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国公労新聞 2007年2月10日号 第1252号
     
 
 

 

 ◆住民の財産守るため法務行政拡充を
  職場はいま・・・ シリーズ2 秋田地方法務局


 豊かで美しい自然に囲まれた秋田県。一方、全国一の人口減少県でもあり、高齢化も深刻です。住民に密接な窓口業務である登記、戸籍・国籍、供託、行政訴訟、人権擁護などの行政事務を担う秋田地方法務局で働く全法務秋田支部を取材しました。(教宣部 中田智子)

 ◇15年間で半減した登記所
 「山間部が多く、交通機関も少ない秋田。登記や印鑑証明をとるのにクルマで40分、混雑する窓口、帰ると昼過ぎ、雪が降り路面凍結する冬は高齢者が苦労しています」と、全法務秋田支部長のAさんは、住民の切実な実態を訴えます。  低迷する秋田経済、土地や建物についてのトラブルや相続問題など登記に関する相談事件が増える一方、定員削減攻撃のなかで出張所が次々統廃合。92年には秋田県内に18カ所あった登記所は、現在9カ所と半減しています(別表参照)。

表 登記所数の変遷

 ◇新会社法と新規施策で業務量増
 「構造改革」で社会経済情勢は激変し、新「会社法」施行など制度改変が続いています。オンライン化で不動産登記処理の大幅な変更など業務内容は複雑・困難化。さらに、06年から新たに施行された「筆界特定制度」(土地の筆界を現地に特定する制度で、現況調査や測量、関係者からの聴取などを実施)は、予想をはるかに上回る申請件数で、対応が追いついていません。

 ◇地元住民の声は運動の財産
 「インターネットではなく、直接相談したい」「登記所は私たちの財産を守る身近な役所。国民の期待に応えてほしい」「チラシを見て賛同した。私も力になりたい」そんな住民からの声は、12年間継続した支部独自の街頭宣伝行動で積み重ねた貴重な財産です。
 Aさんは、地域に出ることで「行政サービス充実と職員増員は一体」と住民に励まされ、「一人ひとりが参加する」職場運動の活性化につながっているといいます。

 ◇署名が推進力に県議会で採択
 「厳しいからこそ、地域へ」を合言葉に、秋田支部はすべての分会にオルグを配置し、職場討議で増員個人署名目標一人60筆を決めました。団体署名、自治体・地方議会要請など、精力的な運動から、06年12月、秋田県議会では「法務局の増員に関する意見書」が採択され、秋田魁新聞で紹介されました。
 支部書記長のBさんは「12年連続の秋田市議会採択に加えて、秋田県の全会派一致採択は大きな力になりました。『国は地域の実態を直視してほしい』との議員の声は運動の確信です」と全国一律の行政サービスの重要性を訴えます。

 ◇組織強化と教宣は「車の両輪」
 組織率100%の秋田支部では、機関紙「ぶりこ」を週刊で発行。支部増員対策部長・教宣部長のCさんは「組織強化と教育宣伝活動は車の両輪」と強調します。
 勤通大・憲法コース受講中のCさんは、組合員の素朴な疑問に応える情勢学習や、署名到達表を分会別に掲載。「みんなで決めた目標の到達を確認することは、連帯と組織強化へつながります」と熱く語ります。

 ◇地域春闘で反撃を
 副支部長で秋田県国公議長のDさんは、「07春闘の地域総行動では、地方議会意見書採択運動や、社保庁解体の狙いを訴える宣伝などを実施したい」と抱負を語りました。

 ◆「応援する」と快く署名!1日で712筆も
 全法務秋田支部は昨年11月11日、秋田駅前で「一日総行動」を展開し、すべての分会から38名が参加。可愛いぬいぐるみも登場し、ビラ・風船・テッシュを配布。職場実態の訴えに市民が立ち止まり、「あなた方を応援する。政府はやりすぎだ」と快く署名。「みんなの法務相談室」の開設も実施し、一日で712名分の法務局の増員署名を獲得。FMラジオやテレビ、新聞、秋田市報、13万部の地元チラシに掲載され、事前PRの効果が発揮されました。

