審議・付帯決議

 特殊法人等改革関連46法案の衆院での審議は、18日に締めくくり総括と委員会採決が行われ、与党の賛成多数で可決、翌19日の本会議で可決、衆院を通過しました。参院段階の審議は特別委員会を設けず、各常任委員会ごとの審議が予定されています(通信総研法の一部改正は28日に予定)。なお、11月15日の審議(財務省・農水省関係)は省略します。

■午前中の審議■
<金子善次郎(民主党)>

金子善次郎議員:先行独法も含め、多くの問題が指摘されてる。本省から分離された各省庁の外部、研究機関は、看板の掛け替えというか、新たな特殊法人作りではないか。資本金が100億円に満たない独法は、今の特殊法人のようなつじつま合わせの決算報告書になっている。各独法について、3年から5年の中期計画を立て、それにより予算を確保し、評価委員会のチェックを受ける、その場合、業績が悪いと評価された時、その責任がどうなるのか。そもそも独法になじまないのではというものも数多くあった。国の予算をもらいそれで運営していて、コスト意識が出てこない。スリム化が一つの目的だったが、統合により巨大組織を生んでいる。独法の理事長の任命権は主務大臣が握っているが、常勤理事も含め、特殊法人と同じように官僚の天下りが行われるおそれがある。といったことを議論してきた。49の特殊認可法人を独法に改編する46の法案が出されている。ほとんど事業の廃止は行われていない。独法制度は減量を行うことが基本的考えでは。改革としては不十分だ。
石原伸晃大臣:いろいろな議論をし、指摘を受けた。今回の改革は、組織形態の見直しだけではなく、事業の内容仕組み、子会社含む事務事業の方法の見直しを行い、結果として組織の変更になった。しかし、議論の中でいろいろな意見出た。公共性の陰で組織の維持拡大、業務の肥大化、評価委員会でチェックができるか、その委員の人選は、天下りの問題が払拭されてるか、などの指摘があった。この改革が実りあるものにするため、政府でフォローアップしていく。
金子善次郎議員:制度が変わり、そこで働く職員の影響は大きくなる。いろいろな不安が出ているが、そういうものを意識していかなければならない。特殊法人が独法になることにより、事業が廃止され、一旦解雇して再雇用する時、人員整理が行われるという懸念を持つ。また、業務が分離され別の法人や国に移る場合、事業が縮小されるが、そこで働く職員が意欲を持って働くよう環境を整えることも重要。制度だけ変えるのではなく、働く人の視点も重要だ。個別法では、権利義務は一括継承となっている。雇用労働条件の継承、職員団体も労働組合として機能させるということを明示させることが大切。しかし、労働者健康福祉機構、農業生物系特定産業技術研究機構には規定がない。一方で、一般的な権利義務の継承だけでなく雇用労働条件の継承、労働組合として機能させると明記してるのは、宇宙航空研究開発機構、労働政策研究研修機構、医薬品医療機器総合機構だ。どうして差異があるのか。
石原伸晃大臣:指摘のあった雇用の問題は、これからの改革の中で、そこで働く人の理解を得てやる気を持って働いてもらう上で、重要なポイント。昨年、特殊法人改革基本法の審議で、職員との良好な労働関係に配慮するとともに、関係職員団体の理解を求めつつ、その雇用の安定に配慮すること、という決議をしてもらい、整理合理化計画にも文言を入れた。公務員型の組織が非公務員型の独法に移行する場合のみ、承継規定を入れた。特殊法人が解散した時、新たに設立される独法が承継するという規定があり、そこに一切の権利義務が含まれるため、特定の規定を置かなかった。
金子善次郎議員:法律の書き方の問題、法体系の整合性の問題等あるが、書けない話ではない。雇用労働条件の継承、職員団体を労働組合にすることについて、他の独法と同じ考え方でやるのか確認したい。
石原伸晃大臣:民から民の組織変更の場合、一切の権利義務に雇用関係が含まれる。それ以外の公務員型から非公務員型の場合に承継規定を入れた。良好な雇用関係を確保ということは指摘のとおり。
金子善次郎議員:独法は、公のものと民間のものと考えた場合、より民間に近いものを求めていくということか。
石原伸晃大臣:方向としてはそういうこと。
