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国公労新聞 2008年11月10日号 第1292号
     
 
 

 

◆2025年消費税率最大18%
 社会保障口実に大企業負担議論せず―国民会議最終報告

 政府の社会保障国民会議は、11月4日の会議で、社会保障の給付と負担のあり方についての最終報告をまとめました。報告は「必要な財源を安定的に確保していくための改革に真剣に取り組むべき時期が到来している」と明記しています。
 この日の会議で確認された「社会保障の機能強化のための追加所要額(試算)」では、すべて消費税増税が前提にされています。「社会保障財源確保」を口実にした消費税に向けた論議を本格的に加速させることをねらっています。
 麻生太郎首相が10月30日に「3年後の消費税の引き上げ」と明言したのは、こうした議論を念頭においたものです。
 試算では、<1>年金<2>医療・介護・福祉<3>子育てと家族支援の三つの分野での将来の財政支出規模を消費税率に換算して、3・3―11%アップ(財源として約10兆―約50兆円)になるとしました。
 社会保障に必要な財源をめぐる税や国民負担のあり方は、所得や資産に応じて負担する「応能負担」こそが原則であり、消費税増税はこの原則に逆行します。こうした「社会保障」を口実にした最悪の増税論は許されません。

 
 

 

◆新テロ法延長案許すな 自公、衆院通過を強行

 海上自衛隊のインド洋派兵を1年間延長する新テロ特措法案は10月21日の衆院本会議で自民、公明の賛成多数で可決され衆院を通過しました。民主は、法案に反対しましたが、早期解散総選挙をねらう政局を優先させ、積極的に審議促進に協力し、採決に手を貸しました。田母神前空幕長による侵略戦争美化に抗議し、法案の廃案止が強く求められています。

 
 

 

◆国の責任で公的年金制度の充実を
 岐阜、愛知で「安心年金つくろう会」結成


【中部ブロック国公発】10月11日に「安心年金つくろう会・岐阜」が、10月15日には「安心年金つくろう愛知の会」が、相次いで結成されました。
 全国で初となった岐阜県の「安心年金つくろう会・岐阜」は、岐阜労連や自由法曹団、岐阜県国公が中心となって、これまでにシンポジウムなどを開催し、会の結成に結びつきました。事務局は自由法曹団です。
 愛知県の「安心年金つくろう愛知の会」は、今年3月に「年金を良くする会(準備会)」を発足させ、シンポジウムの開催など精力的に行動を展開し、中央の動きに合流するとして「安心年金つくろう愛知の会」の結成となりました。事務局は愛知国公です。
 中部ブロック国公は、「社会保険庁『改革』対策会議」を立ち上げ、「年金記録問題の完全解決のための体制整備と職員の雇用確保に関する申し入れ」を全県で行うことを提起し、各県国公は困難を乗り越え、すべての社会保険事務局への要請行動を実施しました。
 中部ブロック国公では、<1>各県担当四役を配置して、<2>県国公幹事会等に出席し情勢を学習し、<3>県労連等へ署名の推進を訴え、<4>できるところから「安心年金つくろう会」発足にむけ奮闘することを意思統一し、行動しました。
 全厚生組織のない県国公では社保庁現場の状況はわかりません。とくに北陸3県は全厚生組織がまったくないことから、ブロック国公主導で学習会を開催。全厚生東海ブロック連絡協議会の仲間が参加して職場実態のリアルな報告を行い、問題点と認識を共有することができました。
 二つの県の「安心年金つくろう会」の結成総会で共通していることは、「社保庁解体は誰のためのものなのか」、「公的年金制度はどのようにしたら安心・信頼できるものになるのか」を、参加者全員が真剣に考えていることでした。
 また、社会保険庁の職員の雇用継承問題にしても、二重の処罰に等しい違法な採用排除や「分限免職」は断じて許されないということです。
 中部ブロック国公は、他の県での「安心年金つくろう会」の結成と世論構築に向けて奮闘していくとともに、「国の責任で、安心して暮らせる年金制度の実現」に向けて、これからも県国公の仲間とともにがんばっていきます。

 
 

 

