1、政府は12月24日、独立行政法人整理合理化計画を閣議決定した。計画は、6法人を廃止・民営化、16法人を6法人に統合、2法人の非公務員化、主な事務事業の見直しを図るとしている。しかし同計画は、国民の安心・安全と社会基盤をささえる各法人の重要性を踏まえることなく効率化のみを追求しており、廃止・民営化・民間委託等を前提とした数合わせを行い、国民サービスを切り捨てるものである。このような整理合理化計画は到底容認できない。閣議決定に対して厳しく抗議するものである。
2、整理合理化計画は、組織見直しでは、(1)国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合、(2)国土交通省の6研究所のうち運輸系の4研究所の統合、(3)国立病院機構については次期中期計画終了時までの病院配置の再編成、という内容であり、身分問題では、(1)統計センターは平成21年度に非公務員化、(2)国立病院機構については平成20年度中に非公務員化の結論を得られるように検証する、となっている。
また、制度面についても重大な改悪として、各法人理事長や府省の評価委員の任命への内閣の一元的な関与の導入・強化を盛り込んでいる。さらに現行の各府省ごとの評価を「内閣全体として一元的な評価機関による評価の仕組み」に改めるとし、平成20年のできるだけ早期に結論を得る、としている。これらの制度改悪は独立行政法人の独立性をさらに奪い、法人を政府、主管省庁に一層従属させるものといわねばならない。
3、国公労連は各単組、独法労組、ブロック・県国公とともに、整理合理化計画策定が経済財政諮問会議で浮上して以来、政府機能見直しの第一歩としての攻撃ととらえ、国公労連全体の重要課題として位置づけて、(1)国民サービス切り捨ての整理合理化計画策定反対、(2)独立行政法人及び事務事業の存続・拡充を求めて運動を展開してきた。
計画策定の節々で行政改革推進本部事務局交渉を実施し、行政減量・効率化有識者会議へ申し入れを行った。総務省行政評価局交渉では、国立病院機構、統計センターの非公務員化反対を訴えた。
独法全国統一宣伝行動を10月と12月に設定しビラ配布・宣伝を行うとともに、個人署名を約6万6700筆集約し政府に提出した。独法つくば集会を学研労協、茨城県国公と共催し、「整理合理化計画策定は、構造改革路線の負の面(格差と貧困の拡大)から眼をそらして路線の継続ねらう攻撃である」という認識を得た。
政治決着の局面となった終盤では国公労新聞見開きの独法特集を発行するとともに、独法決起集会を開催し、「行革担当大臣の圧力に屈するな」との各単組、独法労組による各省交渉の強化について意思統一した。11月末には自民党要請(中馬行革推進本部長)、12月中旬には民主党要請(松本行革調査会会長)も行った。
こうした運動もあって、国民生活センターを中心に4機関の統合という構想を阻止するなど政府がめざした計画内容を一定後退させることができた。この間の各単組、独法労組、ブロック・県国公の奮闘に敬意を表するものである。
4、整理合理化計画が閣議決定されたことから、今後は計画の具体化がなされることとなる。「内閣全体として一元的な評価機関による評価の仕組み」の検討は独立行政法人制度の根幹にかかわる重大事項であるし、民主党の「独法廃止・民営化促進法案」の国会提出も見込まれている。さらに、整理合理化計画終了後には次期中期計画への新たな攻撃も予想され、今後も厳しい情勢は続くと考えられる。
国公労連はこの間の運動の到達点を踏まえ、各独立行政法人の存在意義についての国民的理解をひろげながら、独立行政法人の自主性・自律性の確保、業務の拡充、国民サービス向上をめざして各単組、独法労組、ブロック・県国公とともに引き続き運動を強化していくものである。
2007年12月25日
日本国家公務員労働組合連合会中央執行委員会
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