 ◆4月から仙台法務局で試行

 ◇「市場化テスト」で広がる不安
 政府は06年6月、登記事項証明書の交付等の証明事務について、「市場化テスト」実施を決定しました。
 東北では仙台法務局で07年4月から、乙号事務(登記事項証明等の交付及び閲覧等の証明事務)の包括的民間委託がされ、競争入札による試行が行われます。
 全法務東北地本書記長は「職場では不安の声が広がっています。環境整備、委託業者の研修など短時間で準備を進めなければなりません。試行の問題点について、支部と連携して当局と十分協議します」と運動強化を呼びかけました。

 ◆地域で語れば共感が広がる
  秋田県労働組合総連合議長に聞く

 自らの職場実態を「いきいき」と語ること――これが、自治体要請の成功のポイントかもしれません。
 秋田県労連は昨年、全県キャラバンで国民生活の「安心・安全」確立を求める自治体要請をしました。議長から「要請文が難しい」「訴えたい内容をわかりやすく」など要望も出ていました。
 自分の住む地域住民の問題と要求はなにか?県内の情報をつかむことは、公務労働者攻撃に反撃する土台をつくることです。
 社保庁問題などで感じることは、国公の仲間は勇気を出して、もっと広範に「対話」してほしい!具体的に職場実態を地域で語ることで、真の理解と共感が広がり、運動が前進するのではないでしょうか。
 
 

 

 ◆政治主導の公務員制度改革
  拙速な法案づくり作業 参院選挙向けに公務員バッシング
  「能力・実績主義の人事管理」「分限処分」強化など検討


 「公務員制度改革」をめぐる議論が、にわかに動き出しています。政府は、開会中の通常国会に法案を提出する考え方を示しています。
 与党が公務員制度改革を急ぐのは、公務員バッシングをあおり、「改革」を実行することで、参議院選挙を有利に闘おうとしているからです。

 ◇具体的検討項目
 現在、行革推進事務局で議論がすすめられている公務員制度改革の具体的な検討項目は、(1)再就職管理の適正化、(2)能力・実績主義に基づく人事管理、(3)公務員の労働基本権、(4)公務員の身分保障、(5)官民交流の更なる推進、の5点があげられています。

 ◇労働基本権問題
 行政改革推進本部のもとに設置された専門調査会で議論が行われていることから、結論は先送りされています。
 政府は、4月中に「中間とりまとめ」を要請していますが、労働基本権回復の方向性さえ明らかでない中で、その他の重要課題をとりまとめ、法改正まで行おうとしているところに、そもそも問題があります。

 ◇再就職管理
 現行の2年間の関連企業への再就職禁止を廃止して、在職中の求職活動や、再就職後の出身省庁への働きかけと言った「行為規制」を設けるとしています。
 これでは、官民癒着など「天下り」の弊害を根絶できるか疑問です。

 ◇能力・成績主義
 能力や業績を評価して、任用・給与・分限・人材育成などに活用するとしています。これは、04年に頓挫した「能力等級制」の事実上の復活であり、短期の評価結果を直接賃金に反映させようとする点に最大の問題があります。
 また、評価制度は現在本省庁で試行中の段階にあり、その検証もない中で法改正まで実施するというのはあまりに性急です。

 ◇身分保障
 公務員の分限処分の発動拡大をねらっています。人事院は昨年、運用指針を示し、メンタル疾患で休職中の職員に対し、分限処分を行う方向を明らかにしました。今回は、その対象をさらに拡大しようとしていますが、業務が原因のメンタル疾患に苦しむ職員は数多く、しかも公務災害はほとんど適用されていません。
 被害者の救済には背を向けて、分限処分を議論することはとうてい認められません。

 ◇官民交流の推進
 各省庁が所管する企業との交流拡大が検討されています。ここでは行政の公正性や中立性が確保されるのか、国民の安心・安全が損なわれないかなどが懸念されます。

 ◇民主的な制度を
 国公労連は、全労連の「公務員制度改革」闘争本部に結集し、問題の本質を明らかにするとともに民主的な公務員制度の確立を求め、運動を強めます。
 当面、ILO勧告に沿って、働くルールの確立、政官財癒着の根絶、公正・中立な公務サービスを求める政府あて団体署名を取り組みます。
 
 

 

