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国公労新聞 2007年12月25日号 第1272号
     
 
 

 

◆なくせ貧困、ストップ改憲!
 つくろう 平和で公正な社会
 【国公労連08春闘討論集会・職場討議資料】


 原油の高騰がガソリンや灯油など燃料価格に影響し、物価高がくらしを直撃しています。商工業者や農林漁業者への影響も深刻であり、生活防衛のたたかいが重要になっています。参議院選挙での民意に押されて福田内閣は、障害者の負担増や母子家庭の児童扶養手当削減などの見直しを表明していますが、「構造改革」路線は変えていません。08春闘は、労働者・国民の要求を政治に反映させるたたかいでもあります。貧困と格差の是正を掲げ、総選挙での政治変革と一体で春闘をたたかうならば、「流れ」を変えられる情勢を迎えています。

◇国民の貧困化と生活悪化が深刻に

 08春闘情勢の第一の特徴は、物価値上がりもあって労働者・国民の貧困化と生活悪化が深刻になっている点です。
 非正規で働く労働者は毎年増大しており(図1)、青年や女性では2人に1人が非正規という不安定な雇用と劣悪な労働条件に置かれています。
 一方で、正規労働者には能力・成果主義賃金とも相まって際限のない長時間・過密労働が広がっています。国民生活分野でも、生活保護世帯は100万世帯を超え、就学援助利用者も増加しています。また、「出産難民」が大きな社会問題となっていますが、地域医療の崩壊も深刻です。安心して働き、生活するためにも雇用と労働条件の底上げが求められます。

図1 非正規雇用労働者数の推移
  資料:総務省統計局「労働力調査特別調査」「労働力調査詳細結果」

◇労働者犠牲にして大企業は大もうけ

 第二の特徴は、労働者・国民を犠牲にして、大企業が空前の利益をあげていることです(図2)。
 競争力強化を口実に、派遣や請負など非正規雇用を拡大し、下請け単価も切り下げてコスト削減を進めています。企業業績が回復しても、その成果は株主配当や役員配当に回し、労働分配率は低下しています。
 日本経団連など財界は、「労働ビッグバン」と称して派遣労働の自由化や労働時間管理の撤廃、解雇自由化などを狙っていますがとんでもありません。大企業の社会的責任を問い、その内部留保を賃金や労働条件改善など、社会的に還元させるたたかいが求められます。

図2.空前の利益を上げる大企業 配当も増加、従業員給与は低迷

◇消費税増税と公務リストラ一体で

 第三の特徴は、政府・財界が、経済財政諮問会議などの機関を最大限に活用して、消費税増税による歳入改革と公務・公共サービスの大リストラによる歳出削減を進めていることです。
 道州制の導入とともに、政府の役割を外交や防衛などに限定することや、地方出先機関の「10万人縮減試算」などを提起しており、国の行政の役割をあらためて明らかにすることが求められています。
 財界は、法人実効税率のさらなる減税とともに、社会保障財源として消費税増税を求めています。日本経団連はこれらの実現を求めて政党「通信簿」による企業献金を会員である大企業に促しています。

◇広範な国民、団体と共同を広げよう

 第四の特徴は、解散・総選挙と一体のものとして08春闘がたたかわれることです。
 私たちは、世論と運動が現実の政治を動かす新たな情勢を経験しています。貧困と格差の是正を求める国民との共同を大きく広げるならば、くらしと地域を破壊する「構造改革」と公務・公共サービスの切り捨てを許さない世論を構築することが可能となります。
 そのためにも08春闘では、原材料の高騰や米価下落などに苦しむ商工業者、農民、生存権裁判をたたかう市民や年金生活者など広範な国民、諸団体との共同を発展させましょう。そして、くらし・地方切り捨ての政治を変えるうねりを起こしましょう。

 
 

 

 ◆改憲反対500万署名に全力

◇改憲勢力の巻き返し許さず

 参院選の大敗北で、過去の侵略戦争を正当化し美化する潮流は、大きな後退を余儀なくされました。憲法9条を変える動きにブレーキがかかりました。また「ねじれ国会」のもとで、テロ特措法は延長できず、国民世論の力で海上自衛隊をインド洋から撤退させることができました。
 しかし、改憲派はあきらめたわけではありません。巻き返しを許さないために、「9条を守れ」の国民的多数派をつくりあげ、各県の憲法改悪反対共同センターや県労連に結集し、職場・地域での憲法擁護の運動を大きく展開することがもとめられています。

