◆国公労連2007年全国討論集会
3つの課題で議論深めよう
国公労連2007年全国討論集会では、「21世紀を生きる公務労働運動」の要求、運動、組織のあり方について、以下の3点を中心に議論を深めることにしています。
【1】新時代の行政民主化闘争
今なぜ、「新時代の行政民主化闘争」か
(1)国公産別での行政民主化闘争は、国公労連の行政研究集会や提言活動、民間労組等とも共同した単組でのとりくみ、行政相談などで地域に打って出た県国公の経験などの前進面を築いてきた。
しかし、「国民とともに」の立場からは、増員や行政体制確立などにとどまっている面も否定できないのではないか。
(2)官と民を分断する公務員バッシングを跳ね返すためにも、仕事を通じて国民の信頼を勝ち取り、行政民主化をはじめとする労働組合運動を通じて共感を広げるとりくみが求められている。
「新時代の行政民主化闘争」は、憲法の理念と民主的原則に基づいて行政と職場を総点検し、「構造改革」や憲法改悪に反対する国民との共同を強化することにある。
民主・公正・効率的行財政・司法の確立を
1、職場の総点検運動にとりくみ、国民のための行財政・司法をめざす
(1)憲法の理念と民主的原則、国民的視点から行政の役割を問い直す。行政のムダを告発・排除し、行政に求められる役割と業務、組織のあり方などの提言をめざす。
(2)「税制改革の提言」をもとにした歳入改革のあり方を問う。各省庁の政策・予算分析を行う。
(3)裁判員制度の充実をはじめ、人権を擁護する民主的な司法制度と国民のための裁判所を実現するため、共同のとりくみを強める。
(4)憲法改悪などの狙いに対抗して、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義などの憲法原則に基づく行政のあり方を探求する。
2、構造改革に反対する国民共同の新時代の行政民主化闘争をめざす
(1)国民対話を重視し、開かれた行政民主化闘争をめざす。基本的人権を擁護する行政の本来的役割を検証・検討する。
(2)定削や民間開放による行政の問題点とともに、非常勤、派遣、請負などの労働条件の実態等の問題点を職場から明らかにしていく。
(3)国民的対話を土台に、構造改革と行政実態を告発するシンポジウムなどにとりくみ、国民的な共同戦線の構築をめざす。
3、行政と独立行政法人の民営化、地方分権や道州制の問題点を国民的に告発する
(1)市場化テストの実態を検証し、民間事業者の非効率性や不安定雇用の増大などを告発するとりくみをすすめる。
(2)公契約のあり方を自治体労働者や県労連などとともに検討し、地方自治体や行政機関に働きかけるとりくみをめざす。
(3)地方支分部局の業務を地方移譲した場合の問題点を検証し、国民への影響について具体的に明らかにする。
(4)県労連などとの共同で地方分権・道州制問題の研究・検討を進め、国の責任と行政の役割を問うシンポジウム等の開催を追求する。
(5)独立行政法人の談合や天下りなどを告発し、国の責任で存続・拡充する世論構築をめざす。運営費交付金削減の弊害などを具体的に告発し、改善・拡充の方向を提言する。
4、公務員労働者の権利を確立する民主的な公務員制度をめざす
(1)財界による行政乗っ取り、「物言わぬ公務員」づくりを告発するとりくみを強める。
(2)公務員の市民的・政治的自由や内部告発権の保障など公務員制度の民主的改革をめざす国民的運動を追求する。
(3)労働基本権回復をめざすとともに、行政への職員参加と労使協議制の確立を追求して、不正や無駄をチェックする。
(4)今日的にみて「ヤミ・カラ」と受けとめられかねない労働慣行などは、自ら是正するとりくみを強化する。
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【2】底上げ重視の労働条件改善闘争
1、国民共同・社会的連帯の構築に向けた賃金・所得闘争
国公労連は、次の観点を重視した賃金・所得闘争にとりくむ。
(1)全労働者的な賃金闘争に結集する。最賃、均等待遇、公契約運動などを重視し、国民共同・社会的連帯の構築をめざす。
(2)税制・社会保障制度の改革を求め、賃金だけではなく、医療・住宅・教育面での公的保障を拡充し、間接賃金を含むトータルな賃金・所得闘争を追求する。国民的な政策課題を前面にすえた春闘の構築に全力をあげる。
2、「生計費原則」重視した賃金闘争の基本目標の堅持
(1)07年春闘における最低賃金闘争の前進・到達点は、労働者の最低賃金水準の問題=「生計費原則」の重要性を浮上させた。
(2)今後の公務員賃金闘争においても、国公労連1999年全国活動者会議で明確化した賃金闘争の基本目標(a初任給の底上げ、bライフサイクルに応じた生計費の確保、c公務労働の特性に即した熟練と専門性の正当な評価)を堅持する。
(3)当面する賃金闘争では、「最賃闘争」と「人勧闘争」を有機的に結合し、「非正規」の待遇改善・均等待遇をたたかいの柱にすえ、賃金・労働条件の底上げをめざす。