 ◆職員の首切りは許さない
  社会保険庁解体・民営化 公的年金制度をズタズタに


 社会保険庁「改革」をめぐり、与党年金制度改革協議会は昨年12月14日、「社会保険庁改革の推進について」をとりまとめました。また安倍首相は、施政方針演説で「社会保険庁については、規律の回復と事業の効率化を図るため、非公務員型の新法人の設置など、『廃止・解体6分割』を断行します」(1月26日)と表明しており、今後の取り組みが重要となっています。

 ◇業務を6分割
 社会保険庁において現在行っている業務を下のイメージ図にあるとおり、6分割し、特に今回の解体の最大の目的でもある公的年金制度の担い手は、社会保険事務局・事務所に代わる民間型の新法人を設置し、さらにその業務を民間委託することにより、徹底的なリストラを実施しようとしています。

社会保険庁6分割解体図
与党年金制度改革協議会の案
 社会保険庁がになう公的年金部分の業務は、@非公務員型の年金公法人A民間企業B国税庁C厚生労働省の4分割に。政管健保の業務は、D公法人「全国健康保険協会」E厚生労働省の「地方厚生局」の2つに分割。

 ◇一端退職させ選別採用に
 また、職員は、一旦社会保険庁を退職し、新たに設置される第三者機関によって選別採用するとしています。まさに「分割・民営化」の法案が、今国会に提出されようとしています。
 現在、社会保険庁では非常勤も含め29,000人の職員が働いています。職員の雇用問題は重大です。自民党は、組織の改編に伴う分限免職を発動する考え方を繰り返し示してきました。与党は、国の業務の民間開放や総人件費削減を重要課題としており、社会保険庁「改革」において分限免職を許すなら、国家公務員全体に「共通ツール」として使用されかねません。

 ◇組織改編ありきの政策
 現在の年金制度は、保険料の引き上げと年金額の引き下げが繰り返され、国民からの制度不信から未加入者の増加など、「空洞化」が生じています。社会保険庁「改革」は、年金制度の問題は放置し、組織の問題にするかえようとするものです。

 ◇各地で取り組みを強化
 国公労連では、社会保険庁改革対策委員会を設置するとともに、全厚生と共同で、パンフレットとビラを作成しました。これらを用いて、社会保険庁改革の問題を理解し、各地域にある社会保険事務局・事務所前の宣伝や、外部団体への要請を積極的に展開していきます。
 社会保険庁で働く仲間の不当な首切りを許さないたたかいを全国で強化することが重要です。
 
 

 

 ◆第128回中央委 07年国公労連統一要求を決定
  地域に出て「格差と貧困」なくそう


 国公労連は1月31日、第128回中央委員会を東京都内で開催しました。07春闘方針の補強と、平均11,000円(2.9%)引き上げなどの2007年国公労連統一要求を、満場一致で採択しました。

 ◇正念場の春闘世論に訴えて
 冒頭、福田昭生委員長はあいさつで、「まさに正念場の春闘だ。労働ビックバンに対する国民の怒りによる法案提出断念や、ワーキングプアー報道への反響など、いま光が見えてきた。国鉄分割民営化と同じ手法で選別採用する社会保険庁解体を許さず、国民世論に訴えよう。いまこそ、『格差と貧困』をなくすために外に打って出るたたかいを」と強調しました。

 ◇総学習と総行動で地域に足をだそう
 つづいて、岡部勘市書記長が、統一要求、07春闘をめぐる情勢と行動を補強。(1)改憲のための国民投票法案阻止、(2)民主的公務員制度確立めざすとりくみ、(3)社会保険庁解体法案に反対、(4)地方議会に向けた意見書採択運動、(5)3・6中央行動の成功、最賃闘争など非正規労働者の均等待遇、(6)年金一元化問題、大増税反対、(7)「労働相談集中月間」、組織拡大強化、(8)労働学校・国公青年交流集会成功など、とりくみ補強を提案。  「総学習と総行動をすすめ、国民世論を背景に、地域へ足をだそう」とたたかい強化を訴えました。

 ◇外に打って出れば「響いてくる」
 討論では、「今年は外に打って出れば『響く』春闘。夕張スタートのキャラバンを成功させたい。意見書採択運動では、単組の指導性発揮を」(北海道)、「社保庁解体反対運動で奮闘」(全厚生)、「民間労組を支援するため団体交渉参加や、偽装請負問題での労組結成など、官民共同の組織拡大と地域春闘成功めざす」(全建労)、「非常勤職員の雇い止めを許さず、制度拡充を」(全医労・全労働)、「労働相談月間を、国公労連と単組一体で」(国公一般)、「定員削減と勤務時間問題で職場は深刻。要員確保と時短の運動を」(全建労、全労働、全国税、全運輸)など、積極的な意見が出されました。
 
