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いま、自民党を中心に、社会保険庁解体の攻撃が激化している。自民党は、国会に提出されている「ねんきん事業機構」法案を廃案にし、「解体的出直し」を含めた新たな法案を次期通常国会に提出しようとしている。新聞報道などによると、新組織は非公務員型とし、業務の大半は民間に委託するとともに、職員数も半減、保険料の強制徴収については国税庁に委託する案も浮上している。
小泉政権から安倍政権に引き継がれた「構造改革」路線は、国民生活のセーフティネットである社会保障をきわめて脆弱なものに作りかえた。その真の狙いは、アメリカや日本の生保、損保業界のビジネスチャンスの拡大に他ならない。その端的な顕れとして、生命保険の加入目的は、「医療費や入院費のため」が「世帯主の死亡などによる万一の備え」を上回った。個人年金の新規契約数は4年間で実に倍増している。社会保険庁解体攻撃は、これら社会保障の解体と一体で進められるものである。
自民党は、職員の分限免職さえ主張している。労働基本権が制約され、身分が法で保障されている国家公務員労働者の権利を不当に侵害する暴論である。こうした攻撃を許すなら、公務の「民間開放」攻撃とあいまって、国公労働者はもとより自治体労働者、教員など、すべての公務労働者に波及する、「分限免職」という凶器を使用者に与えることになりかねない。これは、国鉄分割民営化において、国鉄労働者にかけられた攻撃の再来であることからも、全労働者に向けられた攻撃と見なければならない。
しかしながら自民党は、年金改悪などに対する国民の怒りを社会保険庁問題にすり替え、政治的に利用しようとしている。自民党はこの間行われた衆議院補欠選挙において、「年金を守るなら与党、社会保険庁の役人を守るなら民主党」とのビラを配布した。来年の参議院選挙を有利に展開しようとする自民党の党略は見え透いている。これに対し毎日新聞が、その社説で「公的年金は老後の命綱、その運営組織のあり方を政争の具にするのはもってのほか」と厳しく批判したのは当然と言えよう。
年金制度は、きわめて長期にわたる管理・運営が求められ、安心できる制度確立とともに、国の責任において行われなければならない。私たちは、社会保険庁解体攻撃を国公労連全体の問題と位置づけ、全厚生の運動を全面的に支援する。同時に、社会保障の解体と、「組織を変えれば解雇は自由」とする全労働者に対する攻撃の本質を広く国民に明らかにし、安心して暮らせる年金制度確立を一体的に訴え、組織の全力をあげて奮闘するものである。
以上、決議する。
2006年12月9日
日本国家公務員労働組合連合会第127回拡大中央委員会
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