金子善次郎議員:労使関係総合調査によると、調査対象の半分、労組が設置されているところで85%が労使協議制の仕組みが機能している。民間により近い組織ということであれば、労使協議制、労使の話し合いを導入する方向で対応すべき。方向性としては民間に近づけていくということか。
石原伸晃大臣:民間においては指摘のとおり。方向性については、いろいろ議論はあるが、個人的には目指していくべき。しかし、公務員型の独法においては、まだその機は熟してない。公務員制度改革の中で議論が深まっていく。
金子善次郎議員:今度の独法の機能がうまくいくと強調されたのは、外部の評価により責任体制が明確になる。業務の中期計画は2〜3年ごとに行われるので、評価が反映されうまくいくと強調された。評価委員会のメンバーは、学者に偏っている。また、審議会等の委員も兼任されている。例えば、評価委員21人中12人が審議会の委員も兼務しており、日頃から付き合いある人が委員になっている。民間を目指していることを考えると、うまく機能しないのではないか、形骸化しないかという恐れがある。労組とまでいわないが、労働界の代表、ユーザーの方々など、外部の意見も採り入れるべきでは。
片山虎之助大臣:評価委員会は大きな役割を担っている。専門的な仕事なので、詳しい人でないとダメ。そうなると審議会などで議論している人が選ばれるのは仕方がない。公認会計士や会計専門家、企業経営者も全体の2割くらい入っている。ユーザー、労働界ということだが、各省で考えて人選したもの。評価委員会の活動を見守りたい。
金子善次郎議員:いい方に見守ってもらいたい。評価委員会の事務体制であるが、専門の事務局体制が弱いのでは。本来の評価委員会の事務体制は、資料を出したり参考意見を出す必要がある。そういう体制づくりを考えて行かなければならない。
片山虎之助大臣:評価委員会は初めての試み。試行錯誤の中、評価の専門的な組織を作っている。全体を通じてやってるのは、行政評価局がやっている。各省庁の横断的な調整などやってる。状況見ながら場合によっては強化を検討していく。
金子善次郎議員:通則法の制定時に、独法の長の選任においては、自律的、効率的に運営を行うという制度の趣旨を踏まえ、広く内外から適切な人材を得るよう配慮すること、という附帯決議がある。スタートしている独法では、理事長常任理事の97%が役人出身。民間出身は海上技術安全研究所だけとなっている。スタートしているところは公務員型の独法で、これからは非公務員型が増える。役員への民間人の登用、人選難しいが、そういう人材を独法に入ってもらうという決意でないと、附帯決議の趣旨に合わない。
片山虎之助大臣:これまでの独法は国そのもので、国の仕事機関を分離したもの。だから公務員型。今までの仕事をそのまま移してきたから、どうしても責任者が役人になる。しかし、いつまでのそれでいいのかという議論がある。評価委員会が機能し、注文を付けていく事が必要。
金子善次郎議員
:役員報酬問題も議論があった。国民の税金で賄われてるので、妥当な水準を考えていく必要があるという論議があった。法案提出に当たり、特殊法人等改革推進本部で、主務大臣は、新独法の役員の報酬等及び職員の給与の水準を、国家公務員及び他の独法の役職員と比較ができる形で分かりやすく公表するとなっている。役職員の給与水準を統一的に把握することは重要だし、公表する仕組みがどうかということ。今年の人勧の報告で、法人等の役職員の給与水準について、国として一体的に把握していくことが必要であると考える、と報告があったが、この趣旨を聞きたい。
片山虎之助大臣:指摘があったとおり、10月18日に特殊法人等改革本部で決めたが、具体的な調査方法、公表の仕方について、人事院と相談しガイドラインを作る。それを各省庁に示していく。公表するわけだから、国会で大いに議論してもらいたい。
佐藤政府参考人(人事院人事官)
:人事院の報告について、大きく二つある。一つは透明性の問題。現在、独法の給与支給基準は公表することになっているが、理事や課長がどの程度もらっているのかはわかりにくい。分かりやすい形で把握し、国民の納得理解を得ることが必要。二つ目は、人事院の関心事であるが、法案が通ると独法の数が増える。行政執行方の法人が多いので、各省庁との間で人事交流が活発になる。その場合、給与の差が大きいと障害が起きるのではと考えられる。人事院として意見は言えないが、国として具体的に把握し、国会で議論する必要があるのでは。

