2003年度予算政府案の決定に当たって(談話)
2002年12月24日
日本国家公務員労働組合連合会書記長・小田川義和


1.本日、政府は、2003年度予算政府案を閣議決定した。その内容は、国債依存度が44.6%という戦後最悪の借金まみれのものであり、その一方で、医療保険制度の改悪など、これまでにも増して国民生活破壊の政策が強化されている。にもかかわらず、国民に何らの将来展望も示していないという点で、まれにみる悪政の具体化であり、断じて容認できない。

2.小泉政権は、「構造改革なくして景気回復なし」をスローガンに緊縮財政をとってきた。その結果、デフレを深刻化させ、景気後退に拍車をかけてきた。その結果、財政面では、巨額の税収不足、金融経済面では不良債権の累積を招いた。この上、政府は、メガバンクの倒産・整理をも辞さない不良債権処理策を強行しようとしている。小泉「構造改革」の続行がもたらすものは、緊縮財政による社会保障など国民生活を支える分野の削減で雇用、生活、将来の不安の増大であり、不良債権処理による中小企業を中心とした深刻な倒産と失業である。国民の雇用、生活、将来不安を取り除く方向への政策転換は、もはや一刻の猶予も許されない。

3.ところが来年度予算案では、逆に国民の雇用、生活、将来不安が一層増大させようとしている。税制は、「先行減税」2兆円を含む大企業・大資産家への手厚い優遇と、所得税については戦後初の本格増税とされるなど、中小企業と中低所得者層への生活全般に及ぶ大幅な増税される。歳出面では、社会保障費抑制により、4月からの医療保険本人3割負担や、年金額の削減、義務教育国庫負担金の削減、雇用保険など枚挙にいとまがない削減が計画されている。

4.こうした国民犠牲の強行に対して、自民党支持勢力からも異議が申し立てられている。医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会は、24日、4会の会長が街頭で医療保険制度改悪の凍結を求める宣伝を行った。このことは、国民の現在と将来の生活に何らかの責任を負おうとするなら、小泉「構造改革」路線にもとづく政策には反対せざるを得ないことを示している。

5.一方、国民への行政サービスを支える要員も、「構造改革」の一環として経済財政諮問会議等から減量化が強く求められた。その結果、非現業で、合理化減などを含め定員削減を4972とし、新規増を3093に抑制した結果、1879の純減となった。これは、2001年度の1893人純減に次ぐ数字である。厳しい定員の純減政策の結果、行政サービスの水準は職員の献身によっても支えきれない状況を迎えつつあり、「構造改革」路線によって行政サービスの危機は深まっている。

6.小泉「構造改革」は、国民の現在と将来を危うくするものでしかないことが、2003年度予算政府案で誰の目にも明らかになりつつある。国公労連は、全労連に結集し、国民総決起の春闘を進め、当面する通常国会における予算組み替え要求の取り組みを強め、広範な国民からわき上がりつつある意義申し立てとの共同を拡大する中で、国民生活関連部門の要員確保を含め、政策の根本的転換を要求する世論と運動を強めていくものである。

以  上

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