在日米軍の再編強化に反対する決議
 小泉内閣は、5月30日、普天間基地に代わる新基地建設やキャンプ座間への米陸軍新司令部設置、米空母艦載機の岩国基地移転など、在日米軍再編に関する基本方針の閣議決定を強行した。これは、先の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した「最終報告」を「着実に実施していく」ことをうたったものであり、「日米同盟の変革と再編」と称して「日米同盟」を地球規模に拡大し、米軍と一体の海外派兵態勢をつくり、そのために必要な基地強化を進めようとするものである。今後、政府は閣議決定にもとづき米軍再編のための予算化や特別措置法の策定を行うとしている。

 基本方針では、沖縄に駐留する海兵隊の一部グアム移転について、「わが国としても所要の経費を分担」することも確認している。海外の米軍基地強化費を出す根拠は、わが国の法体系や日米地位協定にはなく、他国での軍事基地建設の費用負担は、税金の不当支出にほかならない。「法制面および経費面を含む再編関連措置」を特別に設け、ご都合主義的に費用負担の道を開くことは、恒久平和を宣言し、財政民主主義を規定した憲法に照らしても許されないものである。

 このグアム移転費を含め、在日米軍再編で日本が総額約3兆円を負担することも日米関係者から明らかにされている。これまで政府は、「財政赤字」を口実に、公務員の総人件費削減、医療・社会保障の切り捨て、庶民大増税など、労働者・国民に耐え難い犠牲を押しつけてきた。その一方で、在日米軍に対して巨額な経費負担を背負うことになれば、国民生活関連予算をますます圧迫し、国民全体にさらなる犠牲を強いることはいっそう明らかである。

 岩国市の住民投票や沖縄市の市長選挙の結果にも示されているように、在日米軍基地再編にかかわる自治体と住民の多くが、増強や移転に反対している。在日米軍再編計画を「速やかに、かつ、徹底して実施」するという日米合意を最優先した今回の基本方針は、基地強化に反対する自治体と住民の声を無視し、政府決定を一方的に押しつけるものであり、民主主義とはまったく無縁のものである。アメリカのためには国民の安全や平穏な生活も犠牲にする小泉強権政治を許してはならない。

 国公労連は、今回の在日米軍再編に関する基本方針の閣議決定に断固抗議する。アメリカいいなりの米軍再編強化に反対し、憲法9条を守り、米軍基地も軍事同盟もない日本をめざす運動を大きく発展させるため、引き続き全力で奮闘する。
 以上、決議する。
 2006年6月3日
          日本国家公務員労働組合連合会
第126回拡大中央委員会

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