<大森猛(日本共産党)>
大森猛議員:特殊法人改革問題の中でも談合問題について質問する。道路公団発注の保全工事で四国支社の談合が発覚した。公取から、独禁法違反として、4社が排除勧告、27社が警告を受けた。まずこの辺を確認したい。
鈴木政府参考人(公正取引委員会審査局長):公正取引委員会では、今月12日に排除措置を求める勧告を行った。また、四国支社以外でも疑いがある行為が認められたため、警告を行った。
大森猛議員:今回の公取の措置で重要なことは、道路公団にも要請がされていること。発注者である公団が一体となって談合をしていたことが指摘されている。公取は公団に対し、今後同様の運用及び行為を行わず、情報管理を徹底し、競争入札の機能が生かされる方策を講じるよう要請されている。国交省としてどのような措置を取ったか、道路公団にはどのような指導をしたか聞きたい。
扇千景大臣:いつも国土交通委員会で、道路公団の天下り状況、子会社、孫会社への天下り人数、受注率など、すべて公表してきた。今回公取からこういう結果が出て申し訳ないと思っている。11月6日に、入札手続の再点検、総合的な再発防止の検討を指示した。公取からの件が出てから改めて再考し具体策として確実にまとめるよう重ねて指示した。今回は、14日に、所管する21の特殊法人、4つの認可法人に対し、どれだけ子会社、孫会社があるか、どれだけ年間受注量があるか、受注金額、天下り数、自らどういう方策で予防するかを点検し直すよう言った。
大森猛議員:徹底的な調査、報告、改革を進めてもらいたい。15日に道路関係4公団民営化推進委員会で、入札資格要件の即時撤廃の意見書が出された。抜本的に、改めて入札制度を再検討、洗い直しをしていくと同時に、国民の税金を食い物にしている点が明らかになったが、前面的にこの点を明らかにしてもらいたい。今回の公取の報告書の中に、ファミリー企業が一定定義されている。どういう意味で使っているのか。
鈴木政府参考人:道路公団の退職者を役員や従業員として受け入れ、また、道路公団への取引依存度が高い企業をファミリー企業といっている。
大森猛議員:談合の大きな条件、元凶となっているのが、公団退職者、天下りだ。関連する21法人全部を調べるという大臣の答弁を積極的に受け止める。今回、公取から勧告、警告を受けた29社の、公団からの天下りはどのくらいあるのか。
扇千景大臣:役員236名中85名、36%だ。
三沢政府参考人(国土交通省総合政策局長):この中には国土交通省からはいない。
大森猛議員:今回の29社に関する天下り状況の資料を、委員会に提出してもらいたい。
三沢政府参考人:調査する方向で検討する。
大森猛議員:民営化推進委員会に提出された資料とほぼ一致するが、そのうち21人が代表権を持つ役員に就任してると報道されてる。こうした状況が内部情報の漏洩を促す最大の条件の一つだ。やはり天下りは思い切って禁止すべきだ。
石原伸晃大臣:道路公団民営化推進委員会で意見書をまとめ、参与会議に提出することになっている。様々な立場でこの問題を明らかにし改善していかなければならない、根深い問題と考えている。
扇千景大臣:就任以来、明らかなものは公表する姿勢を貫いている。総理に指示されて以来、委員会を立ち上げ、役員の天下りの基準を示した。それは、50%以上、公団からの仕事を受けているところ、そこに天下りが何人いるかも公表している。資料を出すだけではなく、次善策をどうするかが問題。細切れにすればするほど役員が増える。これも公表している。電子入札も書いてあるが、これにより公正な取引が行われるようになることを推進していきたい。
大森猛議員:公表し国民の目にさらすのも一つの有力な規制の措置だが、きちんと法的措置もとってもらいたい。特殊法人等の改革の目的で、今回道路公団の談合が明らかになったが、特殊法人の入札談合事件はこの5年間で、97年首都高速道路公団、99年住宅都市整備公団、道路公団は2000年にも発覚している。特殊法人の改革というなら、こういう談合を生み出す体質を徹底的に洗い直す、天下りを禁止する、無駄や浪費のための公共事業の抜本的見直しが求められる。今回の改革は、組織のやりくりだけでないのか。
石原伸晃大臣:指摘された観点についても、特殊法人の抱える子会社の事務事業の洗い直しを行う中で、入札をめぐる疑惑が表に出てきている。どのような問題があるか、どのように是正していくか、改革を通じ、疑惑に国民の視点が行かない体制を1日も早く作ることが必要。
(以下、水資源機構法案に関する質問)

