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いま、社会保障の連続改悪と軌を一にして社会保険庁「改革」が強行されようとしている。政府の肝いりで、損保ジャパンの副社長を社会保険庁長官に据えた「改革」は、「組織改革」「業務改革」「意識改革」からなり、公務民間化のトップランナーの役割を担わされている。 「組織改革」は、2008年10月をめどに行う社会保険庁の解体・再編であり、「業務改革」は、国民や年金受給者を「お客様」に見立て、顧客サービスの向上をめざす様々な取り組みであり、「意識改革」は、目標管理制度を軸とする新たな人事評価制度の本格実施である。このことからも明らかなように、「改革」の中心に職員の意識改革や人事管理の民間化がおかれ、国民の立場に立った社会保障の充実の視点が全く欠如している点に特徴がある。 「組織改革」とあわせ、雇用問題の発生が懸念される事態がすすんでいることも見逃せない。新組織への職員の移行に際して、「職員の引き継ぎ規定」が設けられていないのである。公法人となる「全国健康保険協会」の採用には、差別・選別を可能にする枠組みが設けられ、民間からの積極的な採用すらうたわれている。 社会保険庁を引き継ぐ「ねんきん事業機構」では、「厳正な服務の宣誓」が職員に求められ、この間の一連の処分を重視した採用も検討されている。「ねんきん事業機構」に採用されない職員には、国家公務員法第78条の分限免職さえ検討し、雇用不安をあおり、「命令と服従」の人事管理を強要していることは許されることではない。 多くの国民の願いは、安心して老後を暮らせる年金制度や安心して受けられる医療制度の確立であり、職員に国民年金の収納率改善競争を強いるための「改革」ではない。 社会保険庁には、問題となった国民年金の不適正な事務処理が、ノルマと競争を現場に押しつけた結果であることへの反省こそが、今求められているのである。 秋の臨時国会では、継続審議になっている「ねんきん事業機構法案」の審議が行われる。社会保険庁「改革」の方向を決定づける重要なたたかいの場となる。国公労連は、社会保険庁「改革」のねらいと本質を国民の中に明らかにし、雇用破壊、社会保障解体を許さず、国民の願う社会保険行政の確立のために全力をあげて奮闘するものである。 以上、決議する。 | |
2006年9月2日 日本国家公務員労働組合連合会第52回定期大会 |