◇改憲反対の世論づくりの正念場

 全労連が提起している「改憲反対500万署名」を08年通常国会に向けて取り組みます。この運動を県国公と単組が一体となって推進し、職場・地域での改憲反対の世論づくりを大いにすすめ、5月末までに30万筆の集約をめざします。
 署名行動と連動して、地域での宣伝行動を強化します。「9の日」宣伝を定着化させるとともに、共同センター等の提起する学習活動や各種行動に積極的に参加していきます。
 「職場九条の会」の結成をすすめるとともに、「勤通大憲法コース」の受講や職場学習会の開催など、草の根からの学習活動を広げます。
 5月に実施が予定されている全労連の「憲法キャラバン」、5・3憲法集会、「9条世界会議」(5月4〜6日、幕張メッセ)の成功にむけて取り組みます。
 また、唯一の被爆国の労働者として、3・1ビキニデー、国民平和大行進、原水爆禁止世界大会など、反核・平和活動に積極的に参加していきます。特に青年組合員の参加をすすめていきます。

 
 

 

 ◆独法廃止・民営化許さず、年金機構法凍結を
  ストップ!国民生活破壊の「構造改革」
  地域から世論に訴える


◇国民生活破壊の「構造改革」路線の転換を

 08春闘では、「構造改革」路線を転換させる国民的な運動を、地域から拡げることが求められています。
 全労連の「なくせ貧困、ストップ改憲!つくろう平和で公正な社会」のスローガンにも象徴されているように、「構造改革」の強行によって破壊された労働者の雇用や権利、国民のくらしや社会保障、地域社会の再生に向けた社会的な運動として国民春闘構築をめざすとりくみに結集することがもとめられています。
 とりわけ、最低生活保障の切り下げを許さず、生活できる賃金を保障させる最低賃金の引き上げに向けた運動を昨年以上に拡げるため、時給1000円以上をめざして全国で展開される地域総行動に参加することが重要です。

◇民間開放許さぬ宣伝強化を

 民間開放・地方分権の進行は、国の責任を放棄し、自己責任の名の下で国民の負担を増大させるものであり、その狙いを明らかにし、公務職場が果たしている役割について大いに宣伝することが必要です。
 ハローワークの市場化テストを例にとれば、官が優位である結果がでていることをはじめ、「ジョブカフェ事業」などで無駄な支出がなされていることなどを大いに宣伝する必要があります。
 公務労組連絡会と共同して08春闘大量宣伝ビラを作成します。2月第3水曜の定例宣伝行動日を起点に地域総行動(2月27日〜29日)などで宣伝を行い、公務の民間開放や地方分権の問題点をあぶり出し、世論を転換させましょう。

◇安心・安全担う独法の役割を積極的に宣伝

 独立行政法人の廃止・民営化を許さず、国民生活に欠かすことのできない事業を担当している独立行政法人の役割を積極的に世論に働きかけなければなりません。3月10日の週に全国統一宣伝行動をとりくみます。

◇社保庁解体せず 行政体制の確立を

 政府は、年金記録問題など解決すべき課題は数多くあるにもかかわらず、社会保険庁を解体しようとしています。
 社保庁では、退職する職員が後を絶たず、補充もされないままで業務をこなしています。このままでは、職場が崩壊しかねません。年金制度は、国民にとって重大な関心事であり、年金記録が完全に整備されるまで、日本年金基本法の凍結を求め、社保事務局前や街頭宣伝を実施します。社会保険庁の解体をストップさせ、社会保険庁で働く仲間を激励するとりくみを大いに行おうではありませんか。
 地域では、公務員労働者の持つ専門性の発揮が期待されています。期待に応え、職場の外の仲間と交流と共同を前進させましょう。

国の借金と国家公務員の数

職員数の国際比較

日本経団連の国、道州、基礎自治体の役割分担イメージ
  資料:日本経団連「道州制の導入に向けた第1次提言」(2007年3月)

 
 

 

 ◆労働基本権回復めざし、「働くルール」確立を
  賃金底上げ、時短の実現を


 08春闘は、公務・民間の労働者が積極的な要求をかかげてたたかうことが、これまで以上に求められています。とりわけ、賃上げを阻んでいる大企業の社会的責任の追及を前面にして、幅広い国民共同のたたかいが重要となっています。

◇大企業の責任追及 賃金の底上げを

 日本経団連は、12月中旬に示す08春闘での経営側の交渉指針となる「経営労働政策委員会報告」で、労働者・国民を犠牲にして、戦後最長の景気回復や企業利益があがっているなかで、「内需主導の経済構造の実現」として「賃上げへの姿勢を打ち出す」との報道がされています。しかし、米国景気の減速、原油高、国内の住宅投資急減など先行きの不安材料などから、「横並び賃上げ」は頭から否定しています。
 ワーキングプアを生み出す低賃金に加え、増税、物価上昇が追い打ちをかけるなか、08春闘を国民的なたたかいの場として発展させ、すべての労働者・国民のくらしといのちを守るたたかいを前進させる必要があります。