<家西悟(民主党)>
家西悟議員:新しく独法になる医薬品総合機構が、薬の認可、安全、監視を一体化させることについて、石原大臣は、金融の世界も監視と検査が一緒で、指摘された誤解や間違いが生じ、これを肝に銘じ取り組んでいかなければならない答弁した。坂口大臣はどのように認識しているか。
坂口力大臣:石原大臣が答弁した内容は、審査と安全体制の両方の分野において、審査する時に安全が引っ張られる、またその逆もあってはならない。そこは明確にしておくべきという主張だった。新法人において、審査や安全性が甘くなってはいけない。したがって、業務後との組織や勘定を明確に区分する、積極的に情報公開を進め、公平性、中立性、透明性を確保することが必要。このような基本的考え方に立ち、それぞれの部署において相互にチェックできる体制整備を図っていく。
家西悟議員:石原大臣は一緒であると答弁した。厚生労働大臣と行革大臣の考えが一致していない。医薬品救済機構の総合機構法改正で、1年間にどれくらいの金額が入ってくるか。年間300億円の収入が入ってくるが、救済には20億円弱だ。この機構の理事長は、元医薬安全局長だ。これこそ天下りの典型。非常に問題がある。しかも研究開発、審査、安全監視、救済がひょうりいったいとなるが許されるのか。
石原伸晃大臣:天下り問題は、特殊法人への天下りと民間企業への天下りの二つが存在する。根本的是正は60才まで勤めてもらうこと。早期勧奨退職制度の是正の具体化を作業中。特殊法人、独法への再就職の状況の透明化の推進もやっていく。官民とも適材適所で天下りの批判に耐えうるものを構築していくことが、今回の改革の趣旨。
家西悟議員:これはあくまで一般論の話。救済も含めた安全監視、承認、研究開発、それが全部一体化になってることが問題だ。承認審査について、今まで別の機関でやっていたものを無理矢理付けるというやり方が問題だ。役員体制について、医療消費者といわれる人を入れてもいいんじゃないのか。
坂口力大臣:内容について明確にしていくことが大事。それぞれ今までやってきたことを一体にして、その中で一律にやるということ。中心になる管理監督を明確にし、それぞれの分野で変わりなくやっていき、最終的に厚生労働大臣が決定するわけだが、最終責任を負うということで理解いただきたい。
家西悟議員:企業からの社員は規制していく、厚労省幹部は法成立後に定める規定を設けるといわれているが、本当にそうするのか。理事長、理事以外の部長、課長はどうなるのか。
坂口力大臣:現職の製薬企業役員が法人の役員になれないことを個別法で定めた趣旨をしっかり踏まえ、元製薬企業役員を原則理事長に任命しない考えだし、理事もその考えを示してもらいたいと思う。それ以下については、理事長が決めることになるが、採用基準を策定公表する必要がある。疑念を持たれないよう、適切な組織体制を構築していきたい。
家西悟議員:こういうふうにすると、薬害の温床になるんじゃないかと危惧してる。透明性の確保を守ってもらいたい。患者救済を無過失救済制度として作られた医薬品救済機構を守ってもらいたい。

<山井和則(民主党)>
(不良債権処理に伴う雇用のセーフティーネットに関する質問)
山井和則議員:(高齢者障害者雇用支援機構について)独法化により中期目標を立て業績評価も導入することになるが、このような機構は何が目標になるのか。障害者雇用率が上がると財政は逆に厳しくなる。行革というと合理化が言われるが、財政だけでなく、本来の目的が進んだかどうかもチェックしてもらいたい。
坂口力大臣:適切な提言として受け止め、取り入れていきたいと思う。
山井和則議員:天下りの大臣承認について、大臣承認で天下りが減るとは思えない。公務員制度改革を専門とする大学教授からもメールが来てる。公務員制度改革の大綱の大臣承認制を実施することで天下り数は減るのか、増えるのか。
石原伸晃大臣:将来のことを数値で示すことはできないが、承認基準は厳しくする。
山井和則議員:減るのか増えるのか、根幹に関わる。
石原伸晃大臣:年度によって辞める数が違う。早期勧奨退職制度の是正をやるわけだから、それを見ないとわからない。
山井和則議員:もし天下りが増えたらバッジを外す覚悟で改革をやってほしい。
石原伸晃大臣:議員であるかどうかは有権者が決めること。
山井和則議員:増えるかどうかわからないようでは、公務員制度改革は禍根を残す。

