本中央委員会の主たる任務は春闘方針を決定することですが、討論をとおして来春闘の重要性を確認しあい、お互いの決意を固め合うことがなによりも重要です。
いま、政府・財界は国民の生活と権利を破壊しながら、社会、経済構造を反動的に再編し、戦争する国づくりにむけた攻撃を強めています。
公務員労働者の賃金切り下げ、公務員制度「改革」はその具体化であり、政府・財界の「21世紀戦略」の一環であることを再確認することが重要です。
私はこのような攻撃をみるとき、来春闘の「対抗軸」は社会発展の原動力である5,400万労働者が「人間らしく生き、はたらく」社会の実現を展望しつつ、労働組合の存在意義をかけて労働者・国民の「生活と権利を守る」ことにあると思います。
経済的要求と権利を守り発展させるたたかいを結合し、反転攻勢のうねりをつくりだすために全国の仲間の奮闘を呼びかけるものです。
全労連はその立場から、国民の雇用・くらし・いのちを守る「国民総決起」のたたかいを提起しており、国公労連は行財政・司法に携わる専門性と全国に組織を有する特性を生かしその一翼を担って奮闘する決意です。
いま、デフレ不況が深刻化し雇用・失業情勢が過去最悪の状況で推移しています。
また、「不良債権処理」の加速によって倒産・失業の不安がさらに強まるもとで、苦しみの根源が国民に痛みを押しつける小泉「構造改革」と、財界・大企業によるリストラ、賃下げの攻撃にあることが明確となっています。
それだけに、攻撃に直面している労働者・国民諸階層が雇用、くらし、いのち守れの要求を結合し、共同のたたかいを発展させることは、経済政策を根本的に転換させる国民的大義をもった運動だと思います。
その基本にそって仲間たちの要求と国民的要求を結合し、職場と地域からのたたかいを徹底して強めることが重要です。
賃金引き下げ、定員削減による労働強化、不払い残業など、労働環境の悪化とその改善を求める声は公務・民間とも切実であり、労働組合に結集して要求を一歩でも二歩でも前進させたいという思いは強くなっていると思います。
その意味では従来の延長線上の発想にとどまることなく、職場の怒りを使用者責任の徹底追及と「外に打って出る」行動に結びつけ、闘争参加規模の質的・量的拡大を追求していくことが重要です。
国公労連は、全労連が重点課題として提起している「賃金底上げ、最低賃金、差別是正で賃金破壊に歯止めを」かける運動を、公務の職場でも本格的かつ具体的に実践していく決意です。
いま国の機関で恒常的に働いている非常勤職員は約6万人といわれています。
この人たちは、いわゆる「制度の谷間」におかれ、公務員でありながら人事院勧告の対象とはならず、労働基本権も制約される状況のもとで、地域最賃すれすれの低賃金など劣悪な労働条件を強いられています。
非常勤職員にくわえて、国が雇用関係を否定し続けている多数の「相談員」の存在を合わせ考えるとき、この仲間たちの要求を放置していては、行政の民主化、公務員賃金の引き上げなど私たちの要求に対する国民共同のたたかいは進展しないのではないか、ということを直視しなければならないと思います。
公務職場での非常勤職員・相談員の賃金底上げ、労働者としての権利を明確にした最低保障の確立を正面にかかげ、みずからの要求と一体で追求していくことが国公労働者全体の要求前進に合致する方向であり、重要な責務であることを確認したいと思います。
国公労連は、春闘段階から非常勤職員の要求前進を具体的に追求するとともに、当該職員との連携を強めながら、概算要求期のたたかいへと結びつけていきます。
次に、「マイナス勧告」をとおして高まっている、賃下げ・リストラの悪循環に歯止めをかける官民共同のたたかいを、さらに大きくしていくことが重要だと思います。
