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国公労新聞 2006年12月25日号 第1249号
     
 
 

 

 ◆地域から流れ変えよう
  国公労連第127回拡大中央委員会ひらく 07春闘方針を決定


 国公労連は12月8・9日、第127回拡大中央委員会を東京都内で開催。07春闘期方針を満場一致で決定しました。日本の未来をかけた重要な局面として、「まもろう憲法・平和、なくそう格差と貧困、つくろう安全・安心な社会を」を合い言葉に、全国の職場・地域でたたかう決意を固めました。

 ◇政治の流れをかえるたたかう春闘を
 冒頭、福田昭生委員長は、国会で暴走する改憲の動向にふれ、「学習を深め、自主的自覚的な憲法闘争を」と強調。「労働法制大改悪など『構造改革』で、国民生活の安全・安心が破壊されている。政治の流れを変えるため、たたかう春闘を」と訴えました。
 続いて、岡部勘市書記長が07春闘期の重点課題として、(1)「9条」改憲反対、(2)生活破壊の「構造改革」に対する国民的とりくみ、(3)「公共サービス商品化」反対、(4)賃金をはじめとする労働条件改善、(5)「働くルール」確立、(6)労働基本権回復、民主的公務員制度確立、(7)組織の拡大、地方産別組織の整備・強化、の7点のたたかいを提起。一斉地方選挙・参議院選挙闘争方針もふれ、「公共サービス商品化反対、地方切り捨て反対の全国総行動や、意見書採択運動を全国で成功させよう」と強調しました。

 ◇9条改憲阻止住民と対話深めて
 討論では、「沖縄県知事選で住民要求と基地闘争を結合し、大きな確信」(沖縄・開建労・福岡)、「『9の日』7時間ロングラン宣伝を展開。大阪国公9条の会・共同センターの結成めざす」(大阪)、「意見広告カンパは98%の達成率。完遂まで全支部でやりきる」(全港建)、など「9条改憲」阻止への決意が表明されました。
 また、「格差拡大のしわ寄せが地方にきている。民間の仲間と共同し、地域住民の視点に立った春闘を」(東北・宮城)、「トヨタ総行動に全国から結集を。ストップ!偽装請負運動を愛労連で実施」(愛知)、「年収300万円以下が多数の民間労働者と対話を。全労連統一要請書に積極的にとりくむ」(全建労)と地域春闘への熱い思いが語られました。

 ◇社保庁攻撃に地方から反撃を
 「労働法制改悪阻止のため広範な共同追求を。講師も積極的に派遣する」(全労働)、「社保庁解体攻撃で制度空洞化が浮き彫りに。地方から反撃を」(福岡・愛知・全厚生)など、「構造改革」「公共サービス商品化」反対のとりくみの重要性が強調されました。
 また、「雇い止め阻止、非常勤職員の労働条件改善の強化」(全医労・全運輸・国公一般)、「メンタルが深刻。組合に風を吹かせるため、運動を」(全運輸)など、活発な論議が交わされました。
 討論のあと07春闘期方針を満場一致で採択。07年春闘アピール、「教育基本法改悪法案は絶対に通さない!決議」「社保庁改革に対する決議」を採択しました。
 
 

 

 ◆公務員にも政治活動の自由を
  言論・表現の自由守る12・8国民集会に1,000人


 12月8日夜、東京・日比谷公会堂で「言論・表現の自由を守る国民集会〜公務員労働者にも政治活動の自由を〜」が開かれ、1,000人の労働者・市民が参加しました。主催は全労連、国公労連、自治労連、全教、国民救援会などでつくる同集会実行委員会。
 国公労連からは、在京・近県だけでなく第127回拡大中央委員会に出席したブロック・県国公の仲間も参加しました。
 集会ではジャーナリストの斎藤貴男さんが講演し、格差拡大や権利抑圧など、改憲をねらうこの国の底流で何が起こっているかを指摘しました。
 同集会のために来日したフランスCGT国家公務員連合のJ・ビュトゥールさんは、フランス公務員の政治的自由と労働基本権の確立状況をふまえ、日本の前近代性を厳しく批判しました。
 続いて、国公法弾圧堀越事件弁護団の加藤健次弁護士が、一連の言論弾圧事件の特徴として、改憲・「戦争する国」づくりと一体となった公安警察の暴走を許すなと訴えました。
 最後に、事件当事者の堀越明男さん、宇治橋眞一さん、荒川庸生さんが支援者とともに登壇し、たたかいぬく決意が表明されました。
 
 

 