中川智子(社民党)
中川智子議員:医薬品機器総合機構について質問する。薬害エイズの教訓を生かすということで、審査、安全対策、研究振興を一つの組織で行うことでやめ、分離解体した組織としてやってきた。しかし、今回の独法化で研究振興、審査、安全対策、被害救済、全てが同じ組織に入る。二度と薬害を繰り返さないという約束が崩れる。今回は制度の大転換。再び全て一つの機構でやるという構想はいつ頃からあったのか。
坂口力大臣:幹線病被害救済制度は昨年から議論があった。H13年12月19日に特殊法人等整理合理化計画が閣議決定されて加速された。政府としてもこの感染病被害救済制度を作り上げなければと心がけてきた。振興の部分と規制の部分が一つ屋根の下になるということだが、薬害等で分けたことは事実。厚生労働省の中で、規制の部分は医薬局、振興の部分は医政局の中にある。新しい独法の中で、議論されたこと、研究されたことがあがってきた場合、最終判断は厚生労働大臣である。十分検討した上で大臣が判を押す。
中川智子議員:なぜ問題かというと、直接命、健康に直結する部分だから、他と横並びではなく、審議会や検討委員会を設けたり、薬被連の方から意見を聞くというプロセスがなかった。組織の大改革に関しては慎重にすべき、経過が見えないということを言ってきた。
坂口力大臣:法案を作るにあたり、それぞれの立場のみなさん方から意見を伺ったと聞いている。大事なのは、指摘があったように、規制と振興が一体になってはいけない、規制を行う時に振興が入ってはいけない、振興を進める時に規制の分野を忘れてはいけない、そこを明確にしていかなければと思っている。組織的にも会計的にも明確にしていきたい。これまでどおり、薬務局と医政局に分かれて明確にし、そこを踏まえながら、最終判断は厚生労働大臣がやっていく。情報公開もやっていく。誤解を受けない体制をどうするか、細心の注意を払って明らかにしていきたい。
中川智子議員:プロの方々、機構に丸投げして、そこで集めたデータで、最終的にはんこをつくのは厚労省という形の独法になる。大臣がいくら、組織の中で明確にしていく、外から見えるようにやると言っても、同じ穴のムジナ。同じ組織でやって、公平性が担保できるとは、素人が考えても明らかにできない。明確に組織は分けるべき。審議会の意見を聞いたりパブリックコメントを求めたりしたのか。
小島政府参考人(厚生労働省医薬局長):薬事法改正の審議状況を踏まえ、8月から法案の準備作業に入った。被害者団体の方には、9月中旬から案を示し、いろいろ意見を聞いている。審議会、パブリックコメントという扱いはしてない。
中川智子議員:パブリックコメント、審議会はしてない、現在でも案を示しているということ。法律が出ていて案を示してどうなるのか。質問しても変わらないのに。大臣は先日、国の責任は明確になっている、最終的な責任は国にあるといったが、機構の責任にして逃げることはないか。国の責任の取り方は変わらないのか。
坂口力大臣:何ら変わっていない。具体的問題については、研究者、技術者に委ねるしかない。今まで厚生労働省がやろうと思うと、人数の制限があり、十分な体制が取れなかった。独法化によって、人員体制も倍増させることができ得る。そして最終判断は厚労省が取る、これは変わってない。
中川智子議員:やはり、役員、職員構成が大事。今回現職は役員になれないと言っている。しかし、理事や役員に関しては、理事長に丸投げという形になる。これでは公平性が保たれない。人事に関して大臣は意見を言うのか。
坂口力大臣:理事長や理事は明確にしている。職員については理事長が決めるが、理事長や理事を決める時の考え方は導入されると思っている。厚労省と新法人で、職員の決め方についても、基準を明確に作り上げていきたい。
中川智子議員:透明性の担保が本当に大事と思うが、その基準は、ガイドラインのような形で外にも示していくのか。
坂口力大臣:外部にも明確に示していく。
中川智子議員:官僚と企業の癒着について、誤解を生んでしまう人事というのが心配。ガイドラインを出してもらいたい。被害救済のウェイトが低い。現在も1割に満たない。きちんと見直すと答弁があったが、見直しの中身は。
坂口力大臣:被害者救済については全力を挙げてやっていきたい。
中川智子議員:この前の答弁は見直すと言った。もう一度明確な答弁と対応する部署を作ってもらいたい。
坂口力大臣:それでは不十分ということがないように見直していきたい。新しい機構ができてから対応する窓口を考えていく。
中川智子議員:申請と不採用被害、救済実態は。
小島政府参考人:請求は483件、支給件数が352件、不支給件数が64件。
中川智子議員:被害救済する機構があることを知らない人がとても多い。先日の質問で、名称を考え直せ、被害をもっと救えと言った時に、見直すと言った。もっと広報を徹底してもらいたい。
坂口力大臣:それぞれの分野で適切に対応できるようがんばる。