◇官民一体の春闘で 地域からうねりを

 賃金改善のたたかいでは、とりわけ、非正規労働者の賃金底上げに重点を置きながら、「官民一体・国民共同」のたたかいを追求し、地域から労働運動の風が吹く春闘を創り出すことを重視します。
 このため、1月8日の新春統一宣伝行動を皮切りに、「08春闘総決起、ストップ貧困中央行動」(2月13日)への参加、「地域総行動」(2月27〜29日)など、国民春闘への結集を強めます。
 公務員賃金の9年ぶりの「プラス人勧」、最低賃金の大幅改善という賃上げの流れをより確かなものにするために、積極的な要求をかかげてたたかいます。
 一方で、07人勧の取扱い閣議決定にみられる、官民比較の在り方の検討や民間給与の一層の反映が引き続き狙われています。これら総人件費削減と一体ですすめられる給与制度「改革」など公務員賃金への攻撃に対して、機敏に反撃します。

◇差別のない公平な評価制度の実現を

 働くルール確立のとりくみでは、人事院の「07年勧告時報告」を足がかりに、非常勤職員の待遇改善・均等待遇実現、長時間過密労働の是正、超過勤務の大幅な縮減や賃金不払い残業の根絶、一日7時間45分への所定勤務時間の短縮の実現をめざし、とりくみを強めます。さらに、病気休暇・休職者の増加など深刻化する職場のメンタルヘルス対策を重視し、その具体化を各省当局に迫ります。
 また、新たな人事評価制度では、評価結果を賃金に直結させる活用を許さず、差別のない公平な処遇、職員参加、育成重視型の公務にふさわしい制度の確立をめざし、とりくみを強めます。
 このため、いま職場で行われている試行に対しては、徹底して評価制度の問題点を洗い出し、試行の実例に基づく職場討議が必要です。さらに、評価方法・評価基準の設定や正式運用を一方的に当局に実施させず、労働組合との合意と納得を図らせることが重要です。

◇労働基本権回復50万署名達成を

 労働基本権回復・民主的公務員制度実現のたたかいでは、「公務・公共サービス充実、公務職場の『働くルール』確立を求める請願署名」(全労連規模)を運動の柱にすえ、署名推進体制を確立し、08年4月末までの目標達成(50万筆)に奮闘します。
 また、「公務員制度改革基本法」(仮称)に労働基本権の回復をはじめ、公務員の政治的自由の実現などを盛り込ませることを求め、政府追及を強めます。
 さらに、大詰めを迎える「国公法弾圧」事件裁判の宣伝・傍聴行動や、全医労の「賃金職員雇い止め・不利益是正裁判」勝利をめざし、支援のとりくみを強めます。

霞ヶ関・中央省庁の非常勤国家公務員の労働条件

勤労者収入・支出の減少傾向続く

国家公務員(非現業)の労働基本権一覧

 
 

 

 ◆非常勤職員などすべての労働者視野に組織の強化・拡大を
 4月〜6月 組織拡大月間


◇要求実現のために組織の強化拡大を

 公務員バッシングが強まる一方、労働基本権の回復が現実の課題となっています。こうしたなか、切実な要求実現の展望を切り開くため、組織拡大と強化、中央・地方の国公産別組織の整備・強化を、大いにすすめていく必要があります。
 春闘の出発点である春闘討論集会を、多くの仲間の参加で、率直かつ具体的な議論を行います。最も身近な国公産別組織である県国公と地域国公組織の体制と機能の強化を行います。

◇非常勤含むすべての未加入者を対象に

 4〜6月を国公産別の「組織拡大強化月間」に設定し、具体的目標を設定して取り組みを展開します。
 新規採用者、未加入者、異動者、非常勤職員に組合加入を呼びかけ、総対話活動をします。
すべての運動を組織拡大に結実させ、職場の多数派形成と組織の増勢を勝ち取るようにします。あわせて国公共済会の加入拡大を追求します。
 国公労連組織強化拡大計画である「チャレンジ30」Uステージにもとづき、すべての組織で、その具体化をすすめます。
 非常勤職員の組織化に全力で取り組み、「非典型」労働者集会を全ブロックで開催します。非常勤の「雇止め」問題も念頭に、2月20日〜3月19日までの間を「労働相談集中月間」に位置づけ、全国的な宣伝行動、相談活動を展開します。
 連動して、各ブロック国公事務所所在地で、国公労連・単組・県国公が一体となった非典型労働者への「総がかり作戦」行動を具体化します。

◇新たな公務運動めざし組合員学習を強化

 「21世紀に生きる公務労働運動の挑戦」(国公労連全国討論集会の問題提起)をふまえ、学習・教育活動を強化します。勤通大「新・労働組合」コース受講を積極的にとりくみます。5〜6月にかけて実施する国公労連労働学校(8ブロック)と国公労連第3回青年セミナー(6月下旬)を成功させます。

◇2008国民春闘の主な行動展開

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