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1月27日、柳澤伯夫厚生労働大臣は、島根県松江市内で開催された自民党県議の集会で、出生率の低下にふれた際、「15〜50歳の女性の数は決まっている。産む機械、装置の数は決まっているから、あとは一人頭で頑張ってもらうしかない」などと発言した。
これは、女性の人格をないがしろにする人権否定の発言であると同時に、「少子化」現象の原因を女性だけの責任に転嫁しかねない問題発言である。「子どもを生み育てることに喜びを感じることができる社会」をめざす厚生労働省のトップとして、その資質を疑わせる発言であり、安倍首相に対し柳澤大臣の即時罷免を要求する。
政府は、「少子化」対策を最重要課題としているが、そのためには、安心して子どもを産み育てられる環境をつくることこそが必要である。
働く女性の約7割が出産を機に離職を余儀なくされ、子育て期にある30代男性の4人に1人は、週60時間以上就業している。また「ワーキング・プア」と呼ばれる働く貧困層も社会問題となっている。結婚したくてもできない低賃金、待機児童を解消できない保育政策、女性が働きつづけることを困難にするまでの男女格差は解消せず、パート労働者の劣悪な労働条件も放置され続けている。
こうした状況を直ちに改善することこそ、厚生労働省が取り組むべき課題であるにも関わらず、今回の大臣発言は、その責任を全くふまえていない。
今、厚生労働省は、生活保護世帯の母子加算の縮小廃止、保育所の公的責任の縮小、ただ働きを合法化する「自己管理型労働制」(ホワイトカラー・エグゼンプション)の導入など、「少子化」対策に逆行する政策を進めようとしている。今回の大臣発言は、そうした厚生労働省の施策と関係していると考えざるを得ない。
世界では「いつ何人子どもを産むか産まないかを選ぶ自由、そのための情報と手段を得ることができる基本的権利」が重要な女性の権利として確立されている。日本でも男女共同参画社会基本法を遵守し、推進する立場にありながら、「女性は産む機械・装置」などと発言することは厚生労大臣の資格に値しない。
国公労連は、柳澤大臣の罷免を重ねて要求するとともに、少子化対策の観点からも労働諸法制の改悪を中止し、憲法にもとづく施策の展開を政府に求める。
同時に、男女平等と女性の地位向上、仕事と生活の両立など、労働者が人間らしく生き働けるルールの確立に向けて、07年春闘を全力で奮闘するものである。
2007年1月31日
日本国家公務員労働組合
書記長 岡部勘市
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