◆「道州制」でますます広がる 貧困・格差
 国の大切な役割は、憲法  条にもとづき福祉・社会保障の充実に努めること


◇国の責任放棄に

 国の役割は財政、外交、治安、防衛などに限定し、国民に対する公共サービスは、道州や地方自治体に丸投げする動きが強まっています。
 医療や社会保障、教育、雇用確保など国民のくらしに欠かせない国の役割・責任を放棄しようとしています。地方の疲弊が問題になるもと、地方自治体の財力によって国民に不可欠なサービスが左右されることになり、貧困と格差がますます広がってしまいます。

◇財界に都合のいい自治体再編

 市町村合併で大きな自治体(経済圏)をつくることで、地方交付税や公務員削減で大きな財源が確保できるといいます。しかし、その財源は社会保障や教育などの充実に使うのではありません。財界は、多国籍企業の誘致や海外進出のための空港、港湾、高速道路などの建設を求めています。
 自治体再編と「道州制」は、国や自治体の許認可手続きを省略し、経済発展の名目で財界・大企業に奉仕する行政に変質させるものです。

◇「道州制」は憲法と相いれない

 国民の一番の要望は社会保障の充実ですが、「道州制」では、国ではなく市町村が実施することになります。「道州制」を理由に、住民のいのちと健康にかかわる公共サービスを国が切り捨てることは憲法違反であり、国民の暮らしや権利をないがしろにするものです。

………… 憲法第25条【生存権、国の社会的使命】…………

<1>すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
<2>国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

◇壊れる地方自治と住民主権

 「道州制」は、道州を10、市町村は300〜1,000程度に再編するとし、国(中央政府)を頂点に道州、市町村(基礎自治体)のピラミッド型として、府県をなくそうとしています。市町村合併で今以上の広域自治体が押しつけられます。
 「市町村合併で地域は活性化する」といわれましたが、周辺地域の衰退が著しく人口流出に歯止めがかからず「平成の大合併」のモデルといわれた兵庫県・篠山(ささやま)市でも財政危機が一段と深刻化しています。

◇12月上旬にも見直し「第2次勧告」

 「地方分権改革推進委員会」は、「国の出先機関の事務・権限の大幅な地方移譲や廃止を行うとともに、国の出先機関を廃止・縮小する」として、12月上旬の第2次勧告で、その中身を具体的に打ち出そうとしています。
 麻生太郎首相も9月の所信表明演説で「国の出先機関の多くに二重行政の無駄がある」として、「地方自治体に移す」と明言しました。

◆本当に無駄な「二重行政」か
 国の出先機関の「見直し」の問題点


◇実態と違う「二重行政」批判

 しかし、本当に「二重行政としての無駄」があるのでしょうか。
 道路で言えば国道と県道では役割が違います。県道は県内移動を基本として、生活道路としての役割を持っています。一方国道は、日本全体を結ぶネットワークとして、流通を支え、災害時における交通の確保などの役割を持っています。災害時には、救援、物資輸送、復興などにあたるため、市道、県道、国道の役割を駆使して最短距離で往来する必要があります。そのためにも、国や地方自治体が相互協力を行いつつ、また、地方自治体の財政力を国が補うことにより、ネットワーク(網の目)を張り巡らせる必要があるのです。
 労働行政でいえば、無料職業紹介事業の「二重行政の解消」が指摘されています。しかし、都道府県の無料職業紹介の範囲は限られており、すべての求職者を対象とした一般職業紹介事業は行っていません。同じ仕事をしている「二重行政の無駄」という実態とは違っています。加えて、労働局は取締機関としての機能や労使紛争解決を行う機能を有しており、できる限り国民に近いところにあって、利用しやすい環境が整備されなければなりません。

◇国民福祉向上を

 政府は、「国の権限を縮小して地方に」と叫んでいます。しかしこれでは行政が、社会のセーフティネットとして国民の権利、安心・安全を守ることとはなりません。「効率化・行政の無駄排除」といった短絡的な行政機構の縮小ではなく、国民福祉を向上させる立場で、税財源のあり方など、憲法がいきる国と地方自治体をめざす根本的な議論が不可欠です。
 憲法が定める「国民福祉の向上」という国に課された役割を放棄することにつながる国の出先機関の廃止・移譲は許されません。

 
 

 

