地方分権改革推進委員会は、5月28日に行われた第49回の委員会で国から地方への権限委譲などに関する第1次勧告のとりまとめを行った。
第1次勧告の概要は、一つの都道県内で完結する直轄国道・1級河川の整備・管理権限、及び大規模農地の転用許可権限を都道府県に委譲すること、福祉施設の設置基準を撤廃すること、公営住宅の入居者資格要件を緩和すること、都市計画決定など359の事務を市に委譲すること、公立小中学校の人事権を中核市に委譲することなど、事務権限を国から地方へ、都道府県から市へ委譲することを盛り込んだものである。
さらに、地方税財源の充実強化を国に要請するとともに、消費者行政の一元化に向けた環境整備、国の地方支分部局を整理・統廃合した上、地方に委譲することを第2次勧告に盛り込むことなども提起している。
国公労連は、国民本位の行財政・司法の確立をめざし、「国民の中へ、国民とともに」をスローガンにとりくみを行ってきた。国と地方の役割の仕分けは、憲法に基づき、どの地域に暮らしていても豊かな人権と自治の保障を土台に、多様性と創造性にあふれた地域づくりを可能とするものが原則であると考える。そのために必要とされる権限を委譲することが求められるが、何よりも財源の確保も保障されなければならない。
しかし、政府は、この間の「構造改革」のもとで、「自己責任」を声高に叫びながら国民のいのちとくらしに関わる社会保障予算と地方交付税交付金を削減し、貧困と格差を拡げ、地方を疲弊させてきた。また財界は、地方分権を「究極の構造改革」と位置づけ、自己責任原則の下で国民への負担増を押しつけながら、国際競争力の強化を旗印に法人税などの税負担を軽減するよう政府に圧力をかけ続けてきた。
政府は、財政赤字の増大に歯止めをかけるとしてプライマリーバランスの実現をめざしているが、そのために国民の生活を犠牲にしてはならない。将来に禍根を残さないためにも、地方分権改革の方向を、国民の安心と安全を確保し、豊かな人権を保障する基礎自治体の確立と地方自治の拡充に切り替えることである。
同時に、政府に求められているのは、すべての国民にナショナルミニマムを保障することである。そのためにも、憲法に基づき設置された国の行政機関がその役割を存分に発揮することが重要であり、行政体制の確立と拡充は国の責任である。
国公労連は、政府・財界が進める「構造改革」路線による市場原理・もうけ優先の「国つくり」に向けた「地方分権改革」に対し、くらしと地域を守る国民共同のたたかいを呼びかけ、職場と地域で奮闘する決意を表明するものである。
2008年5月29日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市
以上
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