 ◆教育基本改悪法が強行成立
  世論踏みにじる自公の暴挙!「防衛省」法も成立=民主も加担


 改悪教育基本法が、12月15日の参院本会議で、自民、公明両党の賛成多数で可決され、成立しました。徹底審議を求める圧倒的な国民世論を踏みにじっての暴挙です。
 自衛隊の海外活動を本来任務とし、防衛庁を省に移行させる「防衛省」法も12月15日の参院本会議で、自民、公明、民主の各党の賛成多数で可決・成立。全労連は同日、「教育基本法改悪法案、防衛省関連法案など憲法改悪につながる悪法の実施は許さない」との小田川事務局長談話を発表しました。
 安倍首相は臨時国会閉幕の12月19日、憲法改悪について「在任中に何とか憲法改正をなしとげたい」と改めて首相任期中の改憲に意欲を示し、国民投票法案を来年の通常国会で成立させたいと強調しています。
 
 

 

 ◆構造改革路線を検証
  3年ぶり 国公労連第3回行政研究集会ひらく


 ◇アメリカ要望による「改革」の姿浮彫りに
  グローバル化と行財政・司法のあり方問う
 国公労連は11月7日、第3回行政研究集会「構造改革路線の検証 グローバル化と行財政・司法のあり方」を開催しました。集会には国公労連組合員の他、外部団体、報道関係など229名が参加しました。集会は、この間アメリカの対日圧力によって、行財政・司法が歪められ、国民生活に深刻な影響をもたらしている実態を浮き彫りにしました。

 ◆「構造改革」の実態現場から広く訴える 委員長挨拶要旨

 今回のテーマは「行政現場から構造改革路線を検証しよう」。キーワードは「グローバル化」。
 今、この国では、経済・社会・政治すべての局面での「構造改革」の嵐が吹き荒れている。戦後の憲法体制そのものを根底から覆そうとする、きわめて危険な動きである。
 今回の「構造改革」の背景は大きく2つある。
 1つは、「経済のグローバル化」。ソ連崩壊後、唯一の超大国として残ったアメリカがアメリカ型の資本主義を世界標準として押しつける動きに出たのが、「構造改革」の始まりである。
 アメリカ型新自由主義の資本主義は、市場原理万能、利潤第一主義を極限まで徹底したものである。非正規雇用労働者、ワーキングプアーが増加し、格差と貧困が大きな社会問題になっている。
 この新自由主義のアメリカ型の資本主義の行き着く先は、一握りの大企業と大金持ちだけが潤う野蛮な格差競争社会になってしまうことは明らかである。
 もう1つは、日本の「構造改革」がきわめて乱暴で過激かつ野蛮なのは、日本が日米安保体制のもとで政治的、経済的、軍事的にも従属をする、この大きなゆがみが日本の「構造改革」をきわめていびつなものにしている。
 これらに負けないためにも、自ら行政・司法の現場から「構造改革」の実態を広く世の中に訴えていくことが大事である。しっかり「構造改革」を検証し、この国の「構造改革」や9条改憲の動きにストップをかけることが重要である。

 ◆T グローバル化と労働・経済

 ◇企業法制
 全法務富田副委員長は、企業行動に関する変化、株主利益最優先のシステム作りが行われてきた。商法は、01年以降は大きく変化した。00年9月、保岡法務大臣の大号令のもと、法務省民事局より「今後の商法の改正について」とする文書が発出された。それには、会社機関のあり方(株主同会制度、取締役・監査制度等)、情報開示のあり方、各種書類や会議関係の電子化、資金調達制度の改善、等々が列記。これらはすべてアメリカからの要望によるものであった。さらに経済産業省の影響もあって、株主や外国企業のための会社法という性格を強めた。法「改正」後の影響ををつぶさに見ながら、さらに研究を重ねたいと発言しました。

 ◇司法制度
 全司法牧山書記次長は、アメリカは98年度年次改革要望書で、日本における外国人弁護士の活動領域の拡大と、日本における弁護士数の増加を要望した」と報告。こうしたアメリカの要請等も背景としながら01年に司法制度改革審議会意見書が提出された。その後弁護士の国際化への対応強化、弁護士人口の増加、仲裁法制の整備等が具体化されてきた。規制緩和、自己責任の原則では、国民の生命・財産を守れないことは明らかだと指摘しました。

 ◇法人税制
 全国税八代副委員長は、最近の内部留保の増加によって、役員報酬と配当はあがる一方、労働者の賃金は下がっている。トヨタ自動車の個別損益計算書、有価証券報告書によると、06年3月期の税引前当期利益は1兆1047億8100万円。トヨタの法定実行税率は39.3%。しかし実際に収められたのは30.7%だ。推計すると718億円もの減税だ。
 今年の税制改正の目玉は、減価償却であり、内部留保の手段にこの制度を、『もっと企業側に有利に』となっていると問題を指摘しました。