首藤信彦(民主党)
(国際協力機構法及び国際協力基金に関する質問)

東祥三(自由党)
(国際協力機構法及び国際協力基金に関する質問)

■午後の審議・締めくくり総括質疑■
<保守党・井上喜一議員の質問>

井上議員:独立行政法人になっても運用に適正を欠けば、結局衣を変えただけになる。所管省庁や職員の意識改革が必要なのではないか。
石原大臣:ご指摘の通り、すばらしい制度でも運用が不十分であれば絵に描いた餅におわる。定期的な評価を行う評価委員会を設けたり、企業会計原則を導入する。そして、徹底した意識改革を総理も言われている。
井上議員:国立競技場のように民間に近いものもある。定期的な見直しをして、出すものは出すべきだ。
石原大臣:意識や採算性によって、民間にするのが適当なら民間に任せるという不断の見直しをする。
遠山文部科学大臣:国立競技場については委託等を進めるが、スポーツ振興という政策目的がある。意見を体しながら努力をする。
井上議員:研究機関は効率化で中途半端になってはいけない。幅広い意味で効率化を考え、充実した業務ができるようにすべきだ。
石原大臣:効率化や採算性という声がどうしても強くなりがちになる。業務運営の効率化以外に、サービスの質の向上も中期目標に盛り込んでいる。

<民主党・岩国哲人議員の質問>
岩国議員:組織をつけたり離したりすることが国民にどれだけプラスになるかは分からない。お役所仕事の改善、コスト削減とサービス向上が図られるのか。私は出雲市長時代にお役所仕事の改革をしたが、その一環として西暦を使うようにした。
小泉総理:西暦に統一なら簡略ではあるが、元号には歴史と伝統があり、国民に定着している。西暦はキリスト教に関係し、世界では西暦だけが使われているのではない。
岩国議員:新聞でやっているように併用すべきだ。出雲市では、平成元年から土日に窓口を開けているが、かえって職員は同規模の市より3割少ない。分かりやすい改革をすべきで、道路公団が上下分離がいいか一体がいいか100人にきても100人とも分からない。
小泉総理:サービス向上とコスト削減は、組織、制度以外の運用も大事で、地方自治体がサービスが良いなら見習うべきだ。
岩国議員:道路は税金で作る以上、アメリカのように無料とすべきだ。阪神大震災のときに、日本海側の道路の重要性がはっきりした。もうかるから作るというような小児的なことではだめだ。
小泉総理:ただにできるなら一番いいが、どうやって、誰がどこまで作るのか。地方へ行くと道路の必要性ばかり訴えられる。年内に民営化推進委員会の結論が出るのでそれを尊重し、民営化した会社ができないなら、誰がやり、誰が負担するのかの議論をする。
岩国議員:トラック業界は高速を走らないで、下を走っている。無料で走らせれば、ものが動き、人が動き、景気が良くなる。
小泉総理:国鉄からJRになったが、無料になっていない。鉄道も空港も輸送機関で総合的に考えないといけない。民営化の暁には負担の少ないサービスを提供することを不断に検討していく。
岩国議員:道路は国民のもので、電車や汽車と比較すべきでない。選考する独立行政法人59法人で、予算・事業を減らしたところは2法人であとは役職員が増え、新規事業も増やしている。先発組の通信簿は合格とは言えない。
片山大臣:先行独立行政法人は、国の仕事そのものを移した。いろんな議論があるが、評価委員会の評価も出つつあり、それを判断材料にする。