(4)産別統一賃金要求は、a春闘期は「水準要求」を確立し公務民間一体でたたかう、b人勧期は「水準要求」の再組織は行わず、春闘の到達点をふまえ、「配分要求」を重視し、人事院追及を強める。
(5)評価結果を直接賃金に反映することに反対し、そうした評価の活用を許さないことを基本にたたかいをすすめる。
(6)国公労連の独法各労組は、産別最低基準を設定して労働協約締結と独法全体の労働条件の底上げを図る。独法の非正規の最低雇用基準を設定するなど、労働条件改善の運動を強める。
運営費交付金削減、人件費抑制の政府の姿勢を批判し、世論を味方にしつつ、労使による自主決着を追求する。独法の賃金に関する基準・考え方に対する要求政策の確立をめざす。
3、労働基本権回復を展望した賃金闘争
(1)公務員への労働基本権の回復、とりわけ団体協約締結権の回復を展望して、公務員賃金要求に関する理論政策を確立しなければならない。
(2)そのため、表1(a)〜(f)の課題についての政策的な練り上げが求められる。
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(3)団体協約締結権が回復された場合、給与は勤務条件法定主義や財政民主主義のもとに置かれるため一定の「指標」が求められる。その際、同種・同格原則に基づいて、単純な民間給与の平均ではなく、給与決定要素である職種、役職段階、勤務地、年齢、学歴等が考慮される必要がある。
【3】地域から国公産別組織を整備強化
1、現状の問題点
(1)日本の労働運動は、組織率と結集力の低下という「二重の危機」に直面しており、国公労連もその例外ではない。
(2)一方、職場で悪戦苦闘している組合役員の多くが献身的に活動していることも事実である。
現在の組合運営方法と組織・財政のあり方を含めて大胆に見直していくことが必要となっている。
2、組合員が主人公の「まともな労働組合」をめざして
(1)組合民主主義の原則が徹底される全組合員参加の職場活動をすすめる。ブロック・県国公段階において学習・交流活動を旺盛に実施する。
(2)労働組合運動についての学習運動を全国の職場で展開する。勤労者通信大学の新「労働組合コース」受講を学習教育活動の一環として位置づける。すべての職場で真の多数派結集をめざす。
(3)労働組合運動における男女平等参画の推進のため、活動スタイルの見直しや学習・交流活動をすすめる。
青年にとって魅力ある組合活動を探求する。学習・行動・交流を三本柱とする青年組織の再建、確立を追求する。
(4)非常勤職員をはじめ、未組織の組織化をすすめる。国公一般の全国展開と機能強化をはかる。単組横断的な非常勤の交流と要求前進をはかるため、各単組の非常勤組合員の国公一般への「二重加盟」について検討をすすめる。
(5)労働組合の情報発信能力を高め、内外に開かれた組織づくりをめざす。教宣方法に電子媒体機能や映像、プレゼンテーションソフトなどの活用もすすめる。
(6)互助機能強化のため、全組合員を対象に、国公共済会の現制度を組み合わせ、個人共済に犠牲者救援的要素と慶弔的要素を加味した「国公労連総合共済」制度(仮称)の新設を検討する。
3、新たな労働条件決定システムに対応した国公産別をめざして
(1)国際労働基準に合致した労働基本権回復を求める。新たな労働条件決定システム、労使関係の枠組み変化に対応した産別組織の確立をめざす。
(2)府省当局による労働条件の分断を許さず、国公産別統一の労働協約として確立することをめざす。
国公労連と各単組と重複する機能の整理、効率化による充実をはかり、産別組織の整備を行う。
(3)府省ごとの労働協約も必要となることから一府省一組合を展望した共闘組織化を促進する。中立系単組との共闘関係の構築を模索する。政策委員会や交渉委員会の設置など、産別と単組の一体的な機能強化をめざす。
(4)国公労連が産別代表にふさわしい組織として安定的に存立するため、すべての労働者の圧倒的多数派組織に向けて組合員拡大に全力をあげる。
(5)独立行政法人における各労組の連携・結束を強め、国公労連独法対策委員会の機能と指導力の強化をはかる。
4、地方・地域からの産別組織強化をめざして
(1)国公労連組織拡大強化の「チャレンジ30」セカンドステージにもとづく「年次行動計画」を策定し、推進をはかる。
(2)中央に集中している人(専従者)や財政の「配分」見直しを検討する。ブロック国公は、退職者などの協力も得ながら、複数専従体制や組織拡大オルグの配置をめざす。 県国公組織のあり方について、県労連・公務産別組織との関わりを含めて検討をすすめる。
(3)非典型労働者が増加する職場実態に対応し、国公一般を全国展開する。ローカルユニオンとの共同と連携をすすめる。
5、公務大産別組織と国際連帯の強化
(1)地方分権や道州制をめぐる論議なども視野に入れ、新たな公務大産別組織づくりも展望する。
(2)ブロック単位・県単位での公務産別組織建設を、自治労連、全教などと連携しながら推進する。
(3)アジアを重視した公務産別労組の国際連帯・交流をすすめる。
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