 ◇運輸安全
 全運輸小池副委員長は、90年代に入って、物流2法をはじめとする規制緩和が行われた。住民の足を顧みず、参入・撤退の自由に国が関知しないという規制緩和が行われた。結果、同種間の競争だけではなく、バス事業と鉄道事業などの顧客獲得競争が強まった。値下げ競争は労働者の賃下げに跳ね返った。外注化は、子会社への配転、早期退職勧奨という悪影響をもたらした。
 トラック事業者数は、90年の4万から6万1000社と1.5倍に膨れあがり、運転手の過労死認定件数は04年度71件と全産業で最悪だ。航空では機体整備の40%を安い外国工場に外注しているなど、多方面で進行する危険性を明らかにしました。

 ◇労働法制
 全労働の森ア書記長は、アメリカの世界的には大変レアな労働時間制度がいま導入されようとしている。それが労働時間の長さを規制しないホワイトカラー・エグゼンプションだ。
 今年6月の『日米投資イニシアティブ』では、米国側要望として導入が掲げられ、米国は、労働者派遣法の規制緩和も求めている。偽装請負の問題を、派遣法の規制の緩和で合法化する狙いだ。ヨーロッパ諸国などの多くは、労働時間の上限規制をしっかり設けており、ILO条約からも、この方向こそが真のグローバルだ」と述べました。

 ◆U グローバル化と国土・環境

 国土・環境問題で、全建労古澤副委員長は、建設で談合体質が崩壊した結果、ダンピングが横行し、下請け単価を切り下げている。
 公共投資も地方と都市の格差が広がろうとしている。その中で整備される東海環状道路などは、トヨタの工場を結ぶ道路に過ぎず露骨な大企業偏重だ。防災体制では、災害を減らすのではなく、災害被害を減らす対策に変わっている。亡くなる人が100人だったら50人に『減少』しようというもの。一方で、防災や予報行政は切り捨てられている。
 公共事業、建設に働く労働者はグローバル化の影響を最も受け、低い賃金や労働条件を強いられていることも一体で訴え、運動を進めたいと実態と決意を語りました。

 ◆V グローバル化と社会基盤

 ◇医療
 全医労の府中書記次長は、医療費が世界一高いのはアメリカ、日本は極めて低い。それでも世界保険機構の調査では健康達成度の総合評価は世界1位。また日本には国民皆保険制度がある。この優れた医療をアメリカ型に近づけようとしている。
 病院経営への株式会社参入や、混合診療拡大などだ。
 アメリカの医療制度は市場原理であり、社会保障の概念はない。民間保険であるため、病院に言っても診療内容は保険会社に管理される。そういうアメリカの影響を受けて、日本の公的医療保険は基本的な医療に抑えられ、それ以上は民間医療保険の領域とされた。
 外資系の生保会社が参入し、大きな利益を上げている。また、国立病院などの公的医療機関を廃止も、病院経営への株式会社参入の障害が理由だと指摘しました。

 ◇社会保障
 全厚生飯塚書記長は、98年の年次改革要望書でアメリカは『確定拠出年金プランの導入』を掲げ、03年度には拠出限度額を引き上げを要望した。04年、これらを内容とする年金大改悪が行われた。
 確定拠出年金では、生保、損保、証券のビジネスチャンスの拡大だ。年金積立金の運用でも、アメリカは『市場運用をもっと行え』と要望し、運用を委託されている証券会社には莫大な手数料が入っている。05年度は264億円。相次ぐ年金改悪で年金不振や将来不安が高まり、個人年金保険の新規契約状況は、4年間で倍以上に。
 こうした構造的矛盾の改革が議論されなければならず、組織のあり方問題だけがクローズアップされ政争の具にされていると社会保険庁改革問題の本質を訴えました。

 ◇メディア
 日本の情報政策について、全通信大出中執は、通信分野では、施設設置等支出負担を電気通信事業者だけでなく利用者も負担する施策を国がつくっている。
 また、放送分野では、11年7月24日にアナログ放送を停波し、地上波デジタル放送へ移行させる。地方放送局ではデジタル化による巨額な設備投資によって会社の経営さえ危ぶまれる状況。視聴者となる国民は、デジタル放送対応のテレビやチューナーを購入する必要があり大きな出費となる。
 国民の意見を聞き、最善策を検討することが必要と訴えました。

