政府・与党は本日未明、衆議院本会議において、野党の強い反対を押し切って、社会保険庁改革関連法案と年金時効撤廃特例法案を、数の力で強行採決した。我々は、この暴挙に強く抗議するものである。
5月8日より審議入りした社会保険庁改革関連法案は、当初、与野党による「公務員バッシング競争」の様相を呈した。しかし、野党の追及により、年金記録管理の杜撰さと、それによる国民の深刻な被害が明らかになるにつれ、「年金納付記録消失」問題に議論が一気に集中することとなった。そして年金不信の高まりは、自民党の支持率を急激に低下させ、年金問題は、政権の基盤を揺るがす後半国会最大の課題となった。
こうした中、政府・与党は、緊急対策の発表や、時効特例法案の提出を余儀なくされるまでに追いつめられた。にもかかわらず与党は、国会運営のルールを再三にわたり踏みにじり、数に物を言わせた強行採決を繰り返してきた。こうした乱暴な国会運営は、年金不信をいっそう加速させていると言わざるを得ない。
同時に、国の行政機関において杜撰な事務処理があり、行政の過失によって年金記録を紛失したにもかかわらず、その納付立証責任を国民に求める本末転倒の行政対応が行われ、国民の年金受給権が侵害されている事実にも厳しく向き合わねばならない。政府の示した対応策は、オンラインシステム中に存在する、誰の記録か特定されていない5千万件の年金記録のうち、受給世代に関する調査を1年以内に行うなどとすることなどが主要な内容である。しかし、マイクロフィルム等に残存する記録との照合は、完了時期の目途さえ示されず、「納付を立証する証拠」に代わる判断基準も明確にされていない。国民の不安を払拭するためには、年金記録を国民の納付実績に即した内容にただちに修正する努力を尽くすことが求められる。我々は、民主的な年金行政を実現するため、全力を傾注する決意である。
衆議院段階では、年金業務の大半を営利企業に外部委託することや、国民の個人情報をいかに保護するかといった根本問題はほとんど議論されていない。また、組織改編のみを理由とした職員の分限免職の不当性も掘り下げられていない。法案審議は参議院に舞台を移すが、国民の生存権保障に直結する問題であり、徹底した審議により、国民の不安を解消する対策を確立し、安心できる年金制度を実現するための道筋を打ち立てることが求められる。その上で、拙速な結論は求めず法案は廃案とし、一から議論し直すべきである。
国公労連は、失われた社会保険庁や年金制度への信頼を、徹底した行政民主化と年金記録を適正化することで回復するとともに、このとりくみを通じ、広範な国民と力を合わせ、社保庁改革関連法案を廃案に追い込むまで、全力で奮闘するものである。
以上、決議する。
2007年6月1日
日本国家公務員労働組合連合会
第129回拡大中央委員会
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