「マイナス勧告」を理由として、自治体、特殊法人、国営企業など幅広い分野での賃金切り下げが強行されるなかで、賃下げの悪循環に対する危機意識、不利益遡及の不当性に対する怒り、地域経済の衰退に拍車がかかることへの不安など、公務員賃金の社会的影響の大きさに国民的関心が高まっています。
国公労連は、労働基本権制約に起因する「マイナス勧告」の意味をあらためて社会的に明らかにしながら、最低保障と賃金底上げをめざす運動へと合流し、賃下げのサイクルを許さないたたかいをさらに強めたいと思います。
次に公務員制度「改革」について申し上げます。
政府は通常国会に国公法改正など関係法案を提出する方針であり、私たちのたたかいはいよいよ正念場を迎えます。
国公労連はILO勧告もふまえながら、国公法など「関係法案の改悪阻止」をたたかいの中心課題と位置づけ、国民的共同の発展に全力をあげます。
11月21日のILO結社の自由委員会勧告は、労働基本権制約の現行制度そのものが87号・98号条約に違反しており、結社の自由原則に合致させる方向での法律改正を求めるなど、歴史的で画期的な内容となっています。
国公労連は、政府がこの勧告を真摯にうけとめ、公務員制度「改革」の検討作業をただちに中止し、「大綱」を撤回したうえで国際労働基準と結社の自由原則に沿った改革をおこなうための交渉・協議を速やかにおこなうよう、国公労働者の総意として要求するものです。
同時に、政府のすすめる「改革」はその内容が明らかになるにつれて矛盾と批判が高まっています。
その矛盾と問題点を各省当局に認識させ、関係法案改悪反対の立場に立たせるとりくみはきわめて重要です。
国公労連はこの立場から、ILO勧告にそった労働基本権回復および職員の利益擁護の制度的整備など、基本となる7項目の要求を各省当局につきつけ、その責任を厳しく追及していくとりくみを統一的に強めたいと思います。
「マイナス勧告」の攻撃が公務員制度「改革」などの「構造改革」と結びつけて強行されたもとで、公務員賃金切り下げをテコに国民にいっそうの労働条件切り下げを強要し、公務員の労使関係や賃金決定の仕組みを政府・支配層の意向に沿って改悪しようとする意図がはっきり見えてきたと思います。
それは政府・財界が労働者・国民の民主的な権利と運動に対して、鋭い攻撃の矛先を向けてきたということだと思います。
国公労連は、公務員の基本的人権を守る立場から、権利侵害の実情を社会に訴えるとりくみとして裁判闘争を位置づけるとともに、その具体化をつうじて民間で働く皆さんとの共同を拡大していきます。
たたかいが正念場を迎える今日、「知らない、わからない」という仲間があってはならないと思います。各機関での学習の強化と仲間たちの決起を心から訴えます。
これらのとりくみをつうじて、「チャレンジ30」にもとづく国公労連組織の強化・拡大を具体的に追求していかなければなりません。各機関においてチャレンジの計画を練っていただき、具体的成果を勝ち取るよう奮闘をお願いするものです。
小泉「構造改革」によって国民生活の基盤が根底から脅かされているもとで、4月には一斉地方選挙がたたかわれるなか、労働者・国民の要求実現と政治の民主的転換とのかかわりがますすます重要となっています。
また、イラク問題では「戦争か平和的解決か」のきわめて大変な局面にあります。
平和憲法をもつ日本がアメリカの無法な戦争に協力し、平和を求める諸国民の願いを踏みにじるなどということは断じて許されることではありません。
国公労連は、有事法制反対の運動と「イラク攻撃反対、平和的解決を」の運動を結合して奮闘するものです。
私たちは、戦争する国づくりを許すのか、憲法原則にもとづき労働者・国民が「人間らしく生き、はたらく」社会をめざすのかという重要な節目に立っています。
「生活と権利を守る」運動とあわせて、政治の民主的転換を求める運動に奮闘していきたいと思います。
以 上
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