郵政民営化関連法案の徹底審議と廃案を求める決議

 郵政公社を民営化するための法案審議が衆議院で始まった。与党は、本来の所管である総務委員会でなく、特別委員会の設置を強行し、国民が求めもしない郵政民営化法案を今国会で強行成立させようとする意図を明白にしている。法案の提出強行とあわせて二重に国民世論に背くものと言わざるを得ない。
 法案の骨子は、(1)郵政公社を2007年4月1日に解散し、持ち株会社のもとに窓口・郵便・貯金・保険の4つに分社化する、(2)2017年3月までに貯金・保険両会社の全株式を段階的に完全売却する、(3)総務省令で郵便局の設置基準を定め、郵便局網を維持する、(4)社会・地域貢献基金を1兆円積み立て、過疎地のサービスを支援する、などである。
 法案では「総務省令で郵便局の設置基準」を定めて、「社会・地域貢献基金」を2兆円まで上積みできるとしているが、これでは1万1000局にのぼる赤字局を維持することは困難である。また、現行の3事業を分離することは、国民にとって基本的な通信手段である郵便と、全国津々浦々であまねく公平に国民生活の利便を図ってきた金融のユニバーサルサービスを解体するものである。
 法案は、その書き出しに「民間に委ねることが可能なものはできる限りこれに委ねることが、より自由で活力ある経済社会の実現に資する」と明記しているが、民営化されれば、国民生活の利便向上よりも、採算と効率重視の事業運営が迫られ、地方でも都市部でも郵便局の廃局や統合が進むばかりか、第三種・第四種郵便制度の廃止や値上げも懸念される。
 民営化の最大の狙いである郵便貯金と簡易保険の民営化は、金融ネットワークを破壊して国民に痛みを強要しながら、350兆円の資産を大銀行や財界、アメリカの金融資本の利益に供するものに他ならない。
 国民の税金を一円も使わずに、3事業一体で全国共通サービスを維持している郵政公社に、「社会・地域貢献基金」を積んでまでしてなぜ民営化するのか、といった基本部分ですら説明できない郵政民営化に国民の支持は得られていない。今日までに47の全都道府県議会と9割を超える地方議会が民営化反対、あるいは慎重審議を求める意見書をあげていることがそのことを物語っている。
 国公労連は、「公共サービスの商品化」に反対するとりくみとも結合して、小泉構造改革の「本丸」である郵政民営化法案の国会での徹底審議と廃案をめざして、国民多数と共同して職場と地域から奮闘する。
以上、決議する。

2005年6月3日
日本国家公務員労働組合連合会
第123回拡大中央委員会


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