 ◆格差・貧困の急拡大と政府の役割
  記念講演要旨 都留文科大学教授 後藤 道夫


 都留文科大学の後藤道夫教授は、行政研究集会で「格差・貧困の急拡大と政府の役割」と題して記念講演を行いました。

 ◇「構造改革」が格差拡大の根源
 はじめに、後藤教授は、「格差」のとらえ方として、次のことを指摘しました。
 (1)例えば高級車か大衆車かという「格差一般」が問題なのではなく、医者にもかかれないなど貧困の増大という「絶対的格差」の拡大こそが問題
 (2)「相対的格差」も拡がっているが、一部の富裕の拡大が多くの貧困の増大を条件としていることが問題であり、この二つ格差を結びつけて増大させたのが「構造改革」
 (3)したがって、政府・財界がいう「格差のない社会はない」→だから「現在の格差もやむをえない」は論理のすり替えであり、あってはならない「絶対的格差」の大量存在を隠蔽する議論

 ◇格差・貧困急増の背景にあるもの
 次に、後藤教授は、格差・貧困の急拡大の背景として、次のことを指摘しました。
 (1)貧困世帯の97年以降5年間の増加数は268万世帯(生活保護を除く)で、その中心は勤労世帯の「ワーキング・プア」層
 (2)そのあらわれ方は、貯蓄(あらゆる金融資産)ゼロ回答世帯の急増、就学援助受給者の急増、低収入による結婚の困難など
 (3)大規模な正規・非正規の置き換え、フルタイム型非正規の急増、企業規模別格差の拡大、若年労働者の労働条件急落など
 (4)住宅・教育費等の高額化、年金・医療・雇用保険の最低生活保障機能欠如、生計費無視の最低賃金制度など、セイフティネットの底抜けと脆弱化
 (5)これに拍車をかける「構造改革」によるナショナル・ミニマムの破壊

 ◇対抗軸をどこにおくか
 最後に、後藤教授は、歴史的条件とその対抗軸として次のことを指摘しつつ、「産業別個人加盟労組+地域一般労組」への移行戦略を立て、そこに「ヒトとカネ」を注ぎ込もうと、労働組合運動への期待を熱く語って話を終えました。
 (1)30年間の財界・大企業支配と、10年間の「構造改革」による「格差社会」の下で、日本型雇用の破壊と職種別労働市場の標準化という新たな社会環境と歴史的条件が形成
 (2)その結果、新たな富裕層の登場と大都市部への資本集中による国民の分裂、農業破壊と地方切り捨ての蓄積による地方経済の地盤低下などが発生
 (3)生計費原則による最低賃金の大幅改善と賃金底上げ、労働法の厳守、子育てできる社会環境整備など、職種別労働市場の標準化に対応できる労働規制と社会保障が対抗軸
 (4)このほか税制と社会保険設計の抜本的改良による所得再配分機能の向上、財政の地域的再配分機能の再構築と地方自治の復活

 ◆くらしや権利が破壊
  各界からの報告


 【自治労連中央執行委員 木村 雅英】
 公務公共サービスの供給者である自治体が範囲を小さくされ、国民の暮らしや権利が破壊されており構造改革の姿が現れている。
 私たちは、「見直そう、問い直そう、仕事と住民の安全・安心」という運動を提起し、住民のための仕事を考え直す取り組みを開始している。

 【首都圏青年ユニオン書記長 川添 誠】
 若者の労働条件が悪化している。非正規雇用が増え、有期雇用、とくに派遣、請負い労働が増加している。
 残業代未払い、社会保険・雇用保険未加入、有休を取得させない違法3点を無くし、均等待遇を本気で考える必要がある。

 【農民運動全国連合会副会長 真嶋 良孝】
 WTO協定が動き出して12年。農民は、農産物輸入の激増、水田面積の4割減反。消費者は、残留農薬の農産物、遺伝子組み換え食品、アメリカのBSE汚染牛肉の問題などがある。新自由主義的な政策に負けず、安心・安全な農作物を提供していきたい。

 【交運共闘事務局長 小林 隆】
 交通運輸の規制緩和路線は、国鉄分割・民営化を含めたそれから2年後の物流2法の大改悪から始まっている。自交総連の運動により交通政策審議会が規制緩和について「市場の失敗」であったと明確に文章にした。たたかえば必ず成果を得るということを、痛切に感じた。

 【全国保険医団体連合会事務局次長 寺尾 正之】
 医療の営利化・市場化を導入する医療制度構造改革が進められようとしている。都道府県毎の力量の違いが影響して、地域間・住民間の健康・医療格差の拡大を招くことが危惧される。医療の営利化・市場化許さない運動展開していく。

