国民投票法案の自公民「合意」に抗議する


1.12月20日、自民・民主・公明三党の衆院憲法調査特別委員会理事らは「憲法改正国民投票法案」(以下、「国民投票法案」という)を、来年1月に召集される通常国会で成立を目指すことで合意し、年明けから同法案の共同提出に向けた本格協議に入ることが報じられた。
 自民党は憲法9条2項を削除し、日本を海外で「戦争できる国」とする「新憲法草案」を結党50周年党大会で決定している。民主党も競い合うように集団安全保障に踏み込んだ「憲法提言」をまとめている。
 このように憲法をめぐる状況は9条改悪を焦点にした新たな段階に入ったと言える。国民投票法案提出の動きは、「9条」改憲に一気に突き進もうとするものに他ならない。国公労連は、現段階での国民投票法案の提出、審議には到底賛成できない。
 
2.明らかになりつつある国民投票法案の内容は、主権者である国民の目と耳を塞ぎ、手足を縛る危険なものであることも指摘したい。
 三党合意において、マスコミ報道については「原則自由」とされたものの、公務員等及び教育者の地位を利用しての運動の禁止や外国人の投票運動の禁止などの条項は残されたままとなっている。政治的立場を明確にした候補者の中から当選者を選ぶ「公職の選挙」と、「国民から政府に対する命令書」の書き換えである憲法改正の是非を問う国民投票とは全く異なる行為である。後者は可能な限り規制を緩やかにし、国民的な論議を最大限保障すべき性質のものである。
 国民投票法案は、公職選挙法より一層厳しく、公務員・教員の思想・信条、表現の自由を制約し、それらも主権者国民であることを否認しかねない可能性があり、断じて認められるものではない。
 
3.そのほかにも、(1)発議から30日以後90日以内に投票を行うとしていること、(2)投票方法について、複数の改正項目がある場合の「一括投票」を否定していないこと、(3)投票率の制限はしないままに、「有効投票総数の過半数」で改憲が承認されるとしていること、(4)未成年者を投票行為から一律に除外していること、など見過ごせない問題がある。これらの内容では、改憲の是非にかかる国民の自由闊達な論議は保障されえない。

 国公労連は、重大な問題を持ち憲法改悪を目的とする「国民投票法案」への反対を表明し、国会提出を許さないたたかいを職場・地域から緊急に強めることを呼びかける決意である。


 2005年12月21日
                     日本国家公務員労働組合連合会
                     書記長 小田川義和

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