◆反貧困 世直しイッキ!大集会

◇黙っていられない 東京・明治公園に2000人 10月19日

 全労連や全労協、日本労働弁護団、首都圏青年ユニオンなどが協賛団体となり、反貧困ネットワークが主催の「反貧困世直しイッキ! 大集会」が10月19日東京・明治公園で開かれ、2000人が参加。反貧困ネットは7月から「反貧困全国キャラバン」を全国各地で行い、無料相談会などを開いてきました。
 反貧困ネット代表の宇都宮健児弁護士は、「貧困をなくし、人間らしく暮らせる社会をつくるため、労働運動や社会保障運動などの垣根を超えて連携することが大切」と訴えました。労働や社会保障、女性と貧困、住まいなど12の分科会で交流・討論をした後、都内をパレードしました。

 
 

 

◆大阪「政治を変え、暮らし守ろう」7時間ロングラン宣伝

 10月15日、国公近ブロと大阪国公は国公大運動の一環として大阪市・淀屋橋駅で、朝11時から6時まで7時間に及ぶロングラン宣伝を30人以上が参加して行いました。
 淀屋橋駅は、銀行・証券会社が軒を連ねるビジネス街にあり、大阪市役所にも接しており、人が途切れることがありません。
 2000枚用意した国民大運動の「政治を変えよう」リーフは3時間で配り終えました。また、全法務の「登記は、国が保証する信用制度です」の宣伝ティッシュ、全気象の「気象業務拡充」、国公労連の「社会保障に思いやりを」、全労連の「なくせワーキングプア」などのビラも配布し、全体で5000枚を超える宣伝物を配布しました。

 
 

 

◆読者のひろば 私のひと言

◇日本社会全体 コンビニ化では(全労働の仲間から)

 「便利さ以外にも大切なことが…」最近、日本の社会全体がコンビニ化しているように思います。便利さばかりを追い求め、年中無休・24時間営業は当たり前…。夜中も開いているお店で働いている人たちを見ると、この人たちにも大切な家族がいるだろうに…と思い、少し悲しい気持ちになります。夜間と休日には家族が一緒に過ごせる…それが当たり前の社会になって欲しいです。

◇地方分権で職場は?(全建労の仲間から)

 地方分権で職場がどうなるのか?不安でなりません。

◇職場が繁忙で 組合活動停止も(全司法の仲間から)

 最近は各職場のどの職員も繁忙なようで、組合の組織内組織(女性部や青年部)の活動が事実上休止状態なところが多い用です。本当はこのような小さいところが大切なのにと思います。

◇心安らかになる ゆとりをもって(全労動の仲間から)

 「ゆとりを持って」と言われるが、「ゆとり」って心が安らかでないと出てきません。安心って力だけで持てるものなの?

◇余裕がなくなり(全経済の仲間から)

 職場にどんどん余裕がなくなっています

◇評価制度に入ったら(全労働の仲間から)

 評価制度が入ってくると職場がギスギスしそう

◇e-TAX普及率のためのノルマが(全国税の仲間から)

 IT電子政府実現ということでe-TAX普及率のノルマが年度ごとに課され、非常な労働強化となっています。

◇低すぎる非常勤 職員賃金底上を(全労働の仲間から)

 私の職場に非常勤の人たちはたくさんいます。日額、時間額は私の給与に比べて低すぎると思います。巷のパート労働者同様賃金の底上げを!

◇単身生活から解放(全運輸の仲間から)

 やっと単身生活から解放されました。物価の高騰で苦しい生活でした。特にガソリン高騰はきつかったー。
 生活改善に向かって、がんばっていきたいと思います。

◇明るく楽しく 仲間を大切に(全司法の仲間から)

 支部では明るく楽しく 元気よくをモットーに職場要求の実現と働きやすい仲間を大切にする運動を目ざしています。一人一人の力を結集できれば本当にいい職場を引き継げます。

◇国民不在政治を(全運輸の仲間から)

 国民不在の政治を打破する為にも間近に予想される総選挙に集結し国民本位の政治家を選出させよう!

◇地方分権委と政府 動向が気になる(全建労の仲間から)

 地方分権推進委と政府の動向が気になる今日この頃です。

 
 
 
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