本日、東京高等裁判所第12民事部(柳田幸三裁判長)は、全国労働委員会民主化対策会議として堤訴した第28期中央労働委員会労働者委員任命取消裁判において控訴を棄却する判決を行った。東京地裁に引き続く不当判決に厳重に抗議するものである。
この裁判では、1989年11月に連合が発足して以来、内閣総理大臣が、第28期の任命まで実に8期16年にも及んで連合推薦の候補者のみを中央労働委員会労働者委員に任命し続けてきたことの違法性が問われてきた。永年にわたる不公正・不公平な任命の実態は、中央労働委員会の労働者委員の場合だけでなく、公労使3者構成の他の委員会・審議会等における労働側委員の任命にもひろく共通するもので、政府による連合偏重の姿勢は誰の目にも明らかであった。だからこそILOはこの間、日本政府に対してこのような事態を是正するよう再三にわたって勧告を行ってきたところである。
しかし、政府は、一連のILO勧告をも無視し、任命はもっぱら内閣総理大臣の裁量に委ねられているとしつつ、2006年11月から任期が始まる第29期労働者委員についても引き続き連合独占の任命を行い、偏向任命を改める姿勢を示さずに今日にいたっている。このため、ILOは本年6月に4度目の勧告を行っているところである。
今回の判決は、このような政府の著しく偏向した姿勢に目を塞ぎ、同種事件についての従来の判決からも大きく後退した東京地裁判決をそのまま是認したうえで、労働者委員の任命は「内閣総理大臣の健全な裁量に委ねられるべきもの」として連合独占の任命を合法化したものであり、全体として政府・厚労省による偏向行政を追認・支援したものとしてとうてい容認できない。
国公労連はこの間、全国労働委員会民主化対策会議に結集し、第28期中央労働委員会労働者委員の任命へ向けて、特定独立行政法人等担当委員候補に全経済・泉部芳徳顧問を擁立し、民間企業担当委員候補の出版労連・今井一雄顧問を擁立した民間労組の仲間とともに公正な任命をめざして運動を進めてきた。両原告を先頭に4回の審理での法廷傍聴行動、東京高裁前・厚生労働省前での月2回のビラ宣伝、4600団体を集約した署名行動などに取り組んだ。
国公労連は、今回の不当な判決を乗り越え、今後も労働者委員の公正任命をはじめとする労働委員会の民主化に向けて、さらに運動を強めるものである。
2007年12月5日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
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