8月13日、沖縄県宜野湾市にある普天間基地から飛び立った米海兵隊の大型輸送ヘリコプターが、沖縄国際大学校舎に接触後、構内に墜落して爆発炎上した。この事故で周辺の住宅地に機体の一部が落下し、民家や車両などに多くの被害を与えた。事故現場の大学構内はもとより、その周辺は小中高校や保育園、学習塾もある住宅密集地であり、墜落位置が少しでもずれていれば大惨事になりかねなかった深刻な問題である。大事故にもかかわらず、県民への人身被害が無かったことは奇跡的と言わざるを得ない。
事故直後、米軍は、民間地域にもかかわらず大学関係者を構内から排除し、現場封鎖を行った上、消防や警察、政府関係者の現場立ち入りを拒否したほか、付近の道路も封鎖して、住民生活にも大きな影響を与えた。米軍は日米地位協定を盾に日本側の捜査を拒否し、日本の領土でありながら米軍が主権を持つという異常な事態に、県民からは「占領そのものだ」との怒りが集中した。日米地位協定が存続する限り、日本全国で同様の事態が起こりうる危険性がある。
しかし、米軍は、「事故原因の徹底究明と再発防止」などを求める世論を無視し、事故後わずか2日目に普天間基地での飛行を再開したほか、事故原因の究明すらまともに行わないまま、9日目には事故機と同型機の飛行を再開するという暴挙を行った。この飛行再開はイラク派遣のための軍事展開によるもので、人命よりも軍事作戦優先の米軍の姿勢が改めて浮き彫りにされたものであり、断じて許されるものではない。また、これを容認する小泉内閣の“米ブッシュ政権いいなり”の恥ずべき姿勢は言語道断である。
世界一危険な基地として日米両国政府が認識している普天間基地は、住宅密集地の中心部に位置し、1996年のSACO(日米特別行動委員会)合意で全面返還が決まったにもかかわらず、いまだその見通しもないまま今日に至っている。その間、沖縄の基地から既に約3000人の米海兵隊員がイラクに派遣され、近々普天間飛行場のヘリコプターもイラク占領作戦への投入が伝えられるなど、普天間基地はまさにイラク戦争の発進基地と化しているのが現状である。
国公労連は、県民・国民の生命・財産を脅かした米軍ヘリ墜落事故に強く抗議するとともに、二度とこのような事故を繰り返さないよう、以下のことを政府に強く要求する。
一、 |
事故原因の徹底究明と普天間基地での全面的な飛行を停止すること。 |
二、 |
普天間基地の閉鎖と無条件全面返還を実現すること。 |
三、 |
名護市辺野古への新基地建設を撤回すること。 |
四、 |
アメリカへの戦争協力をやめ、イラクから自衛隊を即時撤退させること。 |
以上、決議する
2004年8月27日
日本国家公務員労働組合連合会第50回定期大会
|