 

 

 ◆労働法制改悪阻止!反転攻勢の春闘に
  全労連 第40回評議員会ひらく


 全労連は1月25日から2日間、第40回評議委員会を開催し、07春闘方針を決定しました。
 坂内三夫議長はあいさつで、「全労連が、自らのたたかいで情勢を切り開いてきたことに確信を持ち、反転攻勢の春闘を」と呼びかけました。
 方針では、(1)労働法制改悪反対、働くルールの確立、(2)急増するパートや派遣など非正規労働者の待遇改善による貧困・格差の解消、(3)国民投票法案反対、憲法改悪阻止、を提起しました。
 また、労働法制改悪に反対する100万人署名運動や、国民投票法案阻止のための宣伝行動・大集会、「偽装請負とただ働きを根絶し雇用と地域を守る集会」の成功などが強調されました。

 ◇年金者組合が「社保庁解体は年金制度破壊」
 討論では、「偽装請負の告発」などが「直接雇用への道」を開いた報告、「教育基本法改悪反対のたたかいが憲法闘争のすそ野をひろげた」(全教)、ワーキングプアーを考えるシンポを幅広い労組で開催(熊本労連)など国民的な共同の報告、「労働法制改悪反対」の運動への決意などが語られました。
 国公労連の岡部勘市書記長からは「国民生活の安心・安全の破壊を許さず、公共サービスを守る共同の運動を広げる」と発言。年金者組合は、最低保障年金制度にふれつつ、「社会保険庁解体は、公的年金制度を破壊する第一歩」と指摘し、地域から世論を起こそうと述べました。
 最後に、誰でも月額1万円、時給100円以上の賃上げ要求、最賃と社会保障、貧困・格差是正、労働法制改悪法案反対、国民投票法案阻止の運動をすすめる方針を、満場一致で採択しました。
 
 

 

 ◆全県キャラバンで地域と共同を
  公務労組連 第31回臨時総会ひらく


 公務労組連絡会は1月17日、第31回臨時総会を開催。07年春闘方針と統一要求を決定しました。
 地域住民との共同の推進を掲げた「公務・公共サービスの拡充をめざす全県キャラバン総行動」を2月にとりくみ、宣伝や署名、地方自治体への要請や懇談、アンケート、学習会など多彩に展開することを意思統一しました。
 討論では、地方自治体で働く臨時職員が劣悪な賃金で働いている実態や、公務の委託業者労働者の雇用と労働条件の大幅切り下げが危ぶまれている実態が報告されました。国公労連は、「総学習・総行動」の原点を大切に、官民共同を広げて07年春闘勝利にむけて奮闘する決意を表明しました。
 
 

 

 ◆北から南から
  北海道 労働法制で共同集会ひらく


 【北海道国公発】北海道国公は2月2日、札幌市内で「人間らしく働くための労働法制を求める2・2総決起集会」を開催。北海道国公の呼びかけで、日本労働弁護団北海道、道過労死問題研究会、全労働北海道支部、札幌地域労組など実行委員で構成。ナショナルセンターを超え250人が参加し、マスコミも取材しました。
 集会は、道労連青年協の最賃体験運動のビデオ上映からスタート。特別報告では、札幌学院大学の家田愛子教授が、「同一価値労働・同一賃金の原則」などヨーロッパの労働法を紹介。「労働力を商品としてダンピングさせないためには雇用形態や思想・信条を超えた広範な労働者の連帯と闘いが必要」と強調。
 また、労働政策審議会で労働者側委員の田島恵一氏が審議会での議論報告。「柳沢厚労相はあくまで提案する腹構えだ。本格的なたたかいを」と訴えました。
 会場からは「ホワイトカラー・エグゼンプションが導入されると過労死が増大」「労働契約法は使用者の一方的労働条件変更や首切りを合法化する」などの発言も。最後に、共同と運動の一層の拡大を呼びかける集会アピールを採択しました。
 
 
 
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