 【郵政産業労働組合中央執行委員 能渡 由記雄】
 小泉構造改革の本丸とされた郵政民営化を、一度は全国民的なたたかいによって廃案に追い込んだ。規制緩和が強められていく中で、郵便局の果たしてきた役割、安心・安全が崩壊されないように地域との対話・共同の運動を続けていく。

 【全労連「もうひとつの日本」闘争本部常駐役員山口 毅】
 安全・安心、格差社会、地方切り捨て、この3つをキーワードに運動を進めた。全国キャラバン行動を行い、自治体などに要請を行った。行動により議会などが動けば私たちがめざす安心・安全な暮らしが実現できると確信を持っている。
 
 

 

 ◆生活改善をはかろう、賃金の底上げを

 ◇統一要求案討議に参加を
 国公労連は12月8〜9日に第127回拡大中央委員会を開催し、「07春闘統一要求案」を確認しました。統一要求案は、職場討議をすすめ、1月31日に開催する第128回中央委員会で決定します。

 ◇「苦しい」生活改善できる要求を
 賃金改善にかかわっては、国民春闘共闘のベア要求を掲げた積極的な賃金引き上げのたたかいの呼びかけにこたえます。
 ベア要求については、アンケート結果を踏まえ、組合員の大多数が結集する「3分の2ライン」をとり、行(一)ベースで「11,000円、2.9%」で提案しています。
 10月段階から取り組んだ「2007年春闘要求アンケート」の結果では、7割の組合員が、「生活が苦しい」(「かなり苦しい」24.6%、「やや苦しい」45.1%)と回答しており、生活改善できるベア要求を掲げた賃金要求を提起しています。
 体系要求については、(1)初任給引き上げ(高卒155,000円、大卒185,000円)を前提に、(2)ライフサイクルに応じた生計費の確保、(3)経験・勤続(専門性向上要素)に応じた体系の維持を原則にモデル賃金案を提案しています。
 高卒及び大卒の初任給は、この間の賃下げの状況の下で、民間と公務の初任給比較では格差が拡大しています。この点を重視し官民の初任給格差を縮小を要求します。
 初任給が極端に低い水準からスタートすることから、全体の賃金水準が押さえ込まれています。青年層が自立したまともな生活ができる賃金水準を求めていきます。
 私たちの賃金要求を実現するためには、全労働者の置かれた賃金・雇用状態の現状に目を向けなければなりません。

 ◇労働者全体の賃金底上げを重視
 総務省労働力調査では、就労者の32.6%(05年)が非正規雇用労働者であり、国の職場でも「非典型」労働者は、30%以上に及んでいます。雇用の流動化政策や公務員純減やコスト削減「効率化」をすすめる手段として、公務民間を問わず低賃金のパート・派遣等への置き換えが進行しています。このことが、労働者全体の賃金水準を低位平準化させる要因ともなっており、民間準拠による公務員賃金にも直接影響し、それがまた民間賃金に影響するという悪循環を生んでいます。こうした現状を改善するためには、労働者全体に目も向け生計費原則にたった最低賃金制度確立など、賃金底上げは緊急の課題です。このことからも、初任給改善とともに、非常勤職員の賃金引き上げが従来以上に重要となっています。臨時・非常勤職員等の最低賃金要求案は、全労連の要求案に統一して、最低賃金を月額相当15万円(時給1,000円、日給7,400円)としています。

 ◇労働法制の改悪を許さない
 勤務時間等にかかわっては、時短要求を重視します。公務の職場における長時間過密労働は、連年の定員削減と業務の複雑・困難さが増していることもあり、本省庁のみならず地方出先機関すべてにおいて、超過勤務を前提とした業務態勢にならざるを得ない異常な状況が生まれています。
 一方、過労死促進法ともいうべきホワイトカラーエグゼンプションの導入をはじめとする労働法制の改悪にかかわって、政府・財界は、07年通常国会への法案提出をめざしています。 公務職場での働くルールの課題の改善要求とあわせて、労働法制の改悪を許さないとりくみに格段と力を注ぐことが必要です。
 公務員制度改革にかかわって、行政改革推進本部に設置された専門調査会で、公務の範囲・公務員の「類型化」・労働基本権を含む労使関係のあり方などが議論されています。
 国際基準に沿った労使関係制度を公務内部に確立することを求めていくことをはじめとする基本要求を議論しておくことが重要です。(統一要求案に対する意見は、国公労連への直接問い合わせも受付けます)
 
 
 
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