政府は本日、独立行政法人整理合理化計画の具体化として独立行政法人通則法「改正」法案を閣議決定した。
法案は、(1)独法の評価機能の一元化として各府省の評価委員会と総務省の政策評価・独法評価委員会を廃止し、内閣が一元的に評価する独法評価委員会を総務省に設置する、(2)役員人事の一元化として法人の長などを主務大臣が任命する際の内閣承認を法定化する、(3)保有資産の見直しのための法整備として、国費で取得した不要財産の国庫納付を義務づける、(4)非特定独法役職員の再就職規制として、ファミリー企業への再就職の斡旋を禁止する、(5)監事の職務権限の強化として、役職員、子法人への調査権限を法定化する、というのが主な内容である。
これらのうち評価機能の一元化については、新たに総務省に置く独法評価委員会は、内閣総理大臣が18名の委員を任命して作られ、法人の長、監事の解任勧告制の導入、法人などへの調査権や主務大臣への勧告権、内閣総理大臣への意見具申などが直接可能となり、大きな権限を持つものとなる。これは、国民への公正な公共サービスを提供する主体として、自主性・自律性を尊重しなければならない独立行政法人に対する、時の政府=内閣による政治統制、管理強化となる危険性が高いと言わざるを得ない。何よりも、各府省の行政分野や独法の現場にできるだけ近い視点から不十分ながら評価を行ってきた各府省評価委員会を廃止し、一つの委員会で独法を一括・横並びで評価することとなれば、適正で公正な評価がなされない恐れがある。
また、法人の長などの任命における内閣承認の法定化は主務大臣の権限の制約であり、不要財産の国庫納付の義務づけについては、不要の概念を拡大解釈することによって真に必要な新規業務の展開にとって不可欠な資産的裏付けを取り上げる危険性もある。
この間、国公労連は整理合理化計画策定後も2月末に行政改革推進本部事務局に申し入れを行い、効率化のみを追求する一方的な整理合理化は行うべきではなく、また「内閣全体として一元的な評価機関により評価する仕組み」については、各法人の自主性・自律性を尊重する仕組みを前提に、慎重な検討を行うことを求めてきたところである。しかしながら、上記のような問題のある法案が閣議決定されたことに対して、我々は断固抗議するものである。
政府は国家公務員制度改革基本法案とこの法案を行政改革の2本柱として強行しようとしている。国公労連はこれに反対し、独法制度の問題点を明らかにしつつ、制度の改善、各独法の自主性・自律性の尊重、国民の安全・安心を守り、社会基盤を支える各独法の業務の拡充を求めて、国会段階でも引き続き運動強化を図るものである。
2008年4月25日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
以上
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