政府は8月10日、「独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針」(以下、策定基本方針)を閣議決定した。「骨太の方針2007」(6月19日閣議決定)では、この策定基本方針に基づき、各省は8月末までに整理合理化計画案をつくり、これを受けて政府が年内に整理合理化計画を決定するとしている。
整理合理化計画の内容は、すべての独立行政法人(101法人)及び事務事業について廃止もしくは民営化や民間委託の検討対象とし、存続が必要な独立行政法人の事務事業についてもすべて市場化テスト導入の検討対象とするとしている。策定基本方針は、この整理合理化計画づくりに向けての独法見直しの基準であるが、以下のように国民サービス低下を引き起こすことは明白であり、断固抗議するものである。
策定基本方針は、「独立行政法人の徹底的な縮減」を掲げ、独法の業務の極端な切り捨てを目指している。独法の事務・事業は「真に不可欠なもの以外はすべて廃止する」とし、「当該事務・事業の廃止が国民生活や社会経済の安定等の公共上、著しい悪影響を及ぼすものでなければ不可欠なものとならない」としている。結局は、多少の悪影響は仕方がないと居直り、国民サービス低下を是認しており、行政の責任放棄を公然と宣言しているに等しい。
官民競争入札(市場化テスト)等については「原則として官民競争入札等の対象」として「施設の管理・運営」「研修」等の業務を列挙し、「積極的な導入を推進」するとして「検査検定」「徴収」を特定している。しかし、ハローワーク関連業務の市場化テストモデル事業で、官が民より優れていることが明らかになっていることもあり、策定基本方針の業務の列挙は早計と言わねばならない。
策定基本方針では、「各独立行政法人の事務・事業が真に不可欠なことについて、主務大臣及び独立行政法人の説明が不十分であったり合理性を欠く場合には当該事務・事業を廃止する」と強行的な手続を採ろうとしている。
また、策定基本方針は、「自主性・自律性の確保」とする項で、企業からの共同研究資金の確保や、寄附金の積極的な募集などに言及している。これは「自主性・自律性」どころか、公的機関である独立行政法人を、営利企業に従属させるに等しいものである。
国公労連はこの間、行政改革推進本部事務局前要求行動を実施するとともに、同事務局交渉を2回もち、整理合理化計画策定の中心となる行政減量・効率化有識者会議に申し入れ書を提出してきた。
今後も、独立行政法人とその業務の存続・拡充を基本とし、整理合理化計画策定については、(1)既存の中期目標や中期計画との整合を図り、無用の混乱・非効率をもたらさないこと、(2)独法通則法に反する一律・画一的な計画としないこと、(3)効率化追求のみでなく、国民サービス向上に資する計画とすること、を目指して、国民的共同を広げながら、全力で奮闘する決意である。
2007年8月13日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
以上
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