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談話
 出先機関の見直しによる国の責任放棄は容認できない
 〜国の出先機関の見直しに関する中間報告のとりまとめにあたって〜
     
 

 

 地方分権改革推進委員会は、8月1日に行われた第55回の委員会で国の出先機関の見直しに関する中間報告のとりまとめを行った。

 出先機関の見直しにかかる中間報告の概要は、以下の点に要約される。
 第一に、「基本的な考え方」では、国の出先機関の事務・権限は住民に身近なものが多いとし、地方自治体との関係で「二重行政」との批判がなされているばかりか、国会や大臣等によるチェック機能が働きにくく、地域住民の意向が反映されにくいため、地方分権改革の本質的な課題として見直すことが必要、としている。
 第二に、「事務・権限の仕分け」では、政策を思い切って見直すことで廃止・民営化等を検討するとともに、公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であっても、国が自ら主体となって直接に実施する必要がないと考えられるものは、独立行政法人化を検討する。また、「地方自治体による総合行政の確立等に資するもの」は、地方自治体への移譲を積極的に検討する、としている。
 第三に、「組織の見直しの方向」では、原則として現行の組織の存続を前提とせず抜本的な見直しを検討し、府省を超えた総合事務所の設置など個別具体的な機関について検討を行う、としている。

 政府は、国と地方の関係の大胆な見直しを掲げ、国の役割を大幅に縮小させることによって「地方分権」、「道州制」の実現をめざすとしている。その一環として国の出先機関の見直しを位置づけている。

 国公労連は、憲法で規定された地方自治を実現する上で、国と地方の役割のあり方を検討すること自体を否定するものではない。しかし、その際に最も重要な観点は、すべての国民が享受すべき憲法上の権利としてのナショナルミニマムが保障されることを大前提としなければならない。その点から、国の役割を外交や防衛、治安の確保などに限定し、あるいは政治をサポートする政策の企画・立案に重点化することは国民に対する国の責任放棄以外のなにものでもないと考える。
 医療や教育を国民に保障し、環境を保全することや、また、完全雇用を具体化するための職業訓練や職業紹介事業、防災や社会的インフラ整備とその維持管理などの公共サービスを企画・実施することは、自由競争の弊害が明らかとなり、貧困と格差が拡がっている現代社会においてこそ、政府の責任で実施されなければならない。
 「小さな政府」「地方分権」の名の下に、単に国の出先機関を廃止・統合・地方移譲し、公務員を大幅に削減しようという「中間報告」は、市場原理・企業のもうけ優先の国づくりに向けた「改革」であり、国の責任を放棄するもので、容認することはできない。
 さらに、大阪府の例を見るまでもなく、東京都を除く地方自治体は赤字財政にあえいでおり、財源の保障なき国の出先機関の委譲などは、さらなる合理化と国民サービスの低下につながっていくこととなる。

 国公労連は、「国民の中へ、国民とともに」をスローガンに、これまでも国民本位の行財政・司法の確立をめざして様々な取り組みを行ってきた。
 引き続き、国民共同のたたかいでくらしと地域を守るため、職場と地域でよりいっそう奮闘する決意をここに表明する。

2008年8月8日
日本国家公務員労働組合連合会
書記長 岡部勘市

以上

 
 
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