<自由党・都筑譲議員>
都筑議員:改革の実は上がるのか。ビジョンがかけているのではないか。
小泉総理:役所でなくてもできる仕事で必ずしも民営化できない仕事を独立行政法人が分担する。役員数、職員数、給与の問題だけでなく、行政改革、財政投融資制度、郵政3事業に寄与する改革だ。特殊法人改革では、民営化できないものは独立行政法人化するが、今後の見直しで廃止するものは廃止する。
都筑議員:自由党は、3年間で全部片付ける。必要なものは、あらためて存続法案を提出し、一つ一つ審査するよう提案している。今回の審議で1回も審議がない法人がある。国民生活センターや万博協会はなぜ民営化できないのか。道路公団や郵政事業も民営化を面白おかしく騒いでいる間に危機は深まっている。年金福祉事業団を年金資金運用基金に衣替えしたが累損は3兆円、今年4月から8300億円の赤字を作っている。
小泉総理:年金福祉事業団を残していたらもっと大変だった。私は廃止すべきといった。自由党は、ここは廃止すべきと具体的提案を行うなら参考にする。

<共産党・春名直章議員の質問>
春名議員:経済対策について、総理の考えを聞きたい。GDPの60%を占める個人消費の回復は決定的だ。10月17日の日経新聞で、家計の過剰債務が特集されていた。働き盛りの40代、50代の自己破産が増えている。住宅金融公庫ローンの代位弁済が増えている。私教連の調査では、1校あたり13.5人の方が3ヶ月以上授業料を滞納している。
小泉総理:GDP統計では4期連続プラスということだが必ずしも底堅くない。住宅ローンや教育費で困っている人がいるのは事実だ。政府として、不良債権処理を行う上で、安全網対策について十分配慮する。
春名議員:小泉政権の今後のプランは、家計をだめにしてしまうようなものだ。今回の給与法改正は、0.1〜0.2%のデフレ要素となる。民間企業のリストラで、今年の冬のボーナスは6.5%減になる。加えて介護保険料の引き上げ、医療費の負担増、年金改悪、配偶者特別控除の廃止これは5000億円の増税となる。これらは、猛烈に経済を冷やすものだ。
小泉総理:民間企業も必死で、人も給与も増やしたいが、競争相手があり合理化に必死だ。国も同じで、借金を重ね、金利を下げてきた。民間のリストラは進んでおり、館の改革に着手する。保険料、医療費の負担については、これをしないと誰が負担するのかという問題が生じる。税でやれば国民に負担がないかというとそうでもない。一方には減税の要求もある。財政はどうなってしまうか。総合的に勘案していくのが改革だ。
春名議員:制度の維持は、経済がまともになって初めてできる。公共投資へのメスなどやるべきことはある。

<社民党・菅野哲雄議員の質問>
菅野議員:法案の審議は十分ではない。特殊法人改革は長く議論していくべきもの。政策決定過程の問題が重要で、本四公団が3ルート作ろうとしたのではない。道路建設も国幹審で総理が議長となって決めている。これまでの反省が必要だ。
小泉総理:本四架橋は確かに政治が決定した。国の関与がいい場合もそうでない場合もある。特殊法人で国の関与の必要性が高いものは独立行政法人化したが、今後不断の見直しを行うことは必要だ。政治主導といっても選挙のことを考えず、国全体のことを考えるべきだ。行政の役割と民間の役割を議論するのが非常に重要だ。
菅野議員:政策決定過程の透明性を担保しないと同じことを繰り返す。
小泉総理:特殊法人改革でも透明性が必要で、真剣に受け止め、分かりやすい会計制度、事業の必要性は十分留意する。
菅野議員:改革すべき問題点は、現場労働者や利用者がつかんでいる。労働組合との事前協議、利用者の意向を十分踏まえて改革していくべき。労働組合は政策提言を行っている。見直しは法人自らが行うべき。日常的に労使が話し合うシステムを実現すべきだ。
小泉総理:行革の難しさは、廃止になれば職員は必ず反対することだ。身分の安定を考えると現状維持がいいという理由も分からないではない。現在の径庭でなくても事業はできるので改革を行うが、その際、法人関係者、職員の雇用安定策については、様々な機会にご意見を伺う。雇用問題は十分配慮する。
菅野議員:独立行政法人化して終わりでなく、透明性の高い法人とし、法人運営も第3者が入った法人運営委員会などを設けることで、国民、利用者の意見が反映する仕組みを考える必要がある。評価委員会がかねるのではなく。
小泉総理:法人の今後のあり方については、身内の意見だけでなく、外部の意見も大事なのはその通りだ。今後、不断に経営形態の見直し、透明性の向上、外部評価について、身内意識を持たない方に行ってもらおうと特殊法人等改革推進本部参与会議をもうけている。

■討論■
<与党・山名靖英議員>

 法案に賛成する。特殊法人改革は、官から民へ、国から地方への流れの中で、肥大化した公的部門を抜本的に改革するうえで不可欠。特殊法人改革基本法に基く整理合理化計画により、69法人が措置され、のこりのうち49法人について、法人解散ないし事業の徹底見直しで、必要のあるものの独立行政法人化と7特殊会社の民営化を行うもの。むしろスタートとして、役員のあり方、事業内容、評価の徹底などがなされるよう要望する。残りの法人の改革法案について、速やかな検討を求める。
<民主党・伊藤忠治議員>
 46法案に一部賛成、一部反対する。抜本改革は、小泉内閣において、原則廃止だったはず。今回、独立行政法人に衣替えしたのが38法人、廃止が5法人、民営化が7法人に止まっている。徹底した事務事業の見直しが行われていない。独立行政法人化は賛成だが、省庁の権限を官から民へ、国から地方への振り分けを行い、中央省庁に残った事務を外部委託などでスリム化すべき。やむなしと考える23法案に賛成し、民間・地方に任せるべきものと考える23法案に反対する。
<自由党・都筑譲議員>
 46法案すべてに反対。理由について、@今回の政府案の欺瞞性だ。独立行政法人化で看板を架け替え、予算、人事、業務の実態、官庁主導体制は変わらない。A政官業癒着の仕組みは何一つ改革されていない。B国民生活センター、万博協会などをなぜ純粋民間法人にできないのか。C火急の対策が必要な法人を放置している。D中期目標の設定、運営費交付金の仕組み、官庁との人事交流、評価委員会の評価など、改革の実は何一つ上がらない。
<共産党・藤木洋子議員>
 46法案すべてに反対。最大の理由は、看板の付け替えに過ぎないこと。国民の期待は、無駄な部分を削り、天下りをなくし、国民生活に必要な部分を拡大充実することだが、そういうものは皆無。環境破壊と多大の浪費を招いた公共事業を温存し、天下りに何らの規制もない。高級官僚の天下り、利権構造こそ真っ先に改革すべき。国民生活センターや医薬品医療機器総合機構法案、日本芸術文化振興会法案など、国民生活と安全、芸術、文化の後退が顕著だ。
<社民党・日森文尋議員>
 8法案に反対する。問題は制度ではない。徹底した政策論議、政策決定過程の検証が必要。国民生活センターはチェック体制を強化すべき、北方領土問題対策協会は国として対応すべき、平和記念事業は被侵略側の展示や資料事業に拡大すべき、労働者健康福祉機構は労災病院独立行政法人化に疑問、医薬品医療機器総合機構は審査と振興を再統合するもの、社会保険診療報酬支払基金は公的関与が必要、水資源機構は役割が終了、日本下水道事業団の地方共同法人化は地方への負担転嫁である。

 採決は、いずれの法案も賛成多数で可決。ついで自民党、民主党、公明党、社会民主党、保守党の共同提案による付帯決議が採択されました(共産党、自由党反対)。

独立行政法人国民生活センター法案等特殊法人等改革関連四十六法律案に対する附帯決議

政府は、右各法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

一  特殊法人等の独立行政法人への移行に当たっては、自律的、効率的に運営を行うという独立行政法人制度の趣旨が充分発揮されるよう、その運用に万全を期すること。

一  独立行政法人への移行後においても、民間に委ねられるものは民間に委ねるなど、事務・事業や組織の見直しを行い、経営の一層の合理化、効率化と経費の削減に努めること。

一  独立行政法人の長の選任においては、当該分野に造詣の深い適切な人材を広く内外から起用するよう充分配慮すること。その他の役員の選任についても同様とすること。

一  独立行政法人の役員の報酬及び退職手当については、独立行政法人通則法の趣旨を踏まえ、法人及び役員の業務の実績を的確かつ厳格に反映させること。また、主務大臣は、独立行政法人の役職員の報酬及び退職手当の水準を、国家公務員及び他の独立行政法人の役員と比較ができる形で分かりやすく公表し、国民の理解を得るよう努めること。

一  独立行政法人が所期の成果を挙げるためには、的確で厳正な業績評価が重要である。このため、明確かつ具体的な中期目標や評価基準を設定することとし、また、公正で客観性のある厳格な評価を確保するよう、評価者の人事及び評価の方法には細心の配慮を払うこと。

一  独立行政法人等への移行に当たっては、これまで維持されてきた当該特殊法人等の職員との雇用の安定を含む良好な